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68.「好きな曲の歌詞」

こんばんは、くろぎです。消化したいお題がたくさんありますが、焦らず一つずつ回答していこうと思います。

本日のお題はこちら。

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これどの曲を取り上げようかめちゃくちゃ迷って今日まで来ましたが、2020~2021にかけてよく再生している曲から厳選して紹介します。

ベイビーミソカツ/アカシック

ベイビーミソカツは熱量におけるすれ違いを感じている女側の心理を歌ったものだと解釈していますが、その描写が綺麗で良い(この歌詞の登場人物である女の子へ共感できるかどうかはまた別の話)。

ねぇ今から宇宙とか見に行かないの?
疲れちゃってんだったらいいや

出だしからえぐってきますね。「宇宙を見にいく」という半ばメルヘンで非現実的な誘いを相手にするものの、「疲れちゃってんだったらいいや」という現実的な理由で諦めるちぐはぐな描写。天才か?

おそらく、この曲の主人公である女の子は「好きな人から大事に想われる、ロマンチックな日々」への憧れはありつつも、それが今の相手とはおそらく叶わないことを悟っています。けれど相手のことは好きだし、その相手だからこそロマンチックな日々を諦めきれずに期待してしまう様子がこの部分だけで読み解けますね。

あの花火が少し地味に見えた事とか
色々ショックで気が滅入るわ
この朝陽が今は無駄に眩しいなんて
何故かショックで気が滅入るの

上記はそれぞれサビ冒頭の歌詞ですが、いずれも相手と過ごした日常のワンシーンだと考えられます。

隣に並んで見たはずの花火も、一緒のベッドで迎えた朝も、かつての自分が思っていたほど素敵なものではなかった=相手との日常が自分の理想と離れてしまっていることを実感させられる瞬間ですね……。

そんな状況に陥ってしまっている女の子ですが、

誰かにもっと守られて寝たいです、なんて
恥ずかしいから言わないけど、
あなたは気づいて
誰かにちゃんと守られた未来が欲しいよ
くだらないから言わないけど、
嫌だ
あなたは分かって
いつか気づいて

と、本当なら今すぐにでも相手にぶつけたい本音を決して口に出さず、そっと自分の中にしまい続ける様子がストレートな歌詞で歌われています。

彼女を取り巻く情景は婉曲表現を使い、隠し続けている本心はストレートな表現を用いるといった具合で、描きたいものに応じて表現を使い分けることでより効果的にこの歌が描いている世界観というか、女の子の心情が迫真的に伝わってくる一曲になっていると感じています。

個人的には夏の夜にこの曲を聴くのが好きです。花火って歌詞に出てきているからか?(単純)

文盲の女/バズマザーズ

実はこの曲の歌詞の解釈というか、熱量あるレビューを詳細に投稿している秀逸な記事があり、概ね私の解釈もこの方が書いているものに同意しているので時間に余裕のある方はこちらの記事を読んで欲しい気持ちがあります。

端的にこの曲で歌ってることを表すと「虚無感に苛まれることを痛いほど理解していてもなお、どうしようもない性衝動に突き動かされるがままの男の一幕」になるでしょう。

こういう他人には隠したくなるような恥や苦悩に焦点をあてるような曲、好きなんですよね。

中身のない女との会話に軽い絶望を感じながらも、そんな女との情事に溺れるしかない自身のしょーもなさを痛感している様子が

そんな話を数千回
アレの後の虚無も相まって
そんな話を数千回
しまいにゃ俺は泣きたくなる
嗚呼 また金属的な恥だけあの娘の身体に消えてった

こんな調子で歌われていくんですが、曲の終盤で

されど一人になり やおら
アレの後の虚無も消え去って
夜を漂っていくうちに
次第に誰か抱きたくなる

頭は保留中のエーデルワイス
首から下だけ別の人

と、聴いてるこちらの胸がキュッとなるようなグロさというか、半ば残酷といっても過言ではない性衝動の生々しさが描かれます。

極めて動物的な自分や、それに応える女に「汚らわしさ」を覚える自分も間違いなく存在するのに、そんな自己嫌悪や虚無感もぼんやり霞むというか、思考すらも否応無しに遮断してしまうほど色欲の支配に染まっていることを眼前に突き出された心地がしますね。認めたくないのにそれを自覚せざるを得ない、というニュアンスでしょうか。

バズマザーズは他のバンドにはないような文学的な歌詞が多くて好きです。さすが平成の阿久悠(自称)こと山田亮一や……

幸福論/椎名林檎

こういうことを書くのは大変烏滸がましいんですが、紆余曲折を経て確立された今の私の恋愛観の根幹とリンクしていて好きです。

恋愛観というか、それ含めた人間関係の捉え方については1年前に更新した過去記事でもちらっと書いたことがあるのですが、

「相手に過度な期待・理想を求める」ことも無意味であり、ありのままの相手を認めることこそが一番の敬意であり愛情ではないかと思うようになった。これは友人、恋愛どちらに対しても同じことが言える。
赤の他人同士で完璧に共感し合えることや価値観が合致することはない。
自分と相性が良い・合うところが多いと感じる部分ばかりを求めて評価するよりも、差異がある部分を寛容に受け止め、理解する姿勢を持った方が異なるバックグラウンド・価値観を持った相手であっても建設的に付き合える可能性は高い、というスタンスにたどり着いたのだ。

と、まぁ要するにありのままの相手の存在そのものが愛しいよな〜〜〜っていうのを常日頃思っているわけなんですが、椎名林檎はそれを若くしてストレートに歌ってるんですよね。天才か?

歌詞も徹頭徹尾素晴らしいので全部読んでくださいとしか言えないんですが、強いて抜き出そうとするならやはりラスサビの

時の流れと空の色に何も望みはしない様に
素顔で泣いて笑う君のそのままを愛している故に
あたしは君のメロディーやその哲学や言葉、全てを守り通します
君が其処に生きているという真実だけで 幸福なのです

ここに全てが凝縮されてる。私がメンズで椎名林檎にこんなこと言われたら涙出る(???)。

これって当たり前のように見えて実は一番難しい幸せの形なんじゃないか、とも思います。完全に自論なので軽く聞き流して欲しいのですが、人を好きになればなるほどその相手に対して「求める・欲しがる」といった、言葉選ばずに表現すると貪欲で自分本位な気持ちが大きくなってしまうことって多い気がしているので……(決して批判する意図はないし、それはそれでいいと思います)

ただ、私は「もっともっと」ではなく、今の私を受け入れてくれる存在や環境も同様にそのまま受け入れたいし、大事にしたいな〜〜という考えに行き着いてしまった。

少し脱線しましたが、歌詞についてはもはや私があれこれ補足説明する必要がないほどまっすぐなメッセージだと思うので全人類改めてこの珠玉の名曲を聴いてください。

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