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『マーダーミステリー』やりこんでみた

2019年に初体験した瞬間からハマったマーダーミステリー(以下、マダミス)。
当時と比べ国内でのマダミスの状況は大きく変化し、私自身も体験したシナリオ数は50本を超えました。今回はこれまで体験してきた印象や感想を踏まえた諸々を文章という形で記録に残したいと思います。

「マーダーミステリーってなに?」という方は、2019年に紹介noteを書いていますので、まずはそちらをご覧ください。

『マーダーミステリー』へようこそ

「マダミス」との出会いと「沼」にハマるまで

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私とマダミスの最初の出会いは、友人に誘われて参加した「ヤノハのフタリ」です。
ゲームマスター(GM)のルール説明を受けた際は「脱出ゲームの亜種かな」といった印象でしたが、プレイキャラクターにそれぞれ設定があり、各々の思惑が錯綜して話があらぬ方向に飛んで行ったり、新たな情報が公開されるとまたガラリと話の見え方が変わったりと、とにかくてんやわんやしながらも結末に向けて歩を進めていく時間がとても心地良かった記憶があります。
それから興味を持ち、何本かのシナリオを体験した後に出会った「業火館殺人事件」によって私は完全にマダミスの「沼」にハマることになりました。

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この「業火館殺人事件」、私にとってキャラクター設定や散りばめられた様々な謎、そして結末までの演出を含め、本当に好みでどストライクだったのです。事前知識として、とても重厚な作品だと聞いてはいたのですが、この時に受けた衝撃は未だに忘れられず、「業火館殺人事件」と同様かそれ以上の感動をマダミスで味わいたい、という狂気に現在進行形で陥っています。
ネタバレになってしまうのでここでは控えますが、本当なら何時間でも語りたいほど好きなんですよ、「業火館」!

マダミスは基本的には皆で協力して結末へと向かうゲームです。勿論、相反する目標を持っているプレイヤーが存在することもありますが、その疑心暗鬼となる心の動きにも一喜一憂できる点まで面白い、ある意味で完成されたルールを持つ多人数ゲームと言えるでしょう。また、同様のシナリオを二度と体験できない、という一期一会な性質からも常に新鮮な体験を約束してくれます。
それに加えて、担当するキャラクターになりきることで、自分とは違う自分になれるのも好きですね。こういった非日常空間に浸れるところまで含めて、非常に体験価値の高いエンターティンメントだと私は感じているからこそ、良い意味でこの沼から抜け出すことは永遠に出来なさそうです。

「マダミス」に対する意識の変化

先ほど紹介した2019年のマダミス紹介noteを読んでいただければわかる通り、私は当時からゲームとしてのマダミスに魅了されていたわけですが、回数を重ねるごとに、ゲームとしての勝敗に相当する「自身の結果」よりも「キャラクターへの感情移入」と「他者への影響」に楽しみを見出した方が体験価値が高いと思うようになりました。
マダミスではその役柄の行動指針となる目標がキャラクターシート上で与えられており、その役柄としての立ち回りを逸脱しづらいように設定されています。そして多くの場合、その目標自体にそれぞれ配点がされており、その点数を多く獲得するという「自身の結果」に最初は目を奪われがちです。
しかし、そうなった場合、どこかの時点で「他者」という壁にぶつかります。

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というのも、各キャラクターの目標は必ずしも自己完結するとは限らず、他者との協力が必要な場合、その点数獲得には他者が与えられた目標やそれに対する行動の結果に依存するからです。
例を示します。


あなたには「鍵を入手する」という目標がありました。
その鍵はAさんが持っていましたが、Bさんも同様に鍵を欲しがっており、AさんはBさんに渡すことにしました。
Bさんはその鍵を手放さず、あなたは最後まで鍵を入手することはできませんでした。

結果だけを考えれば、鍵を入手できなかったあなたはこの目標に対する点数を得られず、間違いなくその作品に対する満足度は下がるでしょう。少なくとも、「鍵を入手したい」というあなたの思い通りにはなっていないわけですから。

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そこで重要になるのは前述の「キャラクターへの感情移入」と「他者への影響」です。
目標達成にのみ猛進するのではなく、その時々によって「この状況ならこうする」というパターンをキャラクターシート読み込み中にいくつか考えておき、その場の人間関係や境遇、そして明かされた真実に合わせて方向性を決定する、場合によっては自身の目標を無視してでも他者をサポートする、といったことを意識し始めたころからまた一段とマダミスを体験するのが楽しくなりました。
この意識は、あるシナリオで「犯人をかばう役」を担当した際に芽生えたものですが、「どのキャラクターでも少なからず、他者との関係性の変化や心情の変化によって、全く別の行動を取りうるのではないか」という視点に気付いてからは、取れる選択肢の幅が広がり、自分の目標が達成できなかったことに対する不満が減って、自分の行動によって影響を与えたであろう「他者の結果」に一喜一憂できるようになりました。
一言でまとめるなら、「他者まで含めた目標達成を楽しめるようになった」のです。

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勿論これは誰がどんなプレイ方針を持っていても良い、という前提に立った話ではありますが、こういう楽しみ方もアリかも、程度に捉えていただければと思います。
私も気分によっては「自身の結果」を追求したい日もありますし、それが「犯人役」ならより「自身の結果」の追求を徹底した方が良い場合が多いでしょう。
長々と書いてきましたが、それなりのお金を払って体験を買う以上、自分自身が楽しめることが大前提です。あなたの(常識の範囲内で)気持ち良くプレイできるスタイルでマダミスに臨むのが吉ですね。

「マダミス」の普及と流通

2020年はマダミスの需要と供給がどちらも大きく増加した年となりました。
マダミス流行を見越して専門店の新規開店が相次いだということもありますが、突然のコロナ禍によって様々なエンタメが制限される中、オンライン公演への切替や手に取りやすいパッケージ版の量産販売、また演者のプレイを観劇するスタイルでのメディア展開によって、新規ファンの継続的獲得に繋がり、各店舗公演への動線を途切れさせない努力を業界全体で行えていたのが要因と考えられます。

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パッケージ版は大手家電量販店やボードゲーム取扱店、通信販売等で購入できます。特にグループSNEがリリースしたパッケージ作品群は実際に店舗でも目にする機会が多いかと思います。

また、2021年はマダミスのテレビドラマ化が現時点で2本決まっており、更なるメディア展開の流れが構築され始めています。vTuberのマダミスプレイ動画も公開され、こちらも新規顧客獲得の起爆剤となりそうです。

マーダーミステリードラマ「アオイウソ~告白の放課後~」
https://s.mxtv.jp/drama/aoiuso/

『マーダー★ミステリー ~探偵・斑目瑞男の事件簿~(仮題)』
https://ure.pia.co.jp/articles/-/885447

ここで注意ですが、マダミスは基本的に1シナリオにつき一度きりの体験となります。それは自身でプレイをしなくても、ネタバレを聞いたり、他者のプレイを見たりした場合にも当てはまります。
上記の例ですと、「アオイウソ」を観てしまうとその原作となるシナリオ「裂き子さん」はプレイできなくなりますし、その他のシナリオについても同様です。くれぐれもお気を付けください。

「マダミス」の奥はまだまだ深い

冒頭で、50本以上シナリオ経験しました、と書きましたが、正直、新しいシナリオの登場するスピードが自分の消費スピードよりもはるかに早いので、このまま一生遊べるコンテンツとして日本に根付いてほしいなぁと思っています。日本国内だけでも現在は数百本以上のシナリオが存在していると伺っていますし、マダミスを「仕事」にしない限りは、全てを体験するのは不可能なので、そういう「仕事」を探したり作ったりしても良いかもしれません。

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それに加えて、自分はオンラインシナリオの殆どが未経験で、今年はコロナ禍により更にオンラインシナリオが増える見通しなのでそろそろオンラインマダミスにも慣れていきたいです。
また、風の噂では、関東と関西でマダミスのプレイスタイルが全然違う、という話を伺いまして興味を持ったので、いずれ関西遠征もしたいですね。
あとは、布教のためにも自身でゲームマスターを担当できるシナリオを増やしたい、という願望もあります。が、マダミスはプレイヤーとして参加するのが本当に楽しい時期なのでこちらはまだ努力目標です…。

こんな感じで、私にとって本当に延々と興味が尽きないマダミス。是非皆さんも体験してみてください。というか一緒に遊びに行きましょう!

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ここまでお読みいただきありがとうございました。

筆者紹介

海老江 邦敬(えびえ くにさと)はウェルプレイド株式会社所属のゲームキャスターです。
デジタル・アナログ問わず、ゲームについての発信を日々行っています。
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