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災害と戦う意識

はて?
Rover Scout Workshop 2024年の実施について
https://www.scout.or.jp/member/rs-workshop2024

「集合訓練」じゃ、参加者が集まらなかったってことですかね?
今年はローバームートやるんだし、そちらに注力したほうがいいんじゃないの?と思います。時期も同じ9月だし。
日本ローバームート 2024
https://www.scout.or.jp/member/info_moot2024

そもそも企画をローバーに任せず「なぜこの事業が必要なのか?」の根拠もざっくりしたままで「日本連盟のローバー向け事業」を始めちゃう時点でいかがなものか?
全国のローバースカウトのニーズを集めることもできるRCJがあるんだから、そこに企画からなにから全部おまかせしなくちゃいかんと私は思うわけです。その事業をやるか、やらないか、もね。

意地汚いおじさんの私なんかからすると「はて?ローバースカウトが『防災をフィーチャーしなくちゃいけない理由』がなんか『裏』にあるんじゃないの??」なんて考え始めてしまいます。

防災・減災はすでに日本全体での社会課題で、地域に応じて様々な行政の施策も打たれている。地方自治体では専門の部署もある。
にもかかわらず、地域と連携しないでオールジャパンで企画するというのがすでに難しい立場の事業だったのではないか。「台風が多い」「地震が頻繁に起きてしまっている」「地形的に多くの人が入りづらい」などなど、地域ごとに様々な災害への課題があるにもかかわらず、ざっくり「防災」でまとめてしまうとうっすらした印象だけしか残らず、その訓練・事業が本当に役に立つのか不安。

昨年度の集合訓練の中では「地域の担当部署に行って、そこでのインタビューをレポートに書く」という事後課題があったようです。いや、防災・減災に関しては、逆に地域のニーズから企画を組み立てるべきもの。自分の住んでいる街のことを聞くなんて言うのは、1級章ですでに終えておくべきものだしローバーにそんなことさせるのは失礼かもとさえ感じます。

減災という意味では、台風対策もできている沖縄の家とか、流雪溝を備えた新潟の街とか、大きな道から排雪をする計画が街ごとにできている北海道とか、これまでだって地域ごとに様々な課題があり、対応方法もその地域の歴史上色々あったはず。数年前の台風19号では世田谷区二子玉川のタワマンが被災しちゃって、電気が通らず自宅に歩いて登れないなんて話もあった。あまりに多様すぎて「防災、減災が喫緊の課題」なんて一緒くたにまとめられないんじゃないかとしか思えないわけです、私には。

私の身近なところでは利根川東遷。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%88%A9%E6%A0%B9%E5%B7%9D%E6%9D%B1%E9%81%B7%E4%BA%8B%E6%A5%AD
江戸時代の江戸の町の水害対策なんですが、埼玉県春日部市にある「龍Q館(地下神殿・首都圏外郭放水路)」はその利根川東遷の延長上で、現代の東京の水害を守るためにカスリーン台風の教訓のもと埼玉県内で穴をほって、丈夫な土手を持つ江戸川に水を流すための施設です。雨がふると大活躍。
すごい勢いで埼玉県東部地域の川から導水し、江戸川に水を流します。ジャンボジェットエンジンを使っているとか。江戸川の土手の強化のために千葉側・埼玉側でスーパー堤防の設置も進んでいるようで。

昨年はこの「龍Q館(地下神殿・首都圏外郭放水路)」の下流で大雨が降っちゃって、越谷で浸水被害。このために三郷市内に中川と江戸川をつなぐ放水路があったりするんですが、足りなかったか。
越谷のこの水害は「内水氾濫」という事情から、避難所の設置自体が課題になってしまったという記事も存在しています。設置の時間、設置のPR、「誰が」設置をするのか。とても難しい。
https://www.asahi.com/articles/ASR746WCPR6VUTNB01H.html#:~:text=%E5%90%8C%E5%B8%82%E3%81%A7%E3%81%93%E3%82%8C%E3%81%BB%E3%81%A9%E8%A2%AB%E5%AE%B3,%E3%81%8C%E8%B5%B7%E3%81%8D%E3%81%9F%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%A0%E3%80%82
被災地域に、越谷市内のボランティアがお手伝いに行ったりしてました。人数の関係で、他地域からのボランティアは募集されていませんでした。

日本最大級のイオンモールがある「越谷レイクタウン」だって、なにもない畑だらけのところをわざわざ掘って作った洪水被害から周辺地域を守ることを目的とした人工広域調節池ですからね。越谷市内を流れる元荒川の水を一旦受け止め、中川に流す。
1947年のカスリーン台風では埼玉県東部の利根川決壊により東京23区東部までが大被害を受けるわけですが、埼玉県三郷市ではそれ以前から古い農家は必ず土を持って高台に作られているし、最近まで納屋に船がぶら下がっていたのをよく見かけました。
このように、私の住む埼玉県東部や三郷市は水害が歴史的に続いていたことがわかっています。

災害って、地域ごとに色々あるのよ。国内ひっくるめてひとまとめになんかできるわけがない。そんな事業主催者側に都合の良いものは「災害」とは呼ばない。
そして、それをローバーが主体となって企画しているわけでもないという時点で、テーマがあまりに広がりすぎてしまって「日本連盟が行う事業」としては無理があったとしか思えないんです。実際に事業を進めていた皆さんは本当に御苦労なさっているだろうとは思うけど。

今回「スカウト教育」第8号に「被災地でボーイスカウトができること -能登半島地震での避難所運営の経験から-」に、私の体験に加えて考えたことをまとめてみました。
被災した皆さんの厳しい状況をどのように緩和するかに画一的な方法はないし、特効薬もない。ひたすら寄り添って、その方法を探していっしょにあがき続けるしかないとは思うのですが、それって実は「スカウティング」なんじゃないかといまさらながら思うんです。

指導者は、スカウト一人ひとりとコミュニケーションをとることで、スカウト本人が納得する形をスカウトといっしょに考えていく。

今回の私の経験は「行政職員」としてのものだったわけですが、被災した皆さんの厳しい状況をなんとか緩和していくためにボランティアができることは同じ思考なんじゃないかと思いました。ボーイスカウトの指導者だって、同じボランティアですからね。

ボーイスカウト運動が防災・減災で考えるべきことって、オールジャパンなんかじゃなく、もっと身近になるべきなんじゃないかと感じました。

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