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ハチと受粉とトマトと命

そろそろ散歩ネタかな。なんて思っているのですが、
近いうちに公園でもブラついてこようかなと思っております。

くろがねです。m(__)m 今日も遊びに来てくれて有難う御座います。

サムネイルと標題でお分かり頂けるかと思いますが
今日は、セイヨウ オオマルハナバチについて書きます。

昆虫が苦手な方は、読み進められない方がよろしいでしょう。
また別の記事でお会いしましょう。

また、今日は少し文字が多めになってしまいました。
約2800文字となっております。ご了解のうえお進みください。

では、スタート!

セイヨウ オオマルハナバチ は、主にトマトの受粉に利用される
特定外来種に指定されている蜂です。

セイヨウオオマルハナバチ(西洋大丸花蜂、Bombus terrestris)は、昆虫綱・ハチ目(膜翅目)・ミツバチ科に分類されるマルハナバチの一種。ヨーロッパ原産で、日本には外来種として野外に定着している。

from wikipedia
花蜜ではなく花粉を集める


ビニールハウスでのトマト栽培では、トマトの受粉のために
このセイヨウオオマルハナバチがハウス内に放たれます。

特定外来種に指定されているので、ビニールハウスの開口部には
ネットが張られ、ハチが外に逃げ出さないように工夫されていますが

現場の実態としては、網一枚でハチの脱出を防げるわけもなく(笑)
逃げる個体が多いです。

ハチと言えば、刺されないの?という疑問がつきものですが、
このマルハナバチは比較的温厚な性格で、こちらから攻撃するか、
巣の門番を刺激しない限りは、攻撃してきません。
※たまにですが、無抵抗でも刺される人はいます。
心配な人は、トマトのハウスに入らない方が良いでしょう。

私はトマトの手入れの時に、葉の陰に居たマルハナバチを掴んでしまい
何度か刺された事がありますが、毒は無いし、幸いアレルギーも無いみたいで、痛いだけで済みました。

大して腫れもせず、一日二日で完治しましたが、刺された時のショックは
脳天まで電気ショックの様な痛みがビーーーーーーン!!と来ました。

悪さはしていないのに、巣の門番が追っかけてきて
足首を刺された事もありました。これはかなり珍しいケースです。

見た目はクマ蜂に似ている様で、初めて見た時は怖かったですが
トマト栽培をしていればそんな弱音を言っている余裕はなく(笑)

そんな事より、40℃をも超えるハウス内でひたすら作業が続くので
「早く外に出たい・・・」が頭を占めます。

ハウス栽培のトマト、主には量産販売を目的とした営農では
その着果率と果実の個数・サイズが収支に大きな影響を及ぼす為、
着果率は非常に重要なファクターとなります。

こんな簡単な一文で書けてしまいますが、着果率と果実のサイズで
その農家が、万年累積赤字経営になるか、高級車を乗り回せるか・・・
それぐらいの振り幅が出るのです。
決して大げさな話ではないですよ。それが現実。

トマトという野菜は、ビニールハウスといった風や虫の影響が少ない場所では、意図的な受粉が必要です。

この受粉に、マルハナバチが利用されるのです。

しかし、セイヨウオオマルハナバチの利用は、免許制であり、
しかも、数年前から新規の免許取得は中止されており、
新参者の農家は、セイヨウオオマルハナバチを使う事が許されていません。

古くに免許を取得した農家だけが、このハチを使えるのです。
既得権・・・
※農業のハチ利用については、本州と北海道の運用が異なる様です。
今回の記事は北海道についての記事となりますのでご了承下さい。

え?じゃあ、新規農家はどうしているの?というと・・・

トマトトーンと言われる、ホルモン液の希釈水を
スプレーで花房に噴霧するのです。

一段の花房で、時期をズラして二回噴霧します。

10000本のトマトを栽培しますと、
概ね6段目までの栽培を仮定しまして、
10000×6段×2回=120,000回

スプレーでシュッシュと、12万回。です。
しかも、このスプレーは周りに飛散しない様に
花房を手で覆いながら噴霧する必要があるので、
ひとつひとつの花房を、手で覆い、噴霧します。

しかも、スプレーのタイミングも判断が難しく
最大効率を目指して作業を選定するので
スプレーする時間の選定や、気温による希釈濃度の調整、作業完了までのスピードも要求されるのです。

で、何が言いたいのか。

マルハナバチを使うと、この作業が不要になるのです。
マルハナバチが花粉を集めに飛んでくれるので、
勝手に受粉してくれるのです。

しかも!マルハナバチによる受粉はほぼ失敗なしに
着果します。何故だかわかりませんが、ホルモン剤による
受粉は失敗(着果しない)のケースも多く、
ハチとホルモン剤の受粉は、成果・収量にも大きな影響がでます。

※あくまで個人的な経験談ですが、ハチ受粉の果実は肥大率は低めですが、果実の形状が美しく形成され、トマトは綺麗なシルエットを描きます。対してホルモン剤による受粉は、肥大率が良く、果実は大きくなりますが、果実の姿はいびつになる事が多い様です。ボコボコした感じ。

まあ、もっと掘り下げれば書きたい内容はたくさんあるのですが
若干脱線しているし、文字も多くなってきたので、元に戻ります。

この時期、このセイヨウオオマルハナバチがあちこちに飛んでおり、
花を見ると、懸命に花粉を集めている姿をみて

ああ、また今年もこの時期が来たのだな。と思いシャッターをきりました。

ポピーとハチ。頭隠して尻隠さず。


ノボリフジとマルハナ


小脇に抱えたオレンジの玉が、集めた花粉です。
ボール状にして持ち帰るみたいです。可愛い・・・


このまま心地よく文章を終えたい所ですが、
わたしなりに、お伝えしたい現実をひとつ記します。

受粉の作業を終えたマルハナは、
その後、どうされるでしょうか?


答えは、巣ごと焼却されます。


特定外来生物に指定されていますので、
外に放つことは禁止されています。

ひとの都合で働かせ
仕事を終え、繁殖したハチは
焼き殺されるのです。

シーズン中の脱走を完全に防ぐことはできず
実態としては、セイヨウオオマルハナバチは
大繁殖を遂げています。

わたしは学者ではありせんから、
特定外来種が生態系にどんな影響を及ぼし
その影響で固定種が滅びてしまう事の問題を
語れる程の知識はありません。

しかし、人の都合で連れて来たハチを
仕事が終わって、特定外来種と決めて?焼却するって

・・・どうよ?

現在は、他の種類のハチが活躍するように
路線も変更されている様ですが、
いままで人の都合によって焼かれたハチの魂は
報われるのでしょうか。


食料といのちを語れば、その論議は尽きる事がないでしょう。

では何ができるのか。
そのような事実がある事を知って、
感謝と謙虚さを忘れない事が
いま自分たちにできる事なのかと。
わたしはそういうふうに思います。

それでは、今日はだいぶ長くなってしまいました。
まとめ下手で申し訳ありませんが、

最後までお読みいただき誠に有難う御座いました。

では!また!

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