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冬にも来てみたかった場所

12月のとある金曜日。
池袋駅に降り立った。

サンシャインシティで用事を済ませ、今度は駅を通り抜けて反対側に。
その前に腹ごしらえ。チェックしていたお店を訪れる。

夜はバーを営むお店。
冷えたからだにはスパイスを。目当ての薬膳カレーをいただいた。盛り付けが華やか。
窓際に席を取ったので通りを歩く人が目に映る。キャリーカートを引いた観光客。若者のカップル。スーツ姿のサラリーマン。
池袋で降りたのは10年ぶりくらいだが、さすがターミナル駅。人通りは途切れない。
ぼんやりと通りを眺めつつ、大きなスプーンでスパイシーなカレーを掬い取る。かじかむ指先まで熱が通るようだ。

池袋メトロポリタン口を探して彷徨う。
慣れない駅はこれだからいけない。無駄に歩数を稼ぎながら、人並みを避けながら、何とか外に出た。

前に来たのは夏だ。
うだるような日に、やはり彷徨っていた。
確かLUMINEがあって、カフェの前を通って…
おぼろげな記憶をつなぎ合わせて目的地に向かう。地図アプリ、どこへ行ったよ。

自由学園明日館。羽仁夫妻が創立した女学校。現在は東久留米市に移転しており、創立当初の建物は明日館として卒業生の活動拠点となったそう。
羽仁夫妻の友人を介して、建築家フランク・ロイド・ライトが設計した。使いながら文化財価値を保存する「動態保存」の形をとる。
重要文化財でありながら、一般的に利用できる。公開講座やホールのイベントが行われている。

喫茶付きの見学を選んだ。
ホール、食堂、教室をゆっくり歩いて回る。
外観も美しいが、磨き上げられた木床、経年変化で深みを増した椅子や机の色味。触ることもできるので背もたれに体を預けて壁画を眺めたり。
灯りは最小限。じんわりとあたたまる明るさ。

窓辺に座ると小鳥のさえずりが聞こえた。
外は冬枯れの景色だが、どこかに鳥がいるのかもしれない。
室内は低くピアノが流れている。

ひとりの見学者も多い。同じ場所にいても、それぞれが自分の時を過ごしている。
本もスマホも手放して、じっと座った。
肩から力が抜けて、思考を手放す赦しを貰ったみたい。
ただ、今、ここに。
たゆたっている私。

小教室のドアには冬色のスワッグ。
赤い実がクリスマスっぽい。
ささやかな飾りつけが心を和ませる。

以前noteに「どこか素敵なカフェで今年の自分を振り返りたい」と書いたけれど、
実現した。
ひととおり見学を終えて、喫茶チケットを引き換える。味のあるテーブルに着いて、コーヒーと焼き菓子。
それだけでゆるゆる。
手帳に気持ちを綴ることができた。

また季節を変えて足を運ぼう。

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