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『客観視』の重要性 ~【櫻坂46】二期生の加入がもたらしたもの~

 欅坂けやきざか46の頃、メンバーの21人は強い絆で結ばれていた。そこから生み出されたパフォーマンスが、世間に大きな衝撃を与えたことはもう説明する必要はないだろう。卒業するメンバーが何人出ても、その「絆」自体は、ファンから見えないところで、今でも続いているようである。
 最近は、また、卒業メンバーの活動を見聞きすることが増えており、元気でやってくれていることに、ファンとしても非常にホッとしている。

 坂道合同オーディションが実施されることになった時、欅坂46にも「二期生」が入ってくることについて、ファンの間では賛否が分かれていた。
 一期生メンバーの皆さんが、活動初期から「21人の絆」に対して強い思い入れがあったこともあり、「誰か卒業したらグループを解散する」ということを話しているメンバーもいた。
 けやき坂46のメンバーが加入してきても、欅坂46とけやき坂46が、メンバーをシャッフルしてパフォーマンスをするという状況にはならなかった。音楽番組のコラボ企画で、「アンビバレント」の共演をしたのが唯一の機会であったかもしれない。
 ダンスが得意ではないメンバーがいたとしても、お互いに支え合って克服し、全員選抜を貫くという伝統は、二期生の加入が正式に決まるまで崩されることはなかった。
 活動を開始してから年月が経ってくると、次第に卒業するメンバーが出てくるようになった。それでも、メンバーを補充すること無く、パフォーマンスをするというスタイルが続いていくことになる。

 2018年11月29日に、「坂道合同オーディション」の合格者39名の中から、9名が欅坂46に加入することが発表された。
 その後、音楽番組などに出演する際には、フォーメーションの空いている部分に、二期生が入ってパフォーマンスがされるようになっていく。そのことで、「21人」のパフォーマンスが復活した。このスタイルは、改名するまで継続することになる。
 二期生が加入して活動をする前は、やはり「初期の21人」ではない存在が入ってくることに、一期生もファンも戸惑いがあったことは確かであろう。その頃のインタビュー記事などでも、「入ってくるんだぁ」という率直な意見を言っているメンバーもいたようである。
 逆に、加入する側の二期生も、「あの中に入って良いのだろうか」という気持ちだったようだ。彼女たちにとって、「欅坂46」という存在と楽曲は、自分たちの考え方や価値観を変えるほどの偉大な存在であり、憧れであった。その中に自分たちが入ることで、その世界が変わってしまうことを非常に怖れていたはずである。
 自分たちも加入する前は、欅坂46の大ファンであり、ライブや握手会などにも参加していたメンバーも多い。それ故に、欅坂46の「絆」に対するリスペクトが大きかったことは容易に想像できる。

 しかし、そのような不安や恐れは、二期生たち自身の努力によって、払拭されていく。
 「アンビバレント」や「黒い羊」を音楽番組で披露する時も、オリジナルメンバーがいなくなったポジションに入り、一期生と遜色がないパフォーマンスを見せてくれた。
 その後に開催された『欅坂46 3rd YEAR ANNIVERSARY LIVE』や『欅共和国2019』、『欅坂46 夏の全国アリーナツアー2019』などのライブ活動によって、二期生がその存在感を発揮してくるようになり、東京ドーム公演も大成功のうちに終えることができた。
 その年の紅白歌合戦で、「不協和音」の再演が決まった時、ねるさんの代わりに二期生の田村さんが「僕は嫌だ」を担当することになる。もう、この頃になると、二期生の存在について、とやかく言う人はいなくなった。むしろ、居てくれないと困る存在にまでなっていたと言えるのではないだろうか。

 二期生が加入したことによる効用は、パフォーマンス面だけに留まらない。
 欅坂46のファンであった彼女たちがメンバーになったことで、「ファンの気持ちがどのようなものであるか」を一期生メンバーが知ることができるようになった。この「ファン目線」を手に入れたことは、グループの活動にとって重要な意味があるだろう。
 演じ手側が良かれと思ってやっていることが、受け手側にはそれほどでもなかったり、逆にそれほど思い入れもなくやっていたことが、意外とファンには好評だったりということを、実際のファンであった二期生から直接聞くことができるからである。
 グループがこれからも大きく成長していくためにも、このような「ファン目線」で活動を客観視していくことは大切である。
 今年行われた『櫻坂46 BACKS LIVE!!』でも、櫻エイトのメンバーが、自分たちの楽曲をBACKSメンバーがパフォーマンスしている姿を客席から観たことが、すごく刺激になったことを話している。
 その時に刺激を受けて学んだことは、『W-KEYAKI FES. 2021』や『櫻坂46 1st TOUR 2021』の舞台ステージで遺憾なく発揮されていたのではないだろうか。

 これからの活動の中で、一期生と二期生の一体感がより増していくことによって、二期生側の遠慮してしまう気持ちも段々と薄れてきて、より細かなところまで、パフォーマンス中の心持ちなどが共有できるようになることが期待できる。お互いの良いところを褒めあい、足りないところを指摘していくことで、どの角度から観ても隙が無いパフォーマンスとなっていくことは間違いない。

 グループを客観的に観る習慣を味方につけた彼女たちの活動は、より大きな舞台で花を開いていくことだろう。
 その集大成とも言える1周年記念ライブが、今からとても楽しみである。

 


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