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北前船で栄えた街、現代によみがえる/本州との交易のあとに驚き/松前町

★「日本の城下町を愉しむ」一覧
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★都道府県 北海道
★城郭 松前城

 松前藩主松前家の菩提寺、法幢寺の裏手には歴代藩主の広大な墓所があり、石の墓碑を覆う珍しい石の建物、石廟が23基も並び壮観だ。驚くのがその石材。笏谷石という石や御影石が使われているが、笏谷石は遠く海を隔てた福井市の特産の石で、御影石に至ってはなんと瀬戸内海産である。

松前家霊廟

          法幢寺の松前家墓所

 松前に石がないのかというとそんなことはない。松前城の石垣の石は裏山の石切場から切り出してきた。廟の石は、わざわざ遠隔地から日本海の荒波を越えて運ばせたのだ。そうやって藩主家の権勢を示したのだろう。
 墓所だけではない。法幢寺では参道の敷石や石垣にも多くの笏谷石が使われている。また隣の龍雲院本堂は江戸時代に越後柏崎の大工が造った国の重要文化財で、屋根瓦は寒冷地に適した越前瓦だ。
 このように、松前が江戸時代に本州の各地と密接に結びついていた痕跡は城下町のあちこちに残る。この物流ルートがいわゆる北前船(きたまえぶね)の航路だ。
 北前船は、厳密には江戸時代初期に豪商河村瑞賢が開拓した航路を使い、日本海貿易に携わった船を指す。船主が荷主でもあり、「動く総合商社」などという言い方もされる。
 北海道の江差あたりから秋田、酒田、新潟、富山、加賀、敦賀などを経

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