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「詠唱発祥の地」

浄土宗の「御詠歌」組織化を記念した碑

★ジャンル【文化】
★場所 港区芝公園4-7-35
★最寄駅 都営地下鉄三田線御成門駅、芝公園駅または都営浅草線・大江戸線大門駅

★碑文
「浄土宗は、終戦直後の昭和21年、国は焦土と化して、身も心も路頭に迷う人々に心のやすらぎと生きる希望を与える教化活動として、時の浄土宗教学部長吉水智承師を中心に、古くて新しい詠唱、浄土宗吉水講をこの地増上寺境内に開きました。第一回詠唱講習会が、松濤基道師、鈴木錦承師を講師として総本山知恩院に於て開催されたのが同年7月であります。詠唱教化の道が開かれましたが、奇しくも翌22年12月に浄土宗に宗政の変動が興り、詠唱教化の道は停滞したかに思われました。しかし、幾度の困難を乗り越えて、詠唱は政治を超越し、念仏教化の道として受け継がれ、昭和26年9月、僧和探玄師、花木順道師、知足園朗師、池上霊心師を中心に知恩院吉水講が産声を挙げました。増上寺吉水講は、昭和55年善導大師一千三百年遠忌を記念して、第一回詠唱大会を開催することができました。その後毎年御忌奉納を続け、念仏の助業としての詠唱は、燎原の火の如く、関東、中部、東北、北海道一円に広まり、寺院を中心に吉水講の集いが結成され、新しい念仏信仰が盛り上がり、今日の浄土宗吉水講の発展に大きな原動力となりました。これは松濤基道師、菊地道雄師、北山良祐師、故鈴木錦承師、故曽我晃也師及び詠唱指導普及委員先生のご尽力の賜であり、講員一人一人の地道な活動と熱意にほかなりません。
 このたび増上寺吉水講20周年記念大会を開催されるにあたり、浄土宗吉水講の記念事業として、「詠唱発祥の地」と題し、浄土門主中村康隆猊下吉水講総裁の御染筆を戴き、ここに記念碑を建立することができました。先徳の主旨を受け継ぎ、吉水流詠唱を通じて念仏教化の道が全国に弘まることを念願するものであります」

★解説
 増上寺の三解脱門を入り、左側の一角にあります。
 「詠唱」と言っても一般の方にはさっぱりわからないですよね。「詠唱」とは浄土宗特有の言い方で、普通は「ご詠歌」と捉えられているものです。西洋音楽の詠唱とは全く異なります。「ご詠歌」とは仏教の教えの言葉に節をつけて唱えるもので、特に七五調のものを「和讃」と言いますが、和歌に節をつけたもの自体を「ご詠歌」と言ったり、宗派によって区分けは様々です。
 このご詠歌は中世からある古いものですが、明治以降仏教の近代化の中で、各宗派が教化手段として新しいご詠歌を編み出し、盛んになってきます。その中で浄土宗が戦後に造ったのが「詠唱」で、宗祖法然(ほうねん)や高僧が呼んだ和歌に節をつけるものを「ご詠歌」、それ以外の仏の教えなどの言葉に節をつけるものを「和讃」と称し、さらに舞も舞われ、これには日舞だけでなく洋舞もあり、これら全体を詠唱と言います。
 この詠唱を行う組織、講が最初に組織されたのがこの増上寺と言うことで、発祥の地」の碑が建っていますが、教化活動として最初の講習会が開かれたのは京都の知恩院です。吉水という名は、法然が住んだ京都の吉水草庵にちなみます。
 碑にもあるようにその後盛衰がありますが、1980年(昭和55年)からはこ

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