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窓の外の夏

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ゴッホの「ひまわり」、耳切りのエピソード、ゴーギャンとの共同生活を題材にした短編の習作
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窓の外の夏(3)

窓の外の夏(3)

 フィンセントは病室で目を覚ました。すでに、パリからテオも到着し、わたしたちは代わる代わるフィンセントを看ていた。
「左耳はどこだ」
 目覚めたフィンセントは、開口一番そう言った。わたしとテオは顔を見合わせた。ぞわりと寒気がした。自らの左耳の所在をたずねるというのは、奇妙なことこの上ない。
「切り落としたわたしの左耳はどこだ、ポール。あれをウージェニーに送るんだ、そう言っただろう」
 覚えていたの

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窓の外の夏(2)

窓の外の夏(2)

 フィンセントが、窓辺に飾った鮮やかな向日葵を描き、わたしがその様子を描く。その作業が長い間続いた。その間、わたしたちが特別多く会話したということはなかった。互いの知らなかった面を知ったということもなかった。それぞれが描くべき対象を、ただひたすら描いている。それだけだった。わたしはフィンセントを描いているにも関わらず、彼に背を向けて描いた日もあった。そんなわたしをフィンセントは嫌悪し、わたしはそれ

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窓の外の夏(1)

窓の外の夏(1)

 わたしがフィンセントと共同生活を始めて二ヶ月近くになる。南仏の太陽が相変わらず暖かく優しくアルルの町を照らしている。そんな太陽の満ち足りた輝きのもとで、わたしたちはこの二ヶ月、小さな「黄色い家」で、ひたすら互いをののしり合い、貧乏を嘆き、そして絵を描いた。

「ポール、君は、何のために絵を描いているんだい?」
 ある朝、わたしが壁に向かってキャンバスを置き、ある女の絵の制作をしていると、唐突にフ

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