死の足音、聞こえちゃったやつ
単刀直入に言えば祖父が死にかけてる。
この夏一番の暑さの頃、体調を崩し心配ながらも軽い熱中症だと踏んで水分補給と充分な休息を促した。
翌日、それでも回復の見込みが無い祖父を病院に連れて行ってそこで判明。
視界が遠くなる感覚を初めて実感した。
頭が回らない。
会話も続かない。
当の本人は事の重大さに気付かず、かの伝染病でなかった事が何より有り難かったようだ。
拝んでたし、病院内で。
非感染者である事実で胸いっぱい、身体を蝕む病はそっちのけで、それでもその事実が少し元気くれたようだ。声にも張りが戻ってきた。
そんなこんなで色んな事を色んな人と話し合って、自分なりの覚悟を決めたようだ。
私もその決意は英断だと思う。
少し、ほんの少しだけ胸の内が軽くなった気がする。
現状は何一つ変わらないし、寧ろズリズリと進行を進めるのだけれど。
顔色を見て、会話を交わすたびに死の影が過る。
あんなに大好きだった珈琲ももうしばらく飲んでいない。
食事の速さは私を凌ぐほどのスピードで食べていたのに、今や完食さえ難しくなった。
私にとって祖父は実質育ての親みたいなものだが、それが目の前から今後一生居なくなることを少しでも考えると、不安でなかなか眠れなくなる。
じーちゃん、元気になれとは言わない。完食も無理強いしない。お使いは任せろ。だいぶ耳遠くなったな。
せめて最後は安らかでありますように。
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