中国製マスクの値崩れが始まった理由

急激にマスクが入手しやすくなってきました。これまでは通販サイトなどで1枚100円に近いような割高価格で売られていた中国製マスクは、急速に価格が下がり、東京や大阪の町中では店頭で叩き売りされる光景が見られるようになってきています。

ドラッグストアで品薄『マスク』“商店街”で見かけるのはなぜ?マスクの値崩れも… MBS報道

つい先日までは、中国製マスクすら入手が難しく、楽天やAmazonマーケットプレイスで注文しても届くまで2週間以上待たされるようなこともあったのに。

これには下記のような理由があります。

<理由1:中国でのマスク生産量の増加>

そもそも新型コロナウイルスの爆発的な流行が起きたのは中国が最初です。このため中国政府も国策としてマスク増産に取り組んでいました。民間でも、マスクを作れば飛ぶように売れるということで多くの企業がマスク製造に参入。他業種の企業までマスクの生産を始めました。
しかし中国での感染拡大はおさまったので国内需要はすでに落ち着いています。このため中国は世界で最もマスクの供給量に余裕がある国ということになっており、今では膨大な量を他国へ輸出しています。

<理由2:マスク輸出量の増加>

(中国政府による輸出制限)
ある時期まで、中国政府はマスクの輸出を止めていました。国内向けの供給を優先させるためです。このため、中国に工場を持っていた日本企業でも供給が止まってしまう事態が起きた、というのは日本のメディアでも報道されていました。
そんな中でも、工場から横流しのような形で少量が輸出向けに出回っていて、それが日本に入ってきて高値で売られていました。
その後、中国での生産量が大幅に増えていき、また中国での感染拡大も終わったことで中国の国内で使われる分のマスクは十分に確保できるようになったので、中国政府は輸出を許可するようになります。

(中国政府による粗悪マスクの摘発)
ところが、今度は「粗悪マスク」の問題が浮上してきました。きちんとした品質管理システムを持たない企業までマスク製造に参入してきたため、中国製マスクの中には粗悪品(ゴムひもが切れやすい、フィルター性能が低い)が多く混じってくるようになりました。
このことを輸出先の国からも糾弾されるようになってしまい、中国政府は信用回復のための措置を始めました。輸出されるマスクについて品質基準を満たさないものを税関で没収したり、認可を受けていないマスク工場を摘発したりして、輸出マスクの管理を強化するようになりました。このことで、またもやマスクの輸出量が一時的に減少することになります。

しかし現在は、中国企業でも体制が整ってきており、認可を受けた工場で生産した品質基準を満たしているマスクを輸出できるようになってきてるようです。それが日本にもどんどん入ってきているようです。

また、時を同じくして、いわゆるアベノマスク(政府による布マスク)の配布が始まったこと。さらに日本メーカーでの増産も進んで、シャープなどでも消費者向け販売を始めたこと。

このような要因が重なって、マスクの供給状況が急速に改善してきています。昨日、近所のドラッグストアやコンビニでも久しぶりに日本製マスクが並んでいるのを見かけました。

日本でも下記のようなマスク販売サイトが開設されています、
1セット2000枚単位(1枚35円)のマスク販売、「マスクル」で開始

参考記事:

米FDA、中国製「N95」規格マスクの緊急使用認める決定を撤回 - ブルームバーグ

中国、マスクの品質基準を強化 輸出先からの苦情受け - ロイター

「中国側から“売り込み”が」マスク輸入業を始めた男性が語る - 文春オンライン