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杉で栄えた城下と港、一体の街/お得なマップで食べ歩き/日南市

「日本の城下町を愉しむ」一覧
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★都道府県 宮崎県
★城郭 飫肥城

 日南市は城下町飫肥(おび)と、その外港であった油津(あぶらつ)が合併して戦後誕生した市だ。二つの街は6キロほど離れているが、江戸時代から一体となって地域を支えてきた。その核は飫肥杉だ。
 は日本固有の、世界的に見れば「生きた化石」の部類の木である。材としての優秀さが古来から認められ、人の手で日本中に広げられた面もある。
 その中で「飫肥杉」と地名つきブランドとなった理由はその軽さ。寒い地方では年輪が緻密になり丈夫な材になるが、暖かく気候に恵まれた日南周辺では年輪の間隔が広くなり、軽い材になる。これは木造船の部材に最高だった。飫肥には杉製品の店も多いが皿や器など、その軽さに驚く。
 江戸時代から藩財政を支える資源として注目され、飫肥の山林から全国に木材を積み出す油津の重要性が増した。このため上流から木材を流す川と港を結ぶ、1キロにも及ぶ堀川運河が江戸時代初期に2年以上かけて掘削された。大変な難工事だったらしく、運河河口には「人柱様」の供養碑が立っている。
 油津は明治以降はマグロ漁業の基地としても栄え、「寅さん」ロケ地ともなった石造の堀川橋や、市民オーナー31人が100万円づつ出資して保存された赤レンガ館など往時を偲ぶ建物が多い。
     ◇
 こうして飫肥杉で藩は潤ったが、今度は山林を伐り尽くして資源が枯渇し

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