外野から見た日本のe-Motorsportsの現在位置

記事更新が中途半端になったままのe-Motorsports関連の諸々について久々に考えてみて、その整理も兼ねて。先に結論というか言いたいことだけを一言で纏めるならば・・・

「外からどう見えてるかよく考えましょう」

ということ。まぁまぁ偏見に満ちてはいる事も否めないけど、日本での状況は正直まだまだ改善の余地はあると思っている。ダラダラ書き連ねただけなので暇な人だけ読んでください。長文読めない?じゃブラウザ閉じちゃってください。

その発信大丈夫そ?

その昔、あるスマホゲームのコミュニティマネジメントの一端と、映像制作業務をやっていたことがあって、その時にクライアントとなるソフト会社の担当者が真っ先にやっていたことが「プレイヤーのSNSの内容確認」と、「外見を整えてあげる事(服装含む)」の2つ。外見を整えることについては番組に出演してもらう手前必要だった側面はあるけど、前者のSNSの発信に関しては、トップに近いプレイヤーについては割と細かいところまで見て、できる限りの指導はしていた様に記憶している。当時その担当者から言われて覚えているのは「いくらプレーが巧かろうが、憧れられる存在でないと新しく興味を持った人間はプレーしてくれない」ということ。プレイヤーにしてみたらこれまで伸び伸びとやっていたところにそんな制限をかけられてしまったのでとても窮屈だっただろうし、反発する声があったのも事実。でもそれを受け入れたプレイヤーもいたし、そのプレイヤーは今や某エナジードリンク公式アスリートとして名前を連ねている。そのソフト自体が元々のプレー人口も多いものだったのでそれなりに収益も上げられる構造であり、そういった指導自体も受け入れやすい(=その先が見えやすい)事も1つの要素だったかとは思うけど、そのプレイヤーも「もっとプレー人口が増えてくれるなら」と悪戦苦闘しながらどんどん大人になっていったのを傍から見ていたことを覚えている。

じゃあ、今の所謂e-Motorsports界隈は?パッと目に入るところでしか判断はできないけど、そういった姿勢を持っている人間は多くはないかなと感じる。例えば、いいね欄を見れば同人誌の際どい絵ばかりが並んでいたり、よくわからない創作二次元へのRTが並んでいたり。その文化自体を否定するわけではないが、傍から見てそういった人たちが多い場所に来たいと思う人間は果たしてどれぐらいいるのだろうか?そんな世界を見て憧れは持たれるかな?せめて別アカウントを作るぐらいの事はした方が良いんじゃないかな。

もう1点、今では主流となった配信について。ジャンルの特性上動きに派手さが乏しいという点はあるし、FPSの様に配信しているだけで盛り上がりを作る、というのは少し難しいのは事実だと思う。しかし、その垂れ流し配信本当に必要?動画クリップして纏めたりした方が良いんじゃない?とか、その内輪ノリの会話ホントに面白い?どんな形にしても発信している事自体は否定はしないけど、もう少し振り返ってみることも必要ではないかな?とか。

プロのドライバーも参加する大きなレースの配信がある。当然ネームバリューに引き寄せられて参加者も多ければ、視聴者もその辺の配信に比べたら桁2つぐらいは多くなることもある。けど、そのプロドライバーの態度はどうでしょう?盛り上がりに大きく寄与していたことは紛れもない事実だけど自分の興味が薄れてきた途端にやっつけ仕事の様になってるのが見えて来てるのは健全じゃないと思うんだけどね。そういう意図はないかもしれないけど、傍から見たらふてくされてる様にしか見えないし、それなら潔く後ろに下がった方がまだいいんじゃないかな。

大前提として何かしらの発信を外部にしている、という点についてはどれもリスペクト。だけど、そのやり方が本当に貢献に繋がっているのかな?という点は考える余地があると思う。

2:ゲーミングPC買ってる人も多いけど大丈夫そ?

e-Motorsportsが普及しない理由に良く上がるのが「ハンコンを買う(設置する)ハードルが高い」ということ。設置に関しては確かにそうかもしれない。でも、買うという行為についてはちょっと意見が違う。APEX LEGENDSが大ブームになってCS機からキーマウでやりたいからゲーミングPC買った人たち結構多いよ。統計取ってるわけではないけど。ゲーミングPC1台導入すると安くて10万ぐらいからだと思うんだけど、ハンコンは安いものだと3万ぐらいで買えちゃうんだけどね。ゲーミングPCも考えると当然+αのお金はかかっちゃうので完全にフラットな土俵に並べるのは無理があるんだけど、それを理由にしちゃうのはちょっと厳しいかもしれない。むしろAPEXはCS機でもできるし何ならSwitchでもできるし。まぁつまるところ変えてでもうまくなりたい、このソフトをプレーしたい、と思える環境がそこにあるという事の裏返しなわけで、それはつまり何なのか、というとプレーしている人たちということだと思って、1つ目のトピックスに近いところに戻ってくる気がする。お金を使う理由として憧れって大きいと思うし。

もう1点として、ハイエンドなハンコンが非常に高価である、ということも理由として挙げられるけど、まずそもそも最初に安いハンコンさえ買うハードルを下げてあげればその先は別にそこまで大差がない様に思う。安いハンコンで脱落する層はどれだけ頑張ったって一定数は存在するし、恐らくそれなりの量になると思う。そもそもその前にハンコンが欲しいと思わせるまでの環境ができていないことの方が恐らく根深い。これは実際に使ったから経験値としてわかるけど、ハイエンドなハンコンと低価格のハンコンで決定的な差が出るか、と言えばはっきり言えばそんなことはないし、十分戦える。その先のあと少し、みたいなところが詰めやすいのがハイエンドのハンコンだと思うけど、そこにたどり着く時点でもうこの業界にはどっぷりハマってるはず。まぁこれも繰り返しになるけどお金を使う理由の入り口の壁が高い、ってことになると思う。

※パッドでも楽しめるかどうか、という話はこの議論になると合わせて出て来る話題だけど、これまでの経緯を見ている限りそこからハンコンにシフトしてくる人はそこまで多くないように見える。当然パッドでも良いので触れてもらう機会があるに越したことはないが、パッドで楽しめた場合、そこから先に機材を整えたくなるかどうかは少し疑問が残る。であれば、安くても良いので最初からハンコンを触ってもらう方が普及という点ではメリットがあるのではないか、というのが個人的な仮説。

3:リアルガー症候群

e-Motorsportsの大きな特徴として所謂リアルとの差が少ない事が挙げられる。だから見てて面白くない、みたいなことだったり、結局それが弊害なのではないか、と捉える向きもあるし、私個人もそういう風に思っていた時期もあったけど、どうにも少し違和感が残る。リアルのモータースポーツの世界の低迷をどう打破していくか、という議論をした経験が以前あって、その時にモータースポーツ業界の内部にいた人たちが出していた魅力は「エンジン音が凄くて興奮する」とか、まぁあと忘れたけどサーキットに行くことが大前提の話ばかり(=それぐらいある意味ではどうでもいいこと)で、その手前でサーキットに来てもらう努力を何もしていない事があったのを覚えている。今のe-Motorsportsも結局そういうところに帰結するんだろうなと感じている。リアルの人気が低い、そこと近いから盛り上がらない、みたいなところは要素としてはあるかもしれないけど、そこに帰結してしまうとどうしても思考停止に陥りがちなのが危険かなぁと感じている。そんなこと言ったらFPS大好きな人たちって人を殺すことに興味があるって解釈が出来ちゃうからね。そういうわけじゃないと思うし。逆を言えばYouTubeの大手ゲーム配信者がやってる配信はレースシムの配信では異例の4桁の同時接続をコンスタントにたたき出してるけど、コメント欄を見る限り、レースに興味があって見に来ているわけじゃない(その配信で興味を持ったのだとは思うけど)し、そうなると最早レースに興味がある云々というところの話じゃなくなると思う。この例はかなり特殊なので汎用性は低いけど、盛り上げるための1つのヒントぐらいにはなるんじゃないだろうか。

最後は、多分こういう議論をしている場所が検索スキルの低さに起因するのかもしれないけど、されている場所が見当たらないのがそもそもの大きな原因なのかもしれない。いつかどこかでそういう場所ができるといいね。


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