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ライブの醍醐味 ~【櫻坂46】配信ライブの未来~

 『櫻坂46 1st TOUR 2021』の最終日は、配信でも楽しむことができた。
 おかげで、チケットに当選しなくてもライブに参戦することができるので、ファンにとっても嬉しいサービスと言えるだろう。
 また、音楽番組などで、櫻坂46のパフォーマンスに触れて、ライブを観てみたいと思った人にとっても、最初の入り口として、ちょうどいいものだと思う。

 新型コロナウィルスの感染拡大によって、有観客ライブが中止となる前は、ライブはチケットに当選した人だけが味わうことができる特別スペシャルなものであった。
 しかし、それが許されない事態に世界中がなってしまったことで、「オンライン」というシステムが一気に普及した。

 元々、システム自体は以前からあったものだが、やはり顔をつきあわせて行うコミュニケーションに比べると、伝わるものが少なく、手間がかかることもあり、利用される機会も少なかった。

 しかし、ウィルスによって、それが許されない時代に突入してしまった。非接触が当たり前になり、会社に出勤することすら出来ないことになる。エンタメ業界にも、この流れが押し寄せ、ビジネスモデルの大きな変更を余儀なくされた。
 このようなウィルスなどによる疫病や伝染病によって、時代が大きく変わったことは、歴史でも証明されている。
 そのようなパラダイムシフトの瞬間を、まさか自分が体験することになるとは想像もしていなかったので、今回の出来事は衝撃的であった。

 秋元グループのアイドル活動も、大きく変化している。握手会が、オンラインミート&グリート(個別トーク会)となり、ライブも無観客の配信ライブとなったことで、ファンとメンバーとの交流は、最小限のものとなった。

 先日の配信ライブなども、実際に参加してみると、ライブでのパフォーマンスや雰囲気、MCの様子なども鑑賞できるので、ファンとしては、十分貴重でありがたいサービスであることが実感できる。
 以前であれば、ライブの雰囲気が味わいたいのであれば、会場のそばに行って、漏れ聞こえる音を楽しむことしか許されていなかった。それすらも、人が集まりすぎると危険であるため、係員さんに人払いされてしまうことも少なくない。
 それが、今ではライブそのものを観ることができるのであるから、その差は大きい。
 ライブ配信のサービスは、最終日だけでも、継続していただきたいのだが、一つ付け加えるとすれば、音がもう少しどうにかならないかという問題がある。
 リモートワークの流れから、オンライン会議が一般的となり、家にいる時間が増えたことによって、ヘッドフォンやイヤホンを利用する機会が増加している。
 そのようなこともあり、音楽ストリーミングサービスや動画配信サービスでも、空間を感じることができる技術が導入されるようになった。具体的には「空間オーディオ」や「360 Reality Audio」と呼ばれているものが、それに当たる。
 坂道グループはソニー傘下のアーティストである。であるならば、ソニー独自技術の「360 Reality Audio」によるライブ配信があってもよいのではないだろうか。対応ヘッドフォンなどは必要となるのだが、サウンドバーやホームシアターシステムのように高価なものでなくても、十分にその技術の恩恵を享受することができるだけに、積極的に導入を検討していただきたい。

 デビューカウントダウンライブの時には、全国の映画館でライブビューイングが実施されたが、このサービスも復活して欲しいものと言えるだろう。
 ファン同士が集まって、同じライブを観るという空間は、やはり胸熱なものである。観客側の熱気を直に感じることができるからだ。
 映画館の優れた音響設備を存分に駆使して、現地に負けないレベルの音圧を体験できることもあり、家で配信ライブを観ているときでは味わうことができないライブ感が、ファンとして、とても嬉しい。

 オンライン配信やライブビューイングの時に、あると良いと感じているサービスが、もう一つある。
 それは、視点移動がない、定点カメラによる配信サービスである。
 『BAN』のミニライブの際、アーカイブ配信のときに導入されたが、あれはとても良かった。
 カメラ演出がないことによって、逆に、ライブ会場にいるような気分を味わうことができた。
 実際にライブに行くと、席を離れることができず、決まった視点で鑑賞することを強いられる。その感覚が、定点カメラによるオンライン配信によって味わうことができる。視点移動が出来ない不自由さが、かえって、ライブに参戦しているリアル感につながるからだろう。臨場感があることで、パフォーマンスをしっかりと受け止められるような気もするので、定点からの視聴は、特におすすめである。
 しかも、普通ならとれないようなアリーナど真ん中の席で観ている感覚になることができるのだから、ファンとしては最高のサービスとなるだろう。
 また、ライブでなければ確認しにくい曲中のフォーメーション移動や、振りが揃っている様子などもしっかりと鑑賞することができて、彼女たちのパフォーマンスの新しい魅力に気がつくことも可能となる。
 以前にも書いたが、彼女たちのパフォーマンスは、どんどんと磨かれていて、素晴らしくなっている。ありのままのパフォーマンスを映しても、大丈夫なレベルに達していることもあり、定点カメラによる配信でも、観客を十分に満足させることができるだろう。

 「流れ弾」のMV監督である池田さんも、彼女たちについて、次のように話している。

 ライブの醍醐味である「ありのままの彼女たちをじっくりと堪能すること」ができるものとして、定点カメラによる配信をぜひとも検討していただきたい。
 加えて、定点カメラで全体を映しつつ、推しのメンバーなど観たいシーンを、双眼鏡で覗いている時のようにアップで観ることができたら、もう言うことは無い。それは実際のライブに参戦していることと同じだからだ。
 なかなか技術的には難しいかもしれないが、人が想像したことは、必ず実現できる。映画や漫画で描かれていた道具やシステムが、実現された例は、今までもたくさんある。アーティストの素晴らしいパフォーマンスを届ける技術も、これからどんどん進化し続けることだろう。

 一度シフトしてしまったパラダイムは、なかなか元には戻らない。現在の状態を前提として、新しいものや価値観を生み出していくことでしか、この変化に対応することはできないだろう。
 しかし、どんなに新しい技術が生まれようと、実際に会場に行って、同じ時間と空間を共有すること以上に刺激的なことはない。
 それこそが、「ライブ=生の感覚」だからだ。
 観客は、楽曲を聞き、歌っている姿を観ている以上に、アーティストから放たれるエネルギーや情熱を肌で感じることで、興奮し歓喜する。
 アーティスト側も、観客たちの反応やエネルギーによって、いつも以上に力を発揮していく。
 そのように、お互いを高め合うエネルギーの交流と、それによって創り出される独特の場こそが、ライブの醍醐味である。
 残念ながら、まだその空間自体を再現できるレベルには、技術が追いついていない。しかし、不可能を可能にしてきた人類の偉大なる力は、それを実現してしまうだろう。これからの技術の進歩発展に大いに期待したい。

 それまでは、1回のライブを大切にしながら、彼女たちのパフォーマンスを存分に堪能していくことにする。



 

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