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供給よりも需要の拡大を

日本のこれからの経済成長に関して、個々の企業がもっと生産性を上げるべきという議論がある。

それはそれで、否定はしない。必要なことでもあると思う。
がしかし、本質的なことではない。

経済は需要と供給によって成り立つが、生産性の向上というのは供給側の話である。もっと安く、もっとたくさん作ろうという訳だ。

今より安く大量に生産したとして、需要がなければ売れはしない。売れないなら、誰も作ろうとはしないだろう。

例えばある企業が何らかの方法で劇的に生産性を上げたとしよう。しかし、日本のGDPは横ばいで、このままでは成長は見通せない。それならば向上した生産性で海外に打って出ようというのが自然な流れである。

というよりも、海外に出ることが生産性の向上策となるかもしれない。

そして海外に出てしまえば、それはその国の経済成長に利するばかりで、日本の成長には無縁である。

いや、進出した企業の経営者や株主はよい。海外の子会社が儲かれば、その株式や投資で儲けることはできる。しかしそれは労働者には基本的に関係のない話で、日本に雇用が生まれるわけではない。結局、格差が広がるだけなのである。

逆に言えば、需要があれば供給は必ず生まれる。

内戦ばかりやっているような途上国ならいざ知らず、日本は潜在的に供給力のある安定した先進国である。コロナ禍当初のマスクの例でも分かる通り、日本国内に需要があれば供給は後から追いついてくる。

成長戦略というと供給側の話ばかりに行きがちだが、需要の拡大こそ最大の成長戦略である。そして目下の日本での需要の拡大には金融緩和が不可欠なのである。


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