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俺に届け

先日、このようなものを書きました。

多くの方に読んで頂けたようで本当に嬉しいですし、今回を機に僕が書いたものを初めて読んでくださったという方もそれなりにいらっしゃるかと存じます。皆様、ありがとうございます。
ただ、率直に申し上げまして少々戸惑っているのも事実です。
過去に5000回くらいnote公式さんのオススメにピックアップされたことがある僕ですが、育児というジャンルでのそれは初めてだったので。
そしてそれと同じくらい懸念しております。
普段から主にこういった家族のハートフルな記事を書いている書き手だと思われるのではないか、と。
イクメンで良いパパ、みたいなイメージを持たれたかもしれません。
いや。それどころか高収入、高身長、高学歴でシュッとしたスタイリッシュかつ笑顔の爽やかなイメージを持たれたことでしょう。
でも、すみません。違うんです。全然イクメンでもなければイケメンでもありません。最近嫁からは「ガチャピンにそっくり」などと言われておりますし、笑顔もまぁまぁキモいです。あとシュッともしておらず、なんなら軽度の肥満です。普段もああいった感じのほんわかした記事ではなく、毒にも薬にもならないような文章ばかり書いているようなしょーもない奴なのです。

こうしてはいられません。

誤解を解かねば。

そう思って本日は筆を執った次第でございます。
逆佐亭 裕らくと申します。どうぞ一席お付き合いください。


さて。
「じゃあ、あの記事は耳触りの良い言葉と嘘八百を並べたものだったのか」
と問われれば、そこは全力で否定します。あれも本心ですし、まぎれもなくああいう一面だって僕にはあるのです。お恥ずかしながら。

しかし、まるで“普段から常に娘に慕われ、尊敬され、愛されている父親”のように書いてしまいましたが、実際のところはそれなりに辛辣な言葉も浴びせられております。全国の『娘を持つパパ』ならわかってくれると思いますが、女の子のお年頃というヤツは思ったよりも早く訪れるものなのです。
「くさい」「キモい」なんてのは日常茶飯事です。もはや挨拶程度にしか聞こえません。「ボンジュール」と返してやりましょうか。会話になってねーけど。

そういうワケなので、今回は
【過去に娘から投げかけられた辛辣な言葉十選】
をお送りできればと思っております。思っておりますというか、なんでそんなのを自らすすんでお送りしなきゃいけないのでしょうか。古傷を抉るとはまさにこのことです。勘弁してくださいよ。マジで。



【しっ、しっ】

初っ端からクライマックス感というか殺傷力が凄いですが、過去にこんなことも言われました。変なことは何もしていません。たまたま僕の進行方向に娘がいただけです。それだけなのにこの言われよう。心が弱い人なら死んでると思います。
さすがに見かねた嫁が「パパにそんなこと言っちゃダメでしょ」と咎めると、
「だってついてくるんだもん……」
と弁明しておりました。
わしゃ野良犬か。


【ついてこないで】

一つ目のエピソードに近いものがありますが、こっちはまた少し違ったニュアンスです。というのも、娘は一時期「魔女の宅急便」にハマっておりまして。このときも主人公であるキキの台詞をよく真似ていた時期だったのですが。一緒にスーパーへお買い物に行った際、一人ですたこら先に歩いていくので
「こらこら、迷子になっちゃうよ」
と後ろから追いかけたらこのナイフを投げつけられました。それこそトンボさながらに狼狽えました。どうすればよかったのでしょうか。あれからずっと僕は自らに問い掛けております。答えはまだ出ません。


【妖怪 太鼓腹】

週末に気持ちよく寝ていたら突然耳元で
「妖怪 太鼓腹さーん!!朝ですよー!!」
と絶叫され、突然の轟音に驚いて飛び起きました。
「ママが朝ごはんできたから起こしておいで、って」
と言っていましたが、絶対に太鼓腹はお前のアドリブだろ、と思わずにはいられません。そもそもそんな妖怪がいるのでしょうか。たしか嫁が水木しげる先生の妖怪図鑑を持っていたので今度探してみようと思います。


【このパパ野郎】

結婚当初、妊娠がわかった嫁と
「娘だったら絶対にパパって呼ばせたいなぁ」
なんて希望に胸を躍らせながら話していました。
結果、この有様です。
なんなのでしょうか。
もしかしたらですけど、娘の中で“パパ”という言葉は蔑称だという認識なのかもしれません。だとしたらこんなに悲しいことはありません。
かのシェイクスピアでもこんな悲劇は書けないと思います。


【またおち○ちん見せろよ】

どういう事なのでしょうか。この高圧的な物言い。
しかも品性も下劣です。親の顔が見てみたいです。
昔、お風呂に入るときにパンツ一丁でいるところを嫁がふざけて僕のパンツを下したことがありました。あらわになる師匠の師匠。
それを見て嫁は爆笑し、笑い声につられて飛んできた娘もその光景を見て爆笑していました。そのときの記憶が鮮明に残っているのでしょう。
しかし、そんな師匠の師匠(言いたいだけ)を「また見せろ」とは何事でしょうか。
一体、何を見逃したというのでしょうか。
いい加減にしてほしいです。


【パパにあげようね】

台所で嫁のお手伝いしていた娘の一言です。リビングに居た僕はこの言葉を耳にして「あぁ、幸せってこういうことかも」なんて思っておりました。
後になってわかったのですが、床に落ちたショートケーキのことを言っておりました。
とても残酷です。残酷な天使です。中年よ神話になれ、と思わざるを得ません。(この場合の中年は言うまでもなく僕のことです)


【ちっともわかってない!】

いつからだったかは定かではありませんが、娘は僕の顔の前でおならをするのが趣味です。趣味であり、特技でもあり、そして生き甲斐でもあるようです。いや、もはや宿命と言ってもいいのかもしれません。
そんな娘がまた性懲りもなくニヤニヤしながら僕の顔にお尻を向けながら近づいてきたので
「もういいよ!!」
と漫才のオチのように言うと、急に真顔になった娘が僕の目を真っ直ぐに見据えてこう言い放ちました。
確かに僕は女心というものがわかりません。平均的な一般男性と比べても鈍感な方だと自負しております。でも、これに関してはわかりたくもないです。いいです。鈍感で。


【ドゥーンスドゥン、ドゥー、ドゥーンスドゥン】

娘の前でお着替えをしていたときに、娘が裸の僕を見て不敵な笑みを浮かべながらそう呟いておりました。最初は「何かの鼻歌かな?」と思ってスルーしていたのですが、ついに恐ろしい事実に気づいてしまいました。
「こいつ……ライザップのCMで流れてるBeforeのときの音楽を口ずさんでやがる……ッ!!!!!」
と。
THE 悪意です。こんなに酷い話は聞いたことがありません。
頑張ってMAXでお腹を凹ませてドヤ顔でポーズを決めたのですが、BGMは変わらず流れ続けておりました。永遠にBeforeか。いい加減にしろ。


【あたし何もしてないのに】

娘は必ず嫁と一緒に寝ておりますが、年に一回くらいは僕と寝てくれてもいいのではないかと思うのです。なので眠そうに目をこすっている娘に「たまにはパパと一緒に寝よっか!」と誘ったところ
「ママー、パパが一緒に寝ようとか言ってくる。あたし何もしてないのに
と半ベソをかいて訴えました。
罰ゲーム扱いです。
僕と一緒に寝るのは何かしらのペナルティでしかないようです。
ちなみに嫁からは
「なんか泣いてるし、謝った方がいいんじゃない?
と促され、ついには謝罪をしてしまいました。
僕、そんなに悪いことしました?教えてください。


【ほら、食べな】

だから、わしゃ野良犬かっつーの。



愛ってなんだろう。

「愛はきっと奪うでも与えるでもなくて気が付けばそこに在るもの」
と歌ったミュージシャンもいれば、
「愛してるの響きだけで強くなれる気がしたよ」
と歌ったミュージシャンも居ました。

僕の場合はどれに当てはまるのでしょうか。
どれにも当てはまらないような気もします。
しかし、それでも僕は幸せなのです。
幸せのかたちなんて人それぞれです。

今夜も一緒に寝ようという僕からの誘いに「やだよ」なんて言いながらも、
「じゃあ寝る前にギューさせてよ」
と言うと「いいよ」と言って両手を広げてくる娘。
「じゃあね、パパ。おやすみ」
と言って寝室に向かう娘。

単純な僕はそれだけで明日からも頑張れるのです。

何故なら、僕の愛がきっと娘に届いているように、

娘の愛もまた、間違いなく僕には届いているのですから。



御後が宜しい様で。






お金は好きです。