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唯一無二と呼ばれるためには基準がいる 【櫻坂46】判断の基準としての様式美~

世界進出している日本のアーティストをみると、その大半がしっかりと西欧世界で通用するレベルの様式が具わっていることがわかる。
最近、頓に評価された感がある「J-POP」もその一つである。
そもそも、ジャパニーズ「ポップス」と呼ばれている時点で、海外で長年愛されているポピュラー音楽がベースにあるわけだが、これが日本の歌謡曲や民謡などとは曲調も詩の内容とも異なっていることは、誰の目にも明らかだろう。
日本である程度有名になり、評価されるためには、それなりのスタイルを提示することが必要となるが、それは余りにも自由であるため、かえって難しさが増しているという側面がある。
これは日本の良さとも言えるものである。
どんなものも吸収し、それを自国の風土に馴染ませる技は、飛鳥時代からの伝統と言えるかもしれない。
仏教や儒教はもちろん、ユダヤ教やキリスト教に到るまで、シルクロードの東端に位置する地理的条件も手伝って、正倉院の宝物などからも確認することが出来る。
日本の素晴らしさは、他国と異なり、今までの文化を残したまま、次の新しい文化を受け入れるところにあると言えるかもしれない。
そのため、日本に渡ってきた文化は、今でもそれを鑑賞することができる。
中国やヨーロッパでは、権力者が変わる度に、それまでの文化が一掃されてしまうため、それを確認することすら出来ない。
日本に渡ってきた四書五経に関する文献が、今や祖国と言える中国に逆輸入され、研究されていることは有名な話である。
明治時代後期から大正、昭和にかけて流行した「日ユ同祖論」を見てもわかる通り、日本の中にユダヤ教の風習や痕跡が発見されるのも、日本の「包容力」がもたらした結果であると言えるかもしれない。
日本人が、持ち前の器用さと真摯さを発揮して、ヨーロッパで行われている西洋音楽やバレエなどのコンクールで上位を独占してしまうほどの腕前であることは、その分野の人たちには常識レベルのことらしい。

同様に、世界進出を目指している日本アーティストは多い。
これは、お隣の国から生まれ、今や世界で愛されている「K-POP」の成功を目の当たりにしたからかもしれない。
もともとは、日本のジャニーズが編み出したアイドル文化を研究し、どうすれば、世界標準になることができるかを試行錯誤しながら完成させたスタイルらしい。
となると、日本のアイドル文化も世界で通用するレベルとなるのも、夢ではないことになる。
長濱さんがチェアマンをしている「TIF2022」に参加しているグループの皆さんのインタビューを見ていても、様々なアイドルのスタイルを模索しながら、地位の向上を目指していることがわかる。
アイドルの様式にも、時代ごとの流行はやりがあり、どこかしら、その時代で一番売れているグループの派生形となることが多い。
独自路線を提示している場合ですら、メインとなるスタイルを前提としたもののアンチテーゼを打ち出すことが多く、ある意味、大きな意味では、その時の「主流」の一角と判断できるものとなることが少なくない。
世界進出を視野に入れて考えた時、日本独自とも言える「アイドル文化」の中で、試行錯誤していくだけでは、他国で評価を得るためにはインパクトが小さい。
むしろ、西欧文化ど真ん中のところで、勝負していかなければ、真に西洋の人々からの感心や評価は得られないだろう。
現に、海外で大成功した日本アーティストとして名前があがる「YMO」や「Perfume」、「BABYMETAL」などを見ても、ことさらに「日本的なもの」を打ち出すことをしていない。
YMOなどにいたっては、あえて西洋人が考える「アジア人」の部分を誇張し、「そんな見た目の自分たちが打ち出す『音楽』はどう?」と言わんばかりの勢いすら感じさせるものである。
日本のアニメや漫画が、ヨーロッパやアジアの若い世代に愛されているため、日本独自に見えるものが普通に受け入れられるようになってきている。
それが逆に、日本でみられる「独特のアイドル文化」を異質と感じさせない役目を果たしていると言えるが、それが、かえってこれから世界進出するグループにとっては、「目新しさ」を感じさせないことにつながってくるだろう。
日本で受けている様式をそのまま提示して、受け入れてもらうまで頑張るのも、一つの手ではあるが、むしろ、西洋の文化に寄せた形で、彼らの土俵の上で、どう勝負していくかを考えた方が、意外に早道となる可能性があるだろう。
彼らが理解しやすいものを使って、自分たちが持てるスキルやパフォーマンススタイルを見せていくことで、彼らの中にある「基準スタンダード」から判断して、どのレベルのものであるかがわかるからだ。
櫻坂46には、その基準で勝負して勝ってきたTAKAHIRO先生がついている。
「世界標準」の世界で『唯一無二を目指す』ことが、彼女たちが夢みる世界進出をぐっと近づけるものであることは間違いない。



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