2021年7月14日 内閣委員会 山尾志桜里議員(文字起こし)

■冒頭発言

(山尾議員)国民民主党の山尾志桜里です。金融業界への圧力と酒販業界への圧力、このことについて。
8日に唐突に発表されて、世論の反発から9日には金融機関への圧力は撤回、政府内の調整文書を私が内閣府からいただいて公開したのが12日、それによって西村大臣の単独プレイということではなくて政権全体の問題ではないかという文脈で報道が始まり、昨日13日には酒販業者さんへの圧力も撤回となりました。
そこで今日は、あの15分という時間ですので、2点。飲食店をスケープゴートにした措置が残っているように私は思っていますので撤回を求め、質問をしていきたいと思います。お手元資料4を見てください。

■質問1:酒販業者への要請事項(東京都)

(山尾議員)8日の西村大臣の会見資料です。
この下の三つですね、飲食店対策のための関係機関への依頼ということで、一つ目の丸、これは金融機関に対するもので撤回されました。
二つ目の丸、メディアや広告に関する規制検討が残っています。
三つ目の丸、酒販業者さんへの依頼、政府は撤回しましたけれども、東京都に残っています。この東京都の話からいきたいと思います。

資料5を見てください。これがあの東京都がですね、中小企業支援金の申請者に書いてもらっている誓約書です。
この黄色い線の部分見ていただくと「酒販業者として申請する場合は、取引を行う飲食店が要請等に応じていないことを把握した場合には取引しません。」と誓わせています。私が調べたところでは4月5月6月分の支給に関する、7月1日申し込みスタートの分でこの誓約をさせているようです。
こちらは国の金融機関を通じた圧力以上にですね、要するに取引停止を制約しなければお金出さないということで、極めて強権的で実効的な踏み絵のような、評価もされてもおかしくないもので、当然撤回されるべきだと思いますが、大臣、東京都で今こういう運用になってることはまずご存知でしたか。

(西村大臣)様々それぞれの都道府県で判断でですね、いろんな措置がとられておりますが、具体的に今この誓約書をというものを私、東京都のバージョンを初めて見ましたので、確かにご指摘のようにこのようなものがあるということを今認識をした次第です。

(山尾議員)今認識をしたということでここからスタートしていきたいと思います。私も本当にあの昨日知ったんです。で、国がですね、やっぱりこの金融機関を通じた圧力で取引停止ってのは駄目だよというふうに撤回した以上ですね、都と連携をとって、こちらも撤回されるように働きかけをしていただいた方がいいと思うんですけれども。まず西村大臣いかがですか。

(内閣官房、ナワ(?)内閣審議官)大臣からお答えする前に趣旨をちょっと一言ご説明しておきたいんですけども、あのご指摘の東京都の書面でございますが、酒類関係事業者の方に対して、国の月次支援金に各都道府県で上乗せ等を行う支援金に関するものでございます。
この支援金は、酒類の提供停止に伴う休業要請等に応じた飲食店との取引の影響を受けている酒類販売事業者に対して支援を行うという趣旨でございますので、内閣官房コロナ室におきましても、月次支援金の取り扱いに準じて、都道府県が独自に行う支援金について、酒類販売事業者に対して、飲食店が要請に応じていないことを把握した場合には、取引を行わないように努めると。そういった書面提出を求める取り組みを依頼したものでございます。支援金の趣旨を踏まえて、各都道府県において対応をお願いしたいと思います。

(山尾議員)ちょっと委員長。あの短い時間なので大臣とやりとりできるだけさせてください。
西村大臣今この運用が初めて知ったということですけれども、そうすると、この酒販業者さんに取引停止を求めて実効性をとっていくというようなこの方針については、西村大臣と小池都知事っていうのは、事前に連携をとったりするっていうことはやってない。東京都が、今話ありましたけど、個別に独自にやってることだということでいいんでしょうか。

(西村大臣)あの小池知事とはですね、今回の緊急事態宣言発出にあたっても何度かやりとりをし、特に東京都からの時短要請なり、酒類停止の要請などに応じていただけないお店に対してどういうふうに対応していくか、東京都としては見回りを増やす呼びかけを強化していく。あるいは命令過料ということも当然もう行ってますし、そういったことの議論は何度か行わせていただきましたけれども、このことについてあの特段の何かあのやりとりを行ったものではございません。これおそらくあの経産省のやってる月次支援金の上乗せの東京都独自のものではないかと思うんですけど、ちょっと確認をまたさせていければと思います。

(山尾議員)おっしゃる通りですね、その、例えばお酒出さないでという要請に応じてもらってるところに給付金出しますっていうなら理解できるんですよ。でもこれはつまり、給付金が欲しいなら、酒を出すなという要請を取引先に守らせなさいと。守れない取引先は切らないとお金出せませんということで、国がやろうとしてた要請よりも本当に違憲法の疑いが強いと思うんですね。
で、これの誓約書見ていただくと、要件としてこうあるんです。要請に応じていないことを把握した場合には、取引を行いませんと誓わせると、いうことなんですけれども、まずお酒を店に卸す業者なので、お酒の注文がある時点で把握をしてしまいますよね。
それともう1点、さっきあの西村大臣がおっしゃったので、大臣に聞きますけど、これ守らない店を、あの都などが公表したら「周知の事実だ」と、さっき大臣言ってました。そうだとすると、都が要請に応じない店を公表したら、お酒の業者さんも把握したと見なされることになるんでしょうか。周知の事実だということなので。

(西村大臣)東京都が命令などのですね、事実を公表することができるわけでありますが、した場合には、公表というのは多くの人に知ってもらうためにやります、行う行為でありますから、私自身は周知の事実になっていくものというふうに理解をしております。

(山尾議員)そうするとですね、東京都は例えばその要請に応じてない、命令に応じてないお店を公表すると、公表した以上は大臣も周知の事実だと言っていると。当然お酒の卸業者さんもあの把握をしましたよねと。あなたはあの把握した場合には取引を行いませんと誓ってお金をもらってますよねと。それ破りましたねと、お金出せませんと。こういうことになっていくっていうことになると思うんですね。
それ、大臣この誓約書でこの運用ですけれども、もう一つ言います、見ていただくと、直接的または間接的に取引を行う飲食店を対象にしてるんです。自分が直接卸してるお店だけじゃなくって、間接的で、それについて制限何もないから、これ、どこまで監視網を広げろという趣旨なのかも、極めて曖昧。どこまでも際限なく広がっていくこの制約をさせるわけですね。これ大臣、私は適切だと思わないんですけれども、適切だと思います?

(西村大臣)これはですね、東京都におきましても、どうやって小池知事とのやりとりの中でも議論になるのは、どうやって多くの皆さんにご協力をいただけるかという取り組みであります。東京都が命令を出してた、そしてそれを公表した、そうした事実がある場合にはですねとしては要請をして、お酒を出さないようにという要請をしているお店でありますので、そこには把握した場合は取引を行わないという制約でありますので、そういう意味では東京都の考え方も理解できる面があるわけですけれども、いずれにしましても、このことにつきましてはしっかり確認をして、どういうふうにあるべきか考えていきたいというふうに思います。

(山尾議員)大臣確認しますけど、お酒を出さないでという要請って45条に基づく、あくまで行政指導ですよね。これは令和2年の事務連絡でそのようになってますけれど、

(西村大臣)緊急事態宣言のもとでは特措法は改正されましたので、個別店舗に対して45条に基づいて休業要請もできますし、ある意味酒を出す店は休業要請ということですから、要請をしそれに応じない場合は手続きをしっかり踏んだ上でありますが、命令ということになりますし、さらにそれでも応じていただけない場合は、裁判所に通知をして過料ということになりますので、そういった、都としてこの店には命令を出しているというお店でありますから、その店との取引をどう考えるかということについては、都としてはやはり取引を行って欲しくないということだと思いますので、そういったことも含めて、よく確認をして考えたいと思います。

(山尾議員)この点終わりますけれども、つまり飲食店には要請段階では応じる法的義務がないわけで、ましてや取引先は取引を停止する義務がないわけですね。やっぱりその、そういう国とか都が持つ職権を利用して、民間業者に取引停止とかね、義務のないことを行わせるっていうやり方は、本当に資本主義国家・法治国家とは思えないと言わざるを得ません。
ぜひこの対応、今日問題提起しましたので、国として責任を持ってあの対処していただきたい、働きかけたり、あるいは対応を検討した結果をですね、後日理事会に報告していただくよう委員長、お取り計らいをお願いしたいと思います。

(委員長)理事会にて協議をいたします。

■質問2:メディア広告規制

(山尾議員)もう一つの点なんですけれども、このメディア広告規制が残っているという点先ほど後藤委員も話をしていました。西村大臣に伺います。
これ検討してるのは、内閣府単体で検討しているのか、他の省庁とともに検討しているのか。どこと検討してるんでしょうか。

(西村大臣)事務方からはまだ何か現時点での検討の状況について報告を受けておりませんが、様々コロナ室で関係省庁、あるいは都道府県、いろんな方々、専門家とも議論する中で、いろんなアイディア、アイディア選択肢としてですね、いろんな政策の考え方議論する中で、その一つとして出てきたものでございます。ので、まずは私共でしっかり考え方を整理しなきゃいけないというふうに思いますし、先程来ご議論いただいておりますので、表現の自由とか報道の自由に介入するものでは、ことを何か考えたものでありませんけれども、しっかりとそういったことをご指摘も踏まえながら、何ができるかできないのか考えていきたいというふうに思います。

(山尾議員)もう一問だけ質問しますけれどもシンプルな質問です。事務方から聞いてないなら今止めていただいて事務方に確認してください。検討してるということは決まってるので、単体で検討してるのか、総務省を含めた他の省庁とも検討しているのか、どこと検討してるのか教えてください。

(西村大臣)あのとき私申し上げたような検討をするということを申しあげましたので、その時点で何かあの検討を何かしていて、具体的な中身を何かやりとりをしてたものと私自身は承知をしておりませんし、今の時点でもそれは同じでありますので、今後考えていくということの中で、私どもとして何ができるのかできないのかしっかり考えていきたいと思います。

(山尾議員)内閣府単体でやってるだけで他の省庁と具体的な検討はしてないと伺っていいですか。

(西村大臣)様々もう日頃からですね、関係省庁とコロナ室はやりとりをして、どうやって飲食店の皆さんに守っていただくのか、また、飲食店に限らずですね、多くの皆さんにご協力をいただけるのか、こうした施策について何ができるのかってことは常に考えておりますので、いろんな意見交換の中でいろんなアイディアが出てきているものと思いますけれども、現時点で何か具体的にどっかの省庁と何か議論してる、検討してるということは私自身は承知しておりません。

(山尾議員)検討内容として公表された場合に、その事実をメディアが取り上げないように留意してもらうということも検討の内容に入っているのかいないのか教えてください。

(西村大臣)あの、何か具体的に今の時点で検討しているというその内容が、私は持ってるわけでありませんけれども、念頭に置いたのはですね、先程来ありますように、都道府県知事が命令などを行った場合に公表ができますので、公表された場合に、それが周知の事実となるということを踏まえて、何か対応ができないのかということを検討する旨を申し上げたところでございます。

(山尾議員)あのですね、きっとですね、要請に応じてない店がメディア通じて伝わるとそこにお客さん流れるということを懸念していると思うわけですけれども、これは、根本的な原因は行政の要請自体に説得力がないからなので、責任はお店でもその店に行くお客さんでもなく、やっぱり行政だと思うんですね。その問題解決せずに場当たり的にメディア規制なんでしたら、もう即憲法21条違反で重大な違憲問題が浮上するので、まともに検討すればね、もうこれ断念という結論が見えてるんだと思うんです。
で、そういうその検討にね、今役所の方のエネルギーを使うなら、もうちょっとやるべきこと、今国民民主党も30兆の経済政策とか、オリンピック関係者も含めた水際対策とか、病床の確保命令とかね、やっぱ本質的なことに使ってほしいんですね。なのであの続けるなら、検討の結果、あのやらないこともあるんですか。検討してやらないこともあるかどうか教えてください。

(委員長)西村大臣、時間が来ておりますので。

(西村大臣)まさに報道の自由とか表現の中に介入するというつもりは全くありませんので、先程申し上げたように、公表、都道府県知事が公表した場合に、そうした状況を踏まえて何ができるのかできないのか、こういったことを考えていきたいということでございます。

(山尾議員)緊急時にこそですね、やっぱりちゃんとリーガルマインドで正気を保って、民間の活動に敬意を持って、法に支配された自由な資本主義国家が日本なので、そういう立ち位置でこのコロナ対策、しっかりやっていただきたいですし私も私なりの立場で努力を続けていきたいと思いますので、大臣も頑張ってください。よろしくお願いします。以上です。

(委員長)本日はこれにて散会いたします。

■質疑動画(Nth国会)

■質疑後に判明した事項(継続調査中)


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