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質とは量である

質とは、量である。少なくとも、質の基本は量である。

なにも、量が多いほど質が高いという訳ではない。
しかし、量をきちんと管理することが、質の確保の第一歩でなのある。

私の本業はシステム屋だが、例えばプログラム100本の受注を受けたとする。このプログラム100本の品質確保を、どう考えるか。

プログラムで品質といえば「バグがない」ということが真っ先に思い浮かぶが、しかし一定の規模になるとバグがないことを証明するのは難しい。これに「リソースの使用状況が適切か」といった非機能要件まで加わると、不可能とは言わないが、困難を極める。

それと比べれば「100本すべてが揃っていること」を保証するのは容易い。単純に数えればよい。そして「100本すべてが揃っていること」が、なによりの基本となる。

100本すべてのソースがあるか。100本すべての設計書がありテスト仕様書がありエビデンスが揃っているか。これがきちんと管理され整理されていれば、例え多少のバグがあったとしても、100点満点はとれなくても80点くらいは取れるだろう。

逆に言えば、100本全部そろってないのであれば、それは絶対に100点満点にはならない。いや、発注主に検収してもらうことを考えると、100本の発注に対して99本しかないのであれば、良心的な相手でも素直に検収することは基本的にできない。

そういう意味では、1本欠けている時点で0点なのである。例え99本に一切のバグがなく完全に理想的なプログラムだったとしても、管理ミスなのかなんなのか、1本足らないという時点で、合格点は不可能である。

それが私の考える「質とは量である」の意味だ。量をきちんとコントロールしていることが、質の確保の基本中の基本なのだ。

システム屋が品質というと、バグの数であったりレスポンスであったりといったモノづくりへの拘りとか、はたまた「ユーザーにとって使いやすいものか」であったり「本当に役立つものか」であったり、得てして概念的・観念的な方向で考えがちだ。

ハッキリって、「カッチョイイ」ことを考えがちだ。しかし、本当の基本は、「数がちゃんと揃っていること」である。

余りに基本的過ぎて拍子抜けしてしまうかもしれないが、意外と忘れがちだし、「まあ1本くらい後から何とでも」などと考えてしまいがちだし、若い人は甘く考えがちである。

しかし、量こそが質の基本だと、改めて心に刻みたい。

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