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ダンス教室の優劣感。

バーテンダーをしていると、いろいろなお客様と話をする機会がある。

今日のお客様は振付師。
吉田美優(仮名)とでもしておこう。
ダンス教室でヒップホップの指導をしているとのこと。

ダンス需要って、平成の後半からすごく伸びてるんです。
学校でのダンス教育が導入されたのにも理由があるけど、それ以上に大きいのはTikTokなどのSNSでしょうね。

TikTokでの投稿を見て、俺もわたしもあんな風になりたい。
そういう人が老若男女問わず増えてるんです。

吉田氏は語る。

ダンス業界は景気がよさそうですね。
注文の準備をしながら応じる。

でもね、需要が増えたからと言って、それが給料に反映されるわけでもないんだよね。
わたしは雇われだから、それも非正規。
だから、忙しくなっても給料は据え置きってわけ。

それに需要が増えても、それだけ振付師が増えたら、お客さんの取り合いになるだけだからね。
そういうの、レッドオーシャンっていうんだよね。
ダンス業界って、いま、お客さんの取り合いなんだよ。

ダンス教室の運営で難しいのって、通ってる生徒も、それを見る観客も、通わさせてるお客さんも、どれも満足させないといけない。
このどれか一つでも欠けると、クレーム退会になるんだよね。

通ってる生徒が楽しめなかったり、成果を実感できないと当然辞める。
観客に感動を与えないと、スポンサーがいなくなる。
出資者の満足度が下がると、通わせるはずないからね。

だから、日々のコミュニケーションはすごく大事だし、成果を実感させるために、厳しい指導もしないといけない。
もー、大変なんだよね。

カルアミルクです。
ご注文通り、牛乳を多めにしています。

カルアミルクとは、コーヒーリキュールを牛乳で割ったカクテル。
女性客に人気の商品。

カクテルを口にふくむと、話を続けた。

わたしのダンス教室ではね、小学生の女の子がたくさん通ってるんだけど、女子特有の嫌がらせがあって困ってるの。
いや、通ってる女の子が面倒なんじゃなくって、その保護者だよ。

のみ込みがいい子とか、センスがある子っているじゃない。
その子たちを舞台に招待するんだけど、そうじゃない保護者が嫉妬するんだよね。
あと、容姿。

小学生も高学年になってくると、容姿に差が出てくるじゃない。
可愛くてスタイルがいい子って、何をやっても様になる。
でも、そうじゃない子って、何をやっても様にならないんだよね。

表面上は仲良さそうに繕ってるんだけど、あとから入会して、先に舞台に立たれると腹が立つんだろうね。
ママ友のSNSで陰口言い放題。
ダンススクールで変なカースト作らないでほしいと思う。

カーストは嫉妬や格差から作り出されるもの。
吉田氏の話に耳を澄ませながら、語る姿をただ眺める。

前の話はこれ。


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