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映画レビュー take7


黒川エキスポの映画レビュー
今回レビューする作品はエリオット・アンダーソン監督の『Beef or Chicken』

あらすじ
 一卵性双生児の兄ザックと弟ニックは小さい頃から何でも一緒だった。同じ髪型で同じ三輪車に乗って同じボールで遊んで育った。
 高校生になった2人は変わらず、同じ高校に同じ自転車に乗って同じ服を着て通っている。そして、2人とも同じ悩みを持っていた。双子のザックとニックじゃなく、ザック・ギブソンとニック・ギブソンという1人1人別の人間として生きたい、と。
 17歳の誕生日に2人は家族でハワイにバカンスに行くことになる。その前夜、2人はこの旅行でのあらゆる選択肢を2人別々のものを選んでいくこと、その一歩目としてまずは明日の旅行の機内食を2人別々の物を頼む“Beef or Chicken作戦”を決行する。

感想
 自分の好きなように生きることが自分らしさなんだと全てを肯定してくれる温かい作品でした!
 機内食で牛肉と鶏肉、別々のものを頼むっていうくだらないことから始まる2人の自分探しが笑ってしまうようなところもありながら、とても素敵なものでした。

 機内食に始まり、お昼ご飯をロコモコとスパムむすびにして、海で着る水着を青の海パンと赤のブーメランパンツで別々にしたりと別にそれは一緒でもいいだろ!というようなものまで別々にしているところはバカバカしくて笑ってしまいました!
 本当はロコモコを食べたいのに泣く泣くスパムむすびを食べるニックの顔や、赤のブーメランパンツを穿いてビーチで恥ずかしそうにするザックの演技がとても素晴らしかったです!

 そんな2人の作戦がケイシーという女性との出会いで中止することになります。
 2人がビーチで一目惚れしたケイシーに対してどちらか一方がフラれるのにびびった2人が、フラれるのも成功するのも2人一緒にするために2人でジャック・ギブソンという1人の人物を演じる“双子の絆作戦”という新たな作戦を遂行することになります。

 ジャック・ギブソンを2人で演じてケイシーと順調に仲良くなっていく2人でしたが、ハワイから帰る前夜、ケイシーを騙したまま別れることが後ろめたくなった2人はケイシーに本当のことを話します。
 しかし、ケイシーは驚くどころか全てに納得がいった様子で、あの日一緒にご飯を食べたのはザックでビーチで一緒に遊んだのはニックといったようにどの時にどっちといたかを完璧に当てます。
 そんなケイシーに驚いた2人が何故わかるのか尋ねると、「だってザックには相手を気づかって思いやることができる良さがあって、ニックには相手を楽しませるユーモアがある。2人とも全く違う良いところがあるのよ。」と言われ、同じ顔をして、同じ服を着ていても2人は全く違う人間なんだと気づきます。
 このシーンが本当に素敵でした!誰かと違う自分になるために無理をするのではなく、ありのままでいることが自分らしさなんだというエリオット監督がこの映画に込めた優しいメッセージで温かい気持ちになりました。

 最後帰りの飛行機で2人が牛肉を美味しそうに食べて終わるところもきれいな終わり方でよかったと思います!

 こちらの作品には黒川アカデミー賞最優秀ぽかぽか作品賞を差し上げたいと思います!

 まぁこんな作品この世界に存在しないんですけどね!

 それではまた次回の作品でお会いしましょう!

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