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【心】弱き者の悪徳と呼ばれるもの

この世には様々な悪徳があります。

その中でも虚栄心というものは、一番つまらないものです。



虚栄心とは見栄を張る心です。

たいしたことのない自分の力を、さも立派なもののように見せかけようと独り奮闘します。



ですが、まともな悟性を持つ人間なら、他人の虚栄心には敏感に気づきます。


他のどの悪徳に比べても、虚栄心とは誠に晒されやすいものです。



悪徳とは、心の弱さが欲望と結びつき、発露したものですが、

虚栄心は「貧弱な自身を見られたくない」という恐れから生まれるものです。

恐怖は心の余裕を奪い、虚栄を張る者の態度に、一種の必死さを生じさせます。



ある意味哀れを誘うようなその必死さを、他人は感じ取るのでしょう。



他の悪徳なら、倒錯した価値観をもつ人間から信奉されることもあるでしょう。

それは人が、強者に惹かれる本能を備えているからです。



ですが、虚栄心は恐れから生じた悪徳です。

それは真なる意味で、弱者の悪徳といえましょう。

よって虚栄心は、いかなる信奉者も得ることがありません。



まったく虚栄心とは、卑小極まりないものであります。

卑小であり、虚栄心にとらわれた人間ほど惨めな者はありません。



それは十分に同情を誘うものでありますが、

まことに厄介なことに、いざその虚栄心を持つ者と接する時ほど、忌まわしいことはありません。



小心を覆い隠そうとする尊大な心

心の奥では怯えながらも、こちらを見下す態度

それら全てを見透かされていて、心のどこかではそのことに気づいているのに

必死に道化を続けて、それに付き合わされる馬鹿馬鹿しさ。



第三者とならなければ、到底虚栄心を持つ人間に寛大な心で接することはできないでしょう。



人は生まれ背負った業ゆえに、悪徳のくびきに繋がれますが

どうか虚栄心にだけは、繋がれたくはないものです。



…でも自身の生活を仔細に検分してみると

己も虚栄心に繋がれていることが、よく分かります。



散々虚栄心について悪く言ってきましたが

少なくとも私に関しては、自身の脆さや卑しさを覆い隠すために

たくさん虚栄を張ってきたのです。



きっと私の中の劣等感を払拭しない限り、虚栄心から解放されることはないんでしょうね。

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