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ペーパー歓迎!公共交通で行く三重県(北勢エリア)

こんにちは、黒田玄です。
今回も、車がなくても回れるような三重県内の観光地を紹介していきます。前回作「ペーパー歓迎!公共交通で行く三重県(伊勢志摩松阪エリア)」では、松阪市より南、志摩半島方面を紹介しました。内宮を筆頭に全国的にも知名度の高い観光地が並びましたが、全体としてやはり大都市から遠いエリアでした。
今回紹介するのは北勢エリア。県下最大都市・四日市市を中心とした県北部、名古屋に近いエリアになります。
また今回は、私のスマホカメラでは夜景や遠景の撮影は難しいので、「三重県を撮る写真家」ふがまるちゃんさんのフリー提供写真をお借りしています(タイトル写真もお借りしたものです)。本当に素晴らしい写真が多いので、ぜひサイトやTwitterをご覧になってください。

mieken北勢


公共交通で行く三重県⑦関宿

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※写真はふがまるちゃんさんから。
場所:亀山市関町
アクセス:JR「関」駅。名古屋から亀山まで70分ほど、津から亀山まで20分ほど。亀山から関まで1駅6分。関駅から徒歩5分。

東海道47番目の宿場町で、重要伝統的建造物群保存地区。江戸情緒がそのまま残る宿場町です。長く続く道沿いには古い家がずらり。町並みの素晴らしさもさることながら、非常に長いうえに駐車場が少ないこともあって観光客が多すぎないのが最高です。押し寄せる観光客による雰囲気の破壊がなく、まさに宿場町地元の方の息遣いを感じられる、ツウ好みのスポットでしょう。伊勢志摩エリア以外で案内するならまずここ!という観光地です。

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※上二枚写真はふがまるちゃんさんから
歩き疲れたら関宿名物「志ら玉」で一服。昔ながらの和菓子屋さんで、店内にはちょっとした喫食スペースがあり、街並みを眺めながら一休みすると体力も一気に回復します。

関宿は東追分から西追分まで歩くと2kmあり、往復するだけでなかなかの距離があります。中心エリアだけ見るなら1時間あればゆっくりできますし、しっかり歩き切るなら2時間といったところでしょうか。関駅は列車の本数が少ないので、計画的にいくのが吉です。

公共交通で行く三重県⑧四日市港ポートビル

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※写真はふがまるちゃんさんから。
場所:四日市市
アクセス:JR「富田浜」駅、区間快速・普通のみ停車、一時間に2本ほど。名古屋から40分。近鉄からのアクセスは悪い(桑名で乗り換えるか、津で伊勢鉄道に乗り換え後四日市で普通列車に乗り換え)。駅から徒歩17分。

県下で一番高いビル(100m)。四日市港を見下ろす位置にあり、14階には展望台「うみてらす14」があります。320円でみられる絶景はもはやお得の域を超えています。

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日本有数のコンビナートを誇る四日市港。昼の時間帯も煙がたっていてなかなかの迫力です。しかし圧巻は夜。工場夜景の聖地ともいわれる四日市の夜景を眼下に見下ろすことができます。上の昼の写真とほぼ同じ場所を撮影しているのが、タイトル下の写真。夜景といえば、函館山など山の上からみる遠景が定番ですが、四日市の夜景はとにかく近いので、ド迫力です。

ちなみに、ビル内には望遠鏡が四方向についていますが、なんとすべて無料。レンズを覗けば、名古屋までも見えます。

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絶対に行ってほしいスポットではありますが、注意点があります。まず、夜景が見られるのは土日のみ。土日は21時まで(最終入館は30分前)ですが、平日は17時に閉館です。また、富田浜駅からの道は工場に連なる道。夜になれば人通りはなく、たまにいる車はかなりスピードを出しています。一人で行かれる場合はご注意ください。

公共交通で行く三重県⑨四日市市街

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場所:四日市市
アクセス:「近鉄四日市」駅。名古屋から特急30分・急行35分。津から特急20分。急行30分。大阪上本町から特急110分。駅周辺に市街地が広がる。

四日市といえば、世間的には「工業」「公害」で有名でしょう。素晴らしい工場夜景が広がり、工業のイメージは間違いではありません(沿岸のコンビナートだけでなく、山側には先端産業も見られます)。しかし、もともと港町・宿場町として発展してきた四日市は、名古屋からの近さもあって県下最大の都市として人々の生活の拠点ともなっています。現在人口は約31万人。その中心となる近鉄四日市駅(JRの四日市駅とは別物です。)は、一日乗車客(2018年)が45,116人(近鉄のみ・参照)で、これもまた県下No.1。参考までに、JR東日本の乗車客数100位(2018年)は田端駅(47,440人)。以降阿佐ヶ谷(46,089人)、西荻窪(45,778人)、鎌倉(44,838人)と続きます(参照)。車社会にあってこれらの駅と肩を並べるところからも、賑わいが伝わるでしょうか。そんな賑わいのまち、四日市のソウルフードはトンテキ。駅前でも食べられますので、ぜひご賞味ください。

もう一つ、駅から徒歩3分の四日市公害と環境未来館を紹介します。

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四日市公害と環境未来館は、市立博物館と一体となった施設で、かつて公害のまちとなった四日市が、どのように発展し、どのように公害が起き、そしてどのように対処して今があるのかがわかります。料金は無料。ここに寄ってから見る四日市港の工業地帯はなんだか安心して見られます。また、隣の「じばさん三重」では、三重の産品をたくさん扱っていますので、ぜひ合わせてごらんください。

公共交通で行く三重県⑩湯の山温泉・御在所

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※写真はふがまるちゃんさんから。
場所:三重郡菰野町
アクセス:近鉄「湯の山温泉」駅。近鉄四日市から湯の山温泉まで25分。駅からは、御在所方面はバスで10分。アクアイグニスへは徒歩9分。

鈴鹿山脈に聳える御在所岳。この山へと昇っていくロープウェイと、その麓にある湯の山温泉が目玉です。

急峻なロープウェイ(鉄塔の高さ61mは日本一です)を登ると、伊勢平野や伊勢湾が一気に開けます。秋には紅葉が華やかに色づき、そして冬は県下唯一のスキー場がオープンします。

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※写真はふがまるちゃんさんから。

ロープウェイは9時から17時ごろ(冬期は16時ごろ)まで。往復で2,450円となかなかしますが、間違いなくそれに見合うものが見られます。ただし、標高が高く寒いので冬は特に要注意。

さて、御在所ロープウェイの麓に広がる湯の山温泉もまた名湯。歓楽街化しておらず、いわゆる「温泉街情緒」はないものの、自然に囲まれた落ち着いた雰囲気でゆったりと過ごすことができますし、日帰り入浴も可能です。ロープウェイで山上に行かずとも、部屋から見られる景色が素晴らしいです。写真は湯の山かもしか大橋とその向こうに広がる四日市の街並み。

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温泉旅館はハードルが高い!という方におすすめなのは、湯の山温泉駅からやや下ったところにある「アクアイグニス」。近代的な温泉リゾートです。

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料金は平日600円、休日800円(タオル等別)。館内には温泉はもちろん、休憩所や充実したカフェもあります。なんといっても休憩所には畳の上に「ゴロゴロクッション」が大量に。これは……人をダメにするソファ……座ったが最後出てこれないアリジゴクのような悪魔の椅子。時間の制約がなければ何時間でもいられます。

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なんと営業時間は6時から24時まで。本当に一日中いられてしまいますね……。ちなみに湯の山温泉駅の最終電車は平日23:12、休日23:10。下り津新町行き急行、(休日のみ)上り富吉行き普通に接続します。(2020年1月現在。最新のダイヤをご確認ください。)

公共交通で行く三重県⑪桑名市街

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場所:桑名市
アクセス:JR・近鉄「桑名」駅。名古屋から近鉄急行・JR快速で20分。近鉄四日市から急行で12分。津から近鉄急行・快速みえで40分。桑名駅から六華苑・七里の渡し・桑名城はそれぞれ徒歩17分、相互の間は徒歩6~8分。

桑名市

名古屋から木曽三川を越えると桑名です。江戸時代には桑名藩が置かれ、藩祖は徳川四天王の本多忠勝。幕末には会津と並び幕府方の主要な藩として活躍しました。いまでも地図に残るように城下町の趣を残しています。桑名城近くには、本多忠勝の銅像もあります。

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桑名市街の見どころは、六華苑七里の渡し跡。

六華苑は、鹿鳴館やニコライ堂を設計したコンドルの作品で、和洋折衷の大胆な作りが魅力。なにより、大河ドラマ「いだてん」で、三島家の邸宅として使われたので、見覚えのある方もいらっしゃるのでは。

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七里の渡しは、東海道の船着き場。かつて東海道は名古屋市の熱田から七里、桑名までの区間が海路でした。この区間には庄内川や木曽三川(木曽川・長良川・揖斐川)といった大きい川の河口が集中しており、昔から氾濫の多い地域でもありました。現在海路は廃止され、七里の渡し跡は内宮の一の鳥居が残るのみです。とはいえ揖斐川に向かって立つ鳥居は、かつて多くの伊勢路を往く人々を迎えてきたのだと思うと、感じ入るものもあります。

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公共交通で行く三重県⑫ナガシマリゾート

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場所:桑名市長島町
アクセス:JR・近鉄「桑名」駅よりバス。上と同じなので省略。イルミネーションの時期は、なばなの里へは桑名から一駅名古屋寄りの「近鉄長島」駅からバス。

「ナガシマリゾート」自体は正確には長島町の外にある施設も含んだ総合的なブランド名ですが、ここでは中核施設のナガシマスパーランドなばなの里を指すこととします。いずれも全国的に名の知れた施設で、特になばなの里のイルミネーション(5月まで)には毎年数多くのカップルが押し寄せます。しかし残念なことに、筆者は一人旅派。上にあげてきた施設にはひとりで行けても、さすがにテーマパークやイルミネーションに一人で行く勇気はありませんでした……。これらの施設についてはネットに数多くの情報が挙がっているのでそちらを参考にしてください。

……と、締まらないオチになってしまったので、最後に番外編を一つ。

公共交通で行く三重県(番外)三つの線路幅の踏切

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場所:桑名市
アクセス:JR・近鉄「桑名」駅から徒歩6分

桑名にある日本唯一の変わった踏切。桑名駅にはJRと近鉄が乗り入れますが、そこに隣接する西桑名駅には三岐鉄道北勢線も乗り入れ、駅の南部で三者は並走します。この三岐鉄道北勢線は日本に三路線しかない「ナローゲージ」、すなわち線路幅が極端に狭い(特殊狭軌)路線です。

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桑名駅の南側にある踏切では、東から三岐鉄道北勢線(762mm)、JR関西本線(1,067mm)、近鉄名古屋線(1,435mm)の三路線を跨ぐため、一度に三つの線路幅をみることができるというわけです。実際、762mmと1,435mmでは倍ほど違うので、全然違うものだとよくわかります。

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この三岐鉄道北勢線は桑名から東員町を経ていなべ市へと伸びています。終点の阿下喜にある阿下喜温泉をはじめ、このあたりのエリアはトピックがほかにもありますが、このエリアについては別の記事で丁寧に解説しようと思いますので、今回の案内からは抜いてあります。


以上、北勢エリアの公共交通で行けるスポットをご紹介してきました。前の記事でも申し上げましたが、挙げているのはあくまでも一例、三重県に初めて来る方を主なターゲットとしています。魅力的なスポットはたくさんありますので、まずは一度足を運んでみてください。

次回は中勢・伊賀エリアを紹介しようと思います。

↓前回の記事。


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