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続々・マンガも読む、結構ね。

「スナック キズツキ」益田ミリ

一瞬見間違いかと思うような、冗談みたいな店名のそこは


傷ついた者しかたどりつけない

路地裏にあるスナック(アルコールは置いてない)


ゆるいタッチの絵柄が和ませる。

マンガだけど、エッセイのような。

軽く読めるけど、核心をつくから侮れない。


お察しのとおり、これを手に取った日は凹んでいた。勝手に傷ついていた。詳しくは書かないけど何かに慰めて欲しかった。


傷つくって何だろう。

「私は酷く傷ついた」

この表現は流血沙汰の「傷」ではなく「心の傷」。目には見えないもの。だから他人には分かりづらい。自分でも上手く説明できない。

口に出して言えたら楽だ。

でも実際はドラマじゃあるまいし、そんな台詞言えない。

そのうち治ると自分をなだめて普通に過ごす。できるのはそれくらいだ。


「 スナックキズツキ」でお酒は出てこない。

アルコールで紛らわすことはしない。

その代わり、店主が思いがけない方法で傷を癒やしてくれる。

その人に合った、やりかたで。


傷ついた時に求めるのは特効薬じゃなくて、そっと寄り添ってくれるバンソウコウのようなものだと思う。

ただ話を聞いてくれて。

ただ側でうなずいてくれて。

気持ちを分け合ってくれるだけで、ほっとするんだと思う。

張り詰めた糸は切れてしまうから。

こんがらがった気持ちを解いてほしい。


傷つくと心は固まってしまう。

固い心は強いようでいて、脆い。

私が欲しいのは「 しなやかさ」だ。

何かぶつかっても、柔軟にしなって形を変えることもできる。

出来事を変えることはできないけど、受け止め方は変えられる。


さて、今の私がキズツキに辿り着いたとしたら。

何が出てくるんだろう?

店主と何をするんだろう?

想像すると気持ちが緩んでくる。



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