ふくいちビビツアー_1

福島第一原発は、視察ツアーが存在する。性質上、オープンなものではないし、仮に存在を知っていたとしても参加するには恐らく若干ハードルは高い。そんなツアーをたまたま身近な人が主催していたので、参加した。

実は参加するのは2回目。今年の4月にまずは参加して、その時は原発を目の前で見ることができる、というダークツーリズム的な側面で参加。前日が完全徹夜だったこともあり、とりあえず原発を見た、という事実と衝撃で終了。今回はその地続きのモチベーションもありつつ、翌日に滞在したいわき市の過ごしやすさに惹かれての参加。元々ツアー自体が平日の開催ということで、普通に働いているサラリーマンだとそもそもの参加難易度が少し高い。当日もそういう関係で誘った知人の半数は直前のキャンセルという事態になってしまったが、兎にも角にも久々の福島へ。

原発の視察は何故か雨に絡むことが多い。前回の視察では見事な大豪雨にぶち当たって、施設内ですらまともに見ることがままらならない箇所もあった。そういう陰鬱な感じが原発の不気味さを際立たせていた側面もあったので、それはそれとして雰囲気が出ていたのも事実だった。今回は行きの常磐道で、とんでもない豪雨に見舞われた。所謂線状降水帯というものだと思うが、車高の低いロードスターではこのような雨は苦手なようで、時折ハイドロの雰囲気を感じながらの運転となり、肝を冷やした。

集合場所に到着するころには雨も上がり、原発への出発時には見事な青空が広がっていた。視察に関しては東電の説明員の説明があるが、前回とはまた異なる説明員の説明で、説明内容自体の詳細は廃炉の進行作業によって変化していくものの、大枠では基本的に同じ説明となる。同じネタを違う人が話すという点は、落語にも似通っていると思う。その意味で今回の説明員の説明は前回の説明員の其れと比較してもわかりやすく、且つ良い意味でさっぱりしていて、聞いてるこちらとしてもあまりストレスは感じなかった。というのも、この廃炉に関しての一連の説明、並びに東電からの何かしらの説明の際は定型文の様に冒頭は謝罪から入る。それは施設内で見せられる映像の中でも同じだ。確かに原発事故が引き起こした現状は重い。周辺への影響も大きい。その事実は実感を持って理解できるのだが、それにしてもいきなりすべてが謝罪から入られると、それはそれでまた違った衝撃を受けてしまう。

原発内視察に関しては2回目という事もあり、衝撃という意味ではもうないが、半年前と比べてアップデートされている部分も多く、廃炉というものが少しずつではあるが着実に進行している様子が分かる。施設内の視察可能箇所のアップデートもあり、処理水の海洋放出3回目がちょうど始まったタイミングだったので、その視察場所が今回は追加されて、説明時間も多く取られていた※(前回は海洋放出直前ということで、実証実験施設の説明時間が多く取られた。そのおかげで海洋放出のニュースの理解度がある程度高い状態で放出日を迎えることができ、並びに放出反対派がどれだけ勉強していないか、という事もわかってしまった)。

衝撃は薄れたとはいえ、震災発生時、テレビの向こう側で大爆発が起きていた原発施設を目の前で見る、という事の事実は重い。施設内にいる時間は恐らく2時間弱、施設内の説明時間も合わせても4時間はないぐらいの時間だが、それでもツアーが終わった後はずっしりとした独特の疲れが身体に出て来る。前回はそれである程度満足して、翌日はゆっくりいわき観光をして終わったのだが、今回はどちらかというと2日目の方が・・・・というお話。

また次回に続く。


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