SDGs定点観測 目標3:保健
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今回は目標3:すべての人に健康と福祉を、略して保健です。目下の新型コロナウイルスに関する全ての取組はこの目標に包含されます。マスクや消毒液の製造、オンライン診療システムやテレワーク環境の整備は予防に不可欠ですし、治療薬開発は最重要目標です。もちろん緊急時ですので、これらの行動を起こすのに、目標3との紐づきを表明する企業はないでしょう。むしろ今回の危機を乗り越え、目標17:実施手段がどのように変化していくのかに注目が集まります。この点については目標17の記事であらためて触れたいと思います。
それ以外では主に新興国での基本的な保健システムの普及と先進国での取組に大きく分かれます。
特に新興国では先進国では当たり前となっている様々なインフラが不足していることがあります。この不足の是正こそ、この目標の主眼です。医薬品の不足も深刻で、解消すべき問題と認識されています。その原因としてその開発には膨大な労力がかかるため、それを回収するために医薬品価格が高くなってしまい、新興国の患者がとても払えない額になってしまっていることがあります。
そこで新薬開発を促進するために政府、企業、財団が協力してグローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)を2012年に創設されました。この基金に資金を拠出しているフルパートナーにはアステラス製薬、中外製薬、第一三共、エーザイ、塩野義製薬、武田薬品といった日本の名だたる製薬メーカーが名を連ねています。
GHIT Fundのアソシエートパートナーのシスメックスも新興国の医療問題に熱心に取り組んでいます。同社は検査機器の大手メーカーです。最近メディアでPCR検査を実施してから結果が分かるまで時間がかかるという話が出ることがあります。同社の検査機器はこのような検査の効率化に寄与しています。また機械が検査を実施するため、人間に感染するリスクを激減することが可能になります。
シスメックスは三大感染症の中でもHIV/AIDS、マラリアの検査について自社の取組を取り上げています。いずれも3分もしくは1分という短時間で検査が済むため、迅速な対応が可能となります。
また新興国で機器が導入されても、それを適切に使えなければ効果は限定的となりますので、検査に従事するスタッフや体制への支援も積極的に行っています。ガーナやナミビアでの品質管理システム導入やスタッフへの研修、アジアでの学術支援、国家レベルでの検査システムの支援は先進的です。
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