塾テストの受け止め方(5年生版)
塾のテストは毎月、あるいは毎週行われます。点数も偏差値も明確に出るし、クラスの昇降にも関わるものがあるため、成績が「上がった」「下がった」ということに対してはやはり敏感になってしまうものです。
もちろん、模試の結果を分析して、復習に役立てていくことが大切です。
ただ、そのときに気をつけたいのは、細かい数値の変動を悲観的にとらえないということではないかと思っています。
塾テストの数値はいろいろな要素で変動します。この数字の推移をそのまま実力の推移ととらえないことが重要だと思います。塾に通い、前向きに勉強を続けているのであれば、実力が下がるなどということはなく、積み上がっているはずです。
今回は5年生の時期を想定して、テストの推移をあまり悲観的に受け止めすぎてはいけない理由について書いてみます。そのあと、じゃあどうするのか?について考えます。
悲観的にとらえすぎてはいけない理由4つ
理由 1 テストの内容が異なる
科目によっても違いますが、5年3月のテストと5年10月のテストでは内容もレベルも違うと思います。ここから6年になっていくにつれ、さらに新たな内容、国語であれば少しずつレベルを上げた文章が出題されてきます。
特に、5年1月〜6年5月あたりの文章の難易度の変化が厳しい印象です。それに面食らうということはよくあります。ただ、語彙、話題も含めて地道に復習していけば、いつかは対応できるようになります。
理由2 母集団の質が変化している
6年に近づいていくにつれ、簡単に上位が取れなくなってくるというのは多くの生徒さんが実感するところです。
たとえば、5年生の最初の方はとても良かったが、夏、秋と期間が経過するにつれてだんだん偏差値が取れなくなっていく、というお悩みを聞くこともあります(そのあたりのタイミングで家庭教師の依頼をいただいたりもします)。
これは、断定はできませんが5年生の最初の時期は、「はじめから真面目にやっていた人がより有利な状態」だったのかも知れません。
5年生の期間が進み、多くの受験生がだんだん学習の質を上げ始めてくると、母集団の実質も変わってきます。そう考えると、先のケースは「少しずつ受験本番の実情に近い数値が出始めている」ということなのかもしれません。そこからが本番です。
理由3 テストの実力測定機能としてのブレ・限界
表面上、形式を見れば毎回同じようなテスト形式なのですが、中身が毎回違いますし、難易度設定も難しかったり、簡単だったりと一定のブレがあります。
難しかったらどこかで立ち止まりすぎて点を落とすのかも知れないし、簡単すぎたら他の人も取れてしまうためあまり差がつかなかったりもします。
このように、テストも万能ではないので、個々の実力を測る上でブレや限界はあります。
国語で言えば「ちょっとこれは模範解答のような答えは出せないのではないか」「これは難しすぎる」といった問題も時々あったりします。そこで悩んで時間をとられ、大きく点を下げてしまうということも考えられます。
そういう場合、要領よく立ち回った人が得をする、という本来の「学力」とは無関係な部分で成績が変わっている可能性もあるのです。
理由4 極論、6年冬の本番に対応できれば良い
6年生の冬の本番で実力を発揮できさえすれば良く、そこまでの成長曲線は、やはりいろいろです。ある程度の上下はするものだと思います。
そんな中で毎回の模試で考えるのは「できる限り基礎の抜けがないように、できるだけ穴が少ない状態で6年秋を迎えること」かと思います。もちろん、誰もが何かしら負債を抱えて6年秋を迎えることになります。
以上のような理由から、たとえば偏差値±5くらいの変化はそこまで問題視しなくても良いのではないかと考えています。
模試の結果の受け止め方の目安
自分としては、次のように模試の結果を受け止めるのが良いのではないかと思います。
成績が大きく下がった原因と対策3つ
では、偏差値が大きく下がったときにどう対応するか、について考えます。
そこまで大きな変化であれば、何かしらの原因があるはずなので、その原因をつきとめて、時間が許す範囲での対策をすればいいのかなと思います。
原因と対策1 当日の体調、メンタル
小学生はこれで大きく変わります。内容が頭に入っているのであれば問題ありません。心安らかに前向きに受験勉強が続けられるように(これが大変なのは重々承知していますが)、できるだけサポートしてあげてください。
原因と対策2 時間配分をしていない、失敗した
難問に時間を浪費しすぎて偏差値が大幅に下がる。自分が主に見ているのは国語ですが、本当によくあることです。
時間配分をしていないのは大きいです。国語の問題はどれが難問で、どれが取るべき問題かが、一見わかりません。全問に当たっておく必要があります。それなのに頭から解いていき、どこかで必要以上に時間を使い、終わらなかったとなると、いつも偏差値55くらいを取っている子でも簡単に35くらいの偏差値になったりします。これは、特にテストの受け方に習熟していない上に内容が難しくなる5年生で起こりやすいことです。
具体的に時間を取られやすい設問としては、特に抜き出し問題ですね。語彙問題で考え込んで読解問題を解く時間が少なかったというケースもあります。
先ほども述べましたが、きっちり時間配分を守り、難問は後回しにする、というおよそ学力とは無縁な「受験テクニック」で回避できるので、深刻に考える必要はありません。その代わり、「テストを受ける時にやるべきこと」をルール化して、それが守れたかどうかを毎回チェックしていきましょう。自分の授業でも最初に時間配分をしたか、守れたかを必ず尋ねています。
原因と対策3 とても苦手な単元だった
この場合は無理をせず、応用問題にこだわらずに基礎的な部分をしっかり固めることを優先しましょう。理科社会は単元ごとに切り分けられるので、できるだけの基礎固めをすれば、その先のテストにはあまり影響しないかも知れません。できない分は6年の夏秋に負債として残ることになりますが、先程も述べた通り、誰しも何かしらの負債はあります。
もしくは、基礎はできているけど少し難しくなる問題で落としてしまう、という課題があるのかも知れません。
例えば、四谷の組分けテストで正答率60%以上のものはある程度取れているが正答率40〜50%あたりの問題をもう少し取る必要がある、という場合などです。
そうなると、限られた学習時間の中での優先順位の入れ替えや取捨選択を考えていくことになるのかも知れません。家庭で勉強時間がしっかりと取れているのであれば、そこにさらにやることを積み増すということではなく、やるべきことの細かい修正をし続けていくイメージです。
ちょっとした工夫を取り入れてみるのも良いかも知れません。たとえば、算数で、テキストの練習問題レベルの問題について、テキストではできているのに、模試ではよく間違える、というような場合であれば、テキストの問題をコピーして切り取り、シャッフルして取り組む、なども有効でしょう。
国語に関して言えば、まずは漢字と語彙を確実に取り続ける。読解より何よりまずはここが大切です。読解が仕上がってきた6年秋ごろに、語彙問題が安定して取れていることが過去問に取り組む上でかなり効いてきます。
以上、テストの結果をどう受け止めるかについて書きましたが、一番お伝えしたいのは、テストは自分の現状を知り、これからやるべきことを教えてくれる前向きなツールであり、志望校の合否を決めてしまうような絶対的な数値ではない、ということです。
参考になればと思います!
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