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食料自給率の低下も、農家の減少も悪いことではない

食料自給率は低い方がいい
意外に思われるかもしれませんが、食料安全保障という意味では食料自給率は低い方がいいのです。なぜなら自給率が高いとは「国内に依存している」ということであり、北朝鮮のように国内生産が不作だったときに飢える可能性が高いからです。

日本のコメ価格は異常に高い。
世界的に見て穀物は低価格なのが常識です。なぜなら国民を飢えさせないためにカロリー源の価格は安く(目安としては米ならば1㎏当たり50円くらいに)抑える必要があるからです。それと比べて日本のコメは安くても200円ほどします。少なく見積もっても4倍の差があるのです。日本のコメ価格が高い原因は『生産効率の悪い&高い関税』の2つです。「農家の高齢化、農家の減少が深刻」などとマスコミや政治家が騒いでますが、日本の米農家は規模が小さくて非効率なので、むしろ100分の1とか1000分の1くらいに減らした方がいいのです。

農家の減少も悪いことではない
日本の農業にたいして「農家が減って大変、食料自給率が下がって食料安全保障の危機だ」などとイメージを持っている方が多いのではないでしょうか。新聞・テレビによる扇動的な報道の影響なんでしょうがハッキリ言ってそれは間違いです。ネット上の言論を観察するに農家の中にも同様の勘違いをしている人が多くいて、とくに新規就農組はその傾向が強いようですね。

まず日本の農業を理解するための前提条件として【適地適作】という言葉を理解する必要があります。簡単に言ってしまえば「作物を育てるには適度な気温と、十分な水分が必要ですよ」という意味です。米・オーストラリア・中東・アフリカなどの地域では”干ばつ”が食糧増産の足かせになっています。その他の地域でも同様に干ばつや低温が足かせになっています。それにたいして日本は「温暖・湿潤」であり植物がメチャメチャ育ちます。最近は空き家や耕作放棄地が社会問題になってますが、数年間放置しただけで”草ぼうぼう状態”なってしまうのも日本の気候が植物生産に適しているからなんです。

しかも日本人の多くは”読み書き計算”といった労働者として基本的な能力を備えていますし、設備投資がおこなえるほどの十分な資金も持っています。これは世界的に見ても大変に恵まれた環境です。

つまり、国土が狭くて生産性を上げにくいという問題はあるものの、これだけ好条件のそろった日本の農業が弱いなんて【荒唐無稽でありえない話】なんです。

「農家が減ることって本当に悪いことなのか?」という疑問を持って考えてみてください。
ただし、以下の条件を考慮すること。
①トラクターや除草剤などの近代的な農業技術の普及により、今まで10人でやっていた作業が1人でできるようになった。
②耕作に適した平地は農地や住宅地として開発済みであり国内の農地はこれ以上増やせない。
③日本は侵略戦争を放棄しているので国土は増やせない。

この条件を考えれば分かることですが、要するに農地が増やせなにの労働生産性が上がった(必要な労力が減った)のだから”労働力あまり”が起こっているだけなのです。そしてモノの価格は「需要と供給のバランス」で決まるわけですから、労働力があまっていれば労働力の価格(農家の儲け)も低くなります。そして、価格が下がったことで労働力の供給(農家人口)が減るのも当たり前の話しなんです。

農家が減った原因は「キツイ・汚い・儲からないからだ、あるいは高齢化だから」と語られますが、それらは全て間違いです。先にあげた①②③による【労働力の需要減少】が根本なのです。農家減少は需給バランスが調整された結果でしかありません。大事なポイントは「労働力としての需要が減った」というところです。いいですか「キツイ・汚い・儲からない・高齢化だから→農家が減った」ではないんです。「労働力としての需要が減った」が先なんです。

どこのデータかは忘れましたが、日本の農家の8割は売上が500万円以下の零細であり、残り2割が生産額の7割を叩きだしているそうです。つまり8割の農家が引退しても優秀な2割が頑張れば7割の生産が可能ということです。それどころか農地や補助金などのリソースを集中することで効率化を進めれば10割越えも十分にありえます。だからこそ農家の数は減らした方がいいのです。

さらに言えば、この「日本の農家の8割は売上が500万円以下の零細」という一文にもトリックがあって、いわゆる自給的農家・土地持ち非農家・採算度外視の”年金暮らし農家”など【稼ぐ気の無い書類上の農家】が大部分をしめており、彼らが統計の数字を大きく引き下げています。

やる気のない農家をいかに減らすか。
例えば『親族間で農地の相続を禁止』としてはどうでしょうか。実際、兼業農家の多くは「先祖代々の土地だから」といったノスタルジーを理由に惰性的に続けている人が多いと聞きます。そこで、農業を引き継ぐ際には親族以外から農地を取得しなければならないようにするのです。このように先祖代々の土地から強制的に移動する仕組みにすれば、やる気の無い兼業農家や土地持ち非農家を根絶できるのではないでしょうか。

農地の相続を禁止にすることで農家一戸当たりの経営面積が増えれば利益を上げやすくなります。利益が上がれば融資を受けやすくなり大規模化も加速します。

話しは逸れますが、無人トラクターを開発するTVドラマが最近ありましたよね。かなり大規模な農家でない限りあのような設備を導入しても採算が合いません。つまり、無人化できるほどの経営規模・技術力・資本力のある農家と、そうでない零細農家の格差は今後、加速度的に拡大していくはずです。

「農産物の価格が下がったらデフレが酷く…」という考えは根本的に間違っている。
価格は需要と供給のバランスで決まります。つまり「物価が上がる→景気が良くなる」ではなく「需要が増える→物価が上がる」の順番です。

とにかく需要が先です。

農業がGDPに占める割合に注目すると、製造業の約19%に対して農業はわずか1.2%しかありません。しかも製造業は原材料メーカーなど関連産業で多くの人が働いているのに対して、農業は総人口に占める割合が3%ほどです。消費者側の人の方がはるかに多いですから農産物の価格低下は日本の経済にとってメリットの方が大きいといえるでしょう。

優秀な農家が頑張って増産して、関税も下げれば食料価格は下がりますよね。それに加えて、大量に輸入すると国内にある農産物の備蓄や加工に使う設備の稼働率が上がるので加工コストはさらに下がります。社会保障費や消費税が上がる中で食費が下がることは実質的な減税です。現状、日本の貧困層は値段が高すぎて国産の米や肉を食べられないそうなので、安い農産物(特に米と肉)をじゃんじゃん輸入することは貧困層の救済にもつながります。

なので
①農地の相続を禁止、農家を減らして生産性を上げる。
②食料安全保障のためにも食料自給率(カロリーベース)は下げる。
③関税を撤廃する。
④、①②③で国内の食料価格を下げて貧困層が飢えないようにする。
⑤高級農産物の輸出で外貨を得る。
という答えになるのです。

つまり国産は輸出して外貨獲得に利用して、日本人は安い輸入品を食べりゃいいのです。「輸入できないリスク」もありますが、それは政治的・経済的な努力により回避できます。それに対して天候不順による不作は品種改良や生産技術の向上など努力では超えられない壁があります。なので日本の経済力を考えれば不作リスクの方が深刻であり、政府が自給率を上げようとしないのは当然なんです。

日本人のコメ消費が減ったのは団塊世代が米を食べないから。
人口動態という極めて高い精度で未来を予測できる統計データがあります。これによると今後、数十年間は日本の人口が増加に転じる可能性はほぼありません。極めて高い確率で超高齢化と人口減少が続きます。日本人のコメ消費量の減少の原因は「若者の米離れ」だと言われていて、確かに若者のコメ消費は減っています。

しかし、それ以上に団塊世代がコメを食べなくなっているのです。人口の多い団塊世代がコメを食べなくなり、さらに今後20年ほどで大量に寿命を迎えるのですから、どう考えても国内のコメ消費量は減ります。

結論
農家の競争力や国土の保全を考えれば、減反政策のような生産量の抑制は愚策としか言いようがありません。

耕作放棄地が増える原因は「農業に適さない土地からの撤退」なのであって人手不足ではない。ファミレスが不採算店を閉店するのと同じで悪いことではない。農家が減る原因も「農地が増やせないのに生産性が上がったから」であって、むしろ良いこと。

カロリーベース自給率は低い方がいい。自給率が高い状態とは国内への一極集中であり「国内の不作=食糧不足」に直結する。

金額ベースでの自給率の方が大事。高齢化・人口減少によって国内の食料消費量は確実に減ります。農家が生き残るには、減り続ける国内のパイを奪い合うだけでは足りず「輸出で稼ぐ農業」に変わらなければいけない。
その為には先の①~⑤を実現したうえで十分に安い価格と品質の両立をしなければならないのです。

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