誰かに届きますように〜本のひととき〜

「水曜日の手紙」森沢明夫

海の近く、トンネルを抜けた所に水曜日郵便局があるという。

全国から集まった手紙を局員たちがシャッフルして、また誰かに送り届ける。

相手のわからない同士の手紙の交換だ。

時間の流れは平等なのに、まるで違う過ごし方。性別も立場も違う人の暮らし。

宛名のない手紙は独り言を呟くよう。

でも誰かに聞いてほしい。読んでほしい。一度受け止めてもらえたら心が落ち着くから。

全5章に3人の主人公が登場する。

悩みや迷いや不安を手紙にすることで、自らを振り返る。

思いの交差。書くことで決心するし、読むことで揺り動かされる。

週半ばの水曜日は、いわば折り返し地点だ。

手紙をきっかけに歩き始めることができる。

知らない誰かからのエール。

そんな手紙だった。





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