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「最初の芝区・麻布区・赤坂区役所跡 近代地方自治の発祥」

現代に連なる地方自治体の創設

★ジャンル【社会】
★場所 最初の芝区役所跡 港区芝公園2-3-2 安養院
    最初の麻布区役所跡 港区元麻布3-10-5 龍澤寺
    最初の赤坂区役所跡 港区赤坂7−3−39 高橋是清翁記念公園

★最寄駅 芝区 都営浅草線・大江戸線大門駅
     麻布区 都営大江戸線麻布十番駅
     赤坂区 東京メトロ青山一丁目駅

これまでの23区発祥の地一覧

★碑文
(最初の芝区役所跡)
「明治初期の地方制度は、改正がくり返され、東京の行政区域はなかなか定まらなかった。そうした中で、明治11年(1878)7月22日、わが国地方自治制度のもとを作った郡区町村編成法が発布された。これにより、同年11月2日、東京には15区6郡がおかれ、芝区が誕生した。その時、この安養院に最初の芝区役所が設けられ、11月4日に開庁し、初代区長に相原安次郎が任命された。当時の芝区は桜田・三田・白金・高輪の地域で、戸数14,757戸、人口58,861人であった。芝区役所は、その後愛宕町に移り、さらに大正15年(1926)に現在の港区役所の位置(芝公園1-5-25)に移った。なお、芝・麻布・赤坂区は、昭和22年3月15日、統合されて港区となった」

(最初の麻布区役所跡)
「江戸が東京と改称されてから、その行政区画の変遷は煩雑を極めた。明治11年(1878)7月22日、郡区町村編成法が発布され、11月2日には、芝・麻布・赤坂など15区と荏原などの6郡が置かれ、町村会、区会を開設することになったが、これは近代地方自治史上、画期的なことであった。これによって明治6年(1873年)12月以来、この龍澤寺の堂宇を借りて設置されていた第2大区12小区の区務所は、明治11年11月4日から、麻布区役所として開帳し、初代区長には前田利光が任命された。なお、芝・麻布・赤坂区は、昭和22年3月15日、統合されて港区となった」

(最初の赤坂区役所跡)
「明治初年の地方制度はいくたびか改正のくり返しが続いたが、明治11年(1878)7月22日、近代地方自治の歴史上画期的な、郡区町村編成法などの公布によって、同年11月2日、東京は15区6郡に区画され、区会も設けられた。その時、現在の赤坂・青山の地域が赤坂区として誕生し、最初の赤坂区役所が赤坂表町3ノ5(現在赤坂7-2)に置かれ、同年11月4日に開庁した。初代区長は翌2年1月、島津忠亮が任命された。赤坂区役所はその後、表町1丁目などに移り、さらに明治24年(1891)に現在の港区役所赤坂支所の位置に移った。なお、芝・麻布・赤坂区は、昭和22年3月15日、統合されて港区となった」

★解説
 今回は同じ内容の場所が3か所ありますので、例外的に3か所同時に紹介します。
 芝区役所後の安養院は大門駅から増上に向かう通りの途中左側の小さなお寺です。龍澤寺は麻布十番通りをテレ朝方面に進んだ一番奥の左側奥。高橋是清翁記念公園は青山通りの赤坂御所向かいです。
 微妙に表現は違いますが、いずれも同時期に設置された港区の元となった区の区役所跡地の案内板です。この区の設置時期を「近代地方自治の発祥」と位置づけた港区教育委員会のセンスはまあなかなかいいと思います。ただ単に跡地というだけでなく、その歴史的意義も含めて紹介しているわけですね。
 この時に決められた自治体の区割りや枠組みが発展、合併を繰り返し、現在の自治体につながっています。
 しかしその評価には異論があります。案内板の文面からすると、この近代地方自治の出発点としてのプラス評価に感じられますが、とんでもないことです。
 よく勘違いしている方が多いのですが、江戸時代は農村も町もほぼその内部は自治です。武士は支配階級とはいっても、年貢さえきちんと納めていれば、町人や農民の間でどんな運営が行われようとたいていは関知しません。江戸でいえば、奈良屋、樽屋、喜多村家という3つの町年寄の家をトップに、町の主たる運営費用ややり方はほぼ自治でした。
 軽微な犯罪などは町内で処理しており、だからこそ民政から犯罪まで、わずか200人少しの江戸町奉行所の人員で江戸の町の治安や運営が保てたのです。時代劇を見ていると、何もかも奉行所が処理しているように見えますがそれは勘違いです。
 そして慣例に反して町人、農民の不利益を武士が無理に実行しようとすれば、一揆などの形でしばしば実力で抵抗しました。幕府の専権とも思われる大名の領地替えを撤回させた例などもあります。
 こうしたすでに実現していた地方自治のあり方を反故にしたのが明治政府

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