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Motley CrueのMotley Crue グランジ・オルタナをうまく取り入れながら当時全く評価されなかった彼らの最高傑作

高校生の時に日本のパンクロックに傾倒していました。
スタークラブ、ラフィンノーズ、ストラマーズ、マグネッツなどなどCDを買いあさって聴きまくっていました。
そんな高校時代に人生初めての彼女が出来まして、その彼女からチケット2枚あるからとコンサートに誘われました。
それがモトリークルーの大阪ホールコンサートでした。
当時パンクとメタルと言えば犬猿の仲。
パンクは精神性や生き様を売りにし、メタルはテクニックを売りにする。
パンクはメタルを魂がこもってない上辺だけの音楽、メタルはパンクを汚い下手糞と見下げあい、お互いが反目しあっているような音楽ジャンルでした。

そんなバリバリのパンクだった私に彼女からチケット2枚あるからとコンサートのお誘い。
パンクにコンサート。
しかもバンドはキングオブお騒がせパーティーロックバンドのMotley Crue。
もう速攻で返事しましたよ

「行きます」と

当然コンサートよりその後の流れに期待を持っていた不順過ぎる動機でした。
その時に前もって聴いておいてと渡されたのが彼らの5thアルバムDr.Feelgoodでした。
当日大阪城ホールでミクロマンぐらいのサイズのヴィンスが走り回り、体をねじるようにして拳を突き上げ、トミー・リーがブーメランパンツを履いて丸い籠の中に入り空中でぐるぐる回りながらドラムをたたく様を呆然と見ていました。
神戸のチキンジョージでスタークラブのライブしか見たことなかった私にとって、それはもう異世界でした。

もちろんアルバムは聴きませんでした。

人生初メタルがMotley Crueだったのですが、明るいパーティーロックは私の肌に合わず、彼らは私の人生においてさほど重要なバンドでにはなりませんでした。
その後彼女は親の離婚を期に当時通っていた学校をやめ、悪い友達とつるみはじめ私とは別の道を歩むこととなりました。

まぁそんなこんなでメタルを聴き始めてからもMotley Crueを改めて聴くことはほとんどなく、少し聴いては「パーティーロックは肌に合わん」と投げ出していました。
キックスタートマイハートは知っています、別に好きじゃないけど。
そんなこんなで色々なバンドを物色している時に飛び込んできたニュースがモトリーからヴィンス・ニールが解雇され、代わりにジョン・コラビが加入したというものでした。
そしてその後のニューアルバム発表でした。

そのニューアルバムはBurrn!のクロスレビューでもかなり慎重な扱いというか「モトリーがこれだす必要あるのか」「お前もか」的な評価が多かったように記憶しています。
でも曲はいいよ的な評価もあって、パーティーロックじゃないんだったら聴いてみるかなと購入してみたところ…これが非常に良い。

それまでの明るい音楽ではなく、もっとルーズでそれでいてヘヴィな音ながらしっかりとしたメロディ、正直捨て曲皆無で非常によくできています、特に気に入ったのはPower To The Music、Hooligan's Holiday、Misunderstood、Poison Apples、Smoke The Sky、Driftawayあたりですね。

でも今聴いたら結構良いじゃんという評価はちらほら見かけますが、当時はもうボロカスでした。
何でも書きますが、ミュージシャンのやりたい音楽、やろうとしている音楽と、リスナーの求めるものとの間って時に大きな溝ができることがあり、その溝は純粋な作品の質だけでは埋めることは出来ないんだなと思いました。

私はそもそもモトリーに思い入れが(青春の一ページ的な物はあれど)無いので、全く抵抗なく受け入れることが出来ましたね。
もっと速い曲欲しいなとかは思いましたが。

で、今になってこちらもレコードが欲しくて結構探し回っていたのですが、やはりこのアルバム黒歴史的な扱いなのか、Amazonや楽天、タワレコなどでも販売していません。
ヤフオクなどで中古を見かけても2万ぐらいまで高騰していて手を出しづらい感じだったんですよね。
今回はdiscogsで購入したのですが、それでも送料を合わせると結構かかりました。
もう一枚レコードを買って合わせて発送することで送料を抑えてなんとか自分の中で帳尻合わせた感じです。

しかしレコードで入手できたので家で再生する機会も増えますし、何よりこのジャケットかなり格好いいのでレコードサイズで壁などに飾れるのは非常に嬉しいです。

ニッキー・シックスは天才だと思うのですが、モトリーに関しては基本的に私の好みの音楽ではないので他のアルバムをレコードで買うことは無いと思いますが、このアルバムだけは大事に聴いていこうと思います。

そういえばこちらを書いた後にミック・マーズが持病の硬直性推炎を理由にツアーから引退を発表しました。
モトリー側はこれをバンドからの脱退と捉えてギャラの取り分を巡ってミックとモトリーとで裁判になっているそうです。

バンドを勝手にクビにされるって、このアルバムリリースする際のヴィンスと同じじゃないですか。
ミックもかつてバンド側として同じようなことをヴィンスにやっているのに、何故自分は大丈夫だと思ってしまったんでしょうか。
そしてヴィンスはかつての自分と同じような仕打ちを受けているミックを見て何を思うのでしょうか。

まぁ、ヴィンスはアホなのでもう自分のされたことも綺麗サッパリ忘れている可能性が少し、いやかなりあるのかもしれません。

しかしこうしてお互いを食いモノにし、罵り合って話題を集めているさまを見ると、母親の子宮から生まれ落ちる前に他の胎児と喰い合いをするシロザメを連想してしまい、なんとも業の深い人たちだなぁと複雑な気持ちになりますね。


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