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今日は、それを聞けて本当に、嬉しかった。

バカなことを、大真面目にやろう。

澄み渡るような空の青と、照りつける太陽に生い茂る人工芝の緑、そして自治会ごとに振り分けられたきみたちのTシャツやスカーフ、ハチマキの色、色々。

もうこの先、運動会をすることなんて、ない。たぶん。
今日は教訓があるわけでも、説教でも、なんなら伝えたい確固たるものがあるわけでも、ない。ただ今の気持ちを文に起こしておきたいだけです。
よく考えたらいつもそうか。

大学生で運動会をすること。

これは、そうあることじゃない。でも、そう珍しいこと、でもないと思う。僕はそう思う。
大学生になっても、割と多くのサークルだったり、ゼミだったりが「運動会」めいたことをしている気がする。その主催者の多くが運動系のサークル──たとえばフットサルサークルだったり、バスケサークル──だったりする。少なくとも僕の知っている限りではそう。

でも、普段書類をまとめたり、プレゼンをしたり、会計報告をしているような団体・見るからにインドアな団体が一堂に介して「大運動会」をするというのは、なかなか異なものだと、そう思う。
当然、中には運動が好きな子だっているだろう。高校時代運動部だった部員もいるかも。でも、大多数は「日頃なんの運動もしていない」人たち。


とはいえ。
みんなのことはある程度信頼していて。
どうせ始まってしまえば、楽しんでしまうのだろう、という気持ちもあった。

しかし不安もあって。

きみたちに、自分の団体は事前準備もスムーズにできないのか、と思わせたくなかったり。
たのしかったより、つかれたが勝ってしまったりしないかな、であったり。


ーーーでも、終わった後、こんなことを言ってくれたきみがいた。


「高校の体育祭、コロナでなくなってたんでできるの嬉しくて、今日は楽しかったです。」
「大学生なってこんなんできると思わんかったすよ」
「ああ、やってよかったなあ」


僕たちの考えていた以上のことを、きみたちはいつも汲んでくれる。


「僕ねえ、今日はほんとに日本一の団体やと思いましたよ」


いつもはフフ、と笑ってしまうような彼の言葉だけれど、なんだか今日は胸に響いた。
僕だって、日本一なんて言葉、最初は語感がいいから使っていたようなものだった。
けれど、やっぱり言葉とは恐ろしくて、冬、春、夏と何度も何度も口にするうちに「ほんとうに、日本一になれるかもしれないじゃないか」と、おこがましくも思うようになってしまった。

「日本一、君たちが誇りを持てるような団体に」というのが僕が去年の秋に高々と叫んだ目標であるが。


さて、どうだろう。まだわからない。わからないものではあるが。

今日だけでも、きみのなかで、そう思ってくれていたのなら。




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