「東京高円寺阿波おどり踊り始めの場所」
誰も見たことがなく始まった高円寺阿波おどり
★ジャンル【娯楽】
★場所 杉並区高円寺南3-58-27
★最寄駅 JR中央線高円寺駅
★解説文
「高円寺阿波おどりは、1957年(昭和32年)8月27日 30数名の若者がこの場所から桃園川までの200メートルほどを踊ったことに始まります。高円寺南商盛会(現高円寺パル商店街)に青年部「まどか会」が誕生。その記念行事に氷川神社の祭礼(8月27日・28日)の奉納の催しと、商店街の振興策として諸案を検討。盆踊りのやぐらを組むスペースもなく、神輿を準備する資金もない中で、狭い商店街でも賑やかに練り歩けるということで阿波おどりをしようと決まりました。しかし、阿波踊りを見たり、鳴り物を聴いたことがある人は誰もいません。そこで、踊り方や着付けを日本舞踊の師匠に習い、当日は長仙寺の庫裏で先生から白粉、眉墨、口紅を塗りたくられ、皆「化け物」となったそうです。そして鳴り物はチンドン屋に依頼し、高円寺ばか踊りと名乗り、意を決して踊り始めたと言われています。それから長い年月を経て、一商店街の行事が地元の皆さんのご理解や踊り手の熱意に支えられ高円寺全体のまつりに成長し、東京の夏の風物詩に数えられるようになりました。何も知らぬままに踊り出した先人達の情熱に思いを馳せ、この場所が第一回高円寺阿波おどりのスタート地点であることを後世に伝えるため、創成期の商店街の様子と現在の踊り手を融合させた壁画と路面画を制作設置しました」
★解説
阿波おどりで有名な高円寺駅南口のパル商店街を下っていくと、入り口から入ってまもなくの右手に叶屋という宝石店があり、その横が商店街裏にある長仙寺への通路となっています。アーケードになっている通路上の部分と路面に絵が描かれ、通路の門に解説が掲げられています。2022年にできたばかりのホヤホヤの発祥地です。
8月末に行われるこの祭りは、ほぼ毎年同日開かれる「浅草サンバカーニバル」と共に、今や東京を代表する夏祭りです。しかしその第一回が、誰も阿波踊りの実物を知らないで開かれたとはびっくりですね。しかも場所もお金もない中での苦肉の案だったのでした。隣の阿佐ヶ谷で1954年から開かれた七夕祭りが大きな売り上げにつながっていたのが刺激になったと言います。
解説文にもある通り、「阿波おどりをやろう」とはなったものの、誰も見たことがないのでさすがに「阿波」を名乗るのははばかられ、「ばか踊り」となったそうです。しかし1回目の観客は2000人、2回目は5000人。売り上げ効果も少なく、警察の道路使用許可もなかなか下りず、初めの頃は常に存続の危機でした。
またいつまでも「ばか」では何だ、ということで1961年から東京の徳島県人会の経験者に手解きを受け、1963年からは正式に「高円寺阿波おどり」と名称変更します。さらに本場徳島への「留学」も始まり、1966年には高円寺に阿波おどりのグループ、「連」が誕生します。
こうして多い年には踊り手1万人、観客100万人という盛大な祭りへと発展しました。しかしこのコロナ禍で2020年、21年と開催が中止され、2022年も商店街での踊りは中止で、屋内会場のみでの祭りとなることが決定しています。
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