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椅子と時間

もうすぐ小学一年生になる長女へ入学祝いとして、シューメーカーチェア(WERNER/SHOEMAKER CHAIR)をプレゼントした。

私は、表具師という職人をしていて代表的な仕事として掛軸の修繕というものがある。数百年前の状態の甚だしい掛軸を繕い直し、次の世代へ維持させていく。言わば、過去・現在・未来という時を繋ぎ継承させることの一端を担っている。

モノを大事にすることに関しては、かなり得意分野であるのかもしれない。

ヨーロッパでは、家具や道具・時計を親から子、子から孫へ代々受け継ぐ文化があり、良いものを長く愛用する考え方が当たり前にある。かつては日本もそうであった。それがいつしか消費する生活スタイルが根付いてしまい、良いものを長く使う風習が失われていった。

我が家には家訓なんてものはないが、良いものを愛着のあるものを味わいながら大切に使うことを10年位前から少し意識する様になり、いつしかそれが普通になっていった。

それこそが豊かな暮らしの始まりだった。

SHOEMAKER CHAIR NO.49

そんな私と妻の暮らしの味わいや愉しみを子供達にも伝わったらいいなと思い、学業を始めるタイミングで椅子をプレゼントすることにした。

左は長女(もうすぐ一年生)、右は長男(小学三年生)

実は、二脚目である。

3年前に長男にも同じものをプレゼントしている。
この時は、大いに悩んだ、、
息子に何を贈るのか、どんなものなら大事にしてくれるのか、
色々考えて、先ず椅子にたどり着いた。
ただ、どの椅子にするかまた悩んだ、、、

子供に贈る良い椅子ってなんだろう?

  • 手触りの優しい無垢材

  • 座り心地の良いこと

  • ファブリックやペーパーコードではなく板座(ガシガシ使ってもらいたいので)

  • 経年変化を味わえる無塗装でビーチ材的な

  • あまり高価でないもの

  • プロダクトであること

  • 子供が大人になっても同じ椅子が手に入る可能性が高い、安心できるメーカーであること

  • デザイン性があり、カッコイイもの

  • 自分が使ったことのある椅子

以上の理想が揃った椅子が、シューメーカーだった。

小学三年生の息子も気にいっている様子。まだ本人は、そんな両親の思いは知る由もないが、、、今はそれで良い。彼らが大人になった時にふと気がついてくれたら親としては「やったぞ!」の瞬間だ。

オイルフィニッシュ等はしていません

二脚を見比べると、たった3年だが良い感じに飴色になっており、まずまずの経年美化である。正直ずっと見ていられる。※スリスリもしていられる 笑
そして、ここから4年後には、次男のシューメーカーも加わる予定。
年代ごとの違いを愉しめる恒例行事の様になってきている。

次々に新しいものを手にいれる楽しみ方も悪くないかもしれないが、
自分のお気に入りを長く使い込む愉しみ方を私は選んでいる。
その甲斐あってか、あまり無駄なものが増えない。

そうする事でしか、見えない景色がある様な気がしている。

まもなく、義務教育が始まろうとしている娘よ、、、
父として一言。
モノを丁寧に上手に正しく扱うことを身に付けてください。

SHOEMAKER CHAIR NO.49

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