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舟に乗って殿様気分満喫/お堀のタイと戯れ、借景に酔う/高松市

「日本の城下町を愉しむ」一覧
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★都道府県 香川県
★城郭 高松城

 高松では舟遊びと洒落込みたい。
 高松城のお堀では和船による遊覧が体験できる。堀で船に乗れる城は珍しい上にここは和船。船頭さんの案内で20分ほどだが、修復が進む天守台や鞘橋まで間近に迫れる。
 さらに驚くことがある。高松城は日本三大海城の一つで、明治まで城は直接海に面していた。堀の水は全て海水で、今残る堀も海とつながっているため、堀には海の魚がいる。中でも多いのはマダイとクロダイ。
 乗船時にエサを渡されるが、船が岸を離れるや否や、タイの大群が押し寄せてくる。エサ目当てなのだ。澄んだ水面から表情まで見えるタイにエサをまくと、バシャバシャと激しい水音を立てて奪い合う。
 マダイなどはピンクの色はもちろん、魚屋では見られない虹色の鱗がよく見えて美しい。「国の史跡の中なもんで、釣ったらいかんのですよお」と船頭さんが笑う。釣られる心配がないから、うっかりするとエサをまく手にかみつかれるのではないかと思うほど、近寄って跳ねてくる。なかなか得難い体験だ。
 舟遊びは高松藩主の別邸だった庭園、栗林公園でもできる。江戸時代からの姿がほぼ残る南庭の中でも見所の多い南湖を、こちらは30分ほどかけて船頭さんの名調子で案内してくれる。
 高松城でもそうだが、水面からの視点は陸の上からとはまた違い、見えない角度、近づけない池の島にも迫って堪能できる。例えば天女嶋にある巨大な珪化木(古代の樹木の化石)などは島の裏にあり、昔なら殿様しか見られなかったはずだ。
 その殿様たちは城と庭園を船で行き来したらしい。城には海や水路に直接

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