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あまやどり読書室

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読んだ本の中から、「これはよかったよ!」というものを紹介しています。
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2019年12月の記事一覧

2019年に出合えてよかった本|読んだ本

2019年もあともう少しで終わろうとしているときに、あわててまとめようとするわたしもわたしですが、今年出合えてよかったと思う本をメモしておこうと思います。 『贖罪』(イアン・マキューアン著/新潮文庫)小説を読む楽しさを教えてくれた、とても心に残っている本です。 最初の50ページぐらいはつかみどころがなく、まったく気乗りしなかったんですけど、登場人物の心の動きを丁寧に描き出しつつ、その先に起こる事件へと読者を導いていることに気づいてからどっぷりとその世界に浸ることができまし

ムリせずに、そのままで|読んだ本

今回紹介するのは平野啓一郎さんの『私とは何か ―「個人」から「分人」へ』(講談社現代新書)です。 人はたったひとつの個性しかないと考えるより、分人(相手によって態度や言葉づかい、話題を自然に変えている)と考えたほうが無理なく受け入れられるのではないか、という内容です。 前からこの本のことは知ってたんですけど、まぁいいかと読まずにいました。でも先日、小説『マチネの終わりに』での、主人公(蒔野聡史)の描写を読みながら、「もしかして、分人ってこういうことなのかも」と思ったところ

篠田真貴子さんが選んだ3冊を読む(BLIND BOOK CLUB)│読んだ本

9月に lifehacker で募集していたクラウドファンディング「BLIND BOOK CLUB」で、かつてほぼ日でCFOをされていた篠田真貴子さん選書の本を購入しました(現在は募集終了しています)。 11月初旬、篠田さんの選書エピソードが書かれたカードとともに、3冊の本が届きました。企画の性質上、本のタイトルを明かすことはできませんが、読んでみてどんな感想を抱いたかをまとめたいと思います。 1冊目:書き出すことの大切さを教えてくれる本この本、以前読んだことがありました

英文を読む楽しさを取り戻したきっかけ│買った本

あまやどり読書室、今回は渡邉淳さんの『TOEIC (R)L&R TEST 戦略特急スコア育成計画』です。もともと紫色のカバーがかかっていました。 今年の4月から10月ぐらいまで、英文を読む習慣をつけようと思って毎月1冊洋書を読んでいました。半年近く続けた結果、文法や語彙の穴を少しでも埋めないと(少なくとも、大学受験レベルぐらいには持っていかないと)、読んでも力にならないぞ、と思って、11月からは基礎体力を付ける学習に切り替えることにしました。 で、文法や英文解釈の問題集を

誠実であり続けること│読んだ本

本書『データの世紀』は日経のデータエコノミー編集部の連載をまとめた本です。第1章でリクナビの騒動を取り上げていたのが、読んでみようと思ったきっかけでした。 一番驚いたのは、精度がまだ高くない段階から販売していた、という部分です。目先のことにとらわれると大事なこと(ユーザーである学生の人生を大きく変えてしまう可能性があることに気づかなかった)を忘れてしまうんだと感じました。とはいえ、これだけ世知辛い世の中だと、心の余裕なんてあっさり失ってしまうのですが。 本書にはそのほかに