君の物語 2 朝の台所
キッチンで使っている石油ストーブは、家中のどの暖房器具よりも暖かい。
朝食の支度をしている途中で暖を求めてストーブ前に行くと、いつもルゥが先に温まっている。
娘たちと過ごす時は真ん前を陣取ってゆったりくつろいでいるけど、朝のこの時間帯は端に寄ってお行儀良く座っている。
私が隣に行くことを想定しているかのように。
場所を空けておいてくれてるのか、遠慮しているのか。
とにかく「おじゃまします」と声を掛けて隣にしゃがみ込み、温まったビロードの毛をひと撫でする。
するとルゥは決まって一歩、さらに端に寄ってしまうのだった。
触られたくないのかな?
だから撫でるのはやめることにした。それ以上端へ寄ったら寒いだろうから。
ちょっと隣のスペースを借りるだけ。
ね、これならその位置から動かない。
一緒に温まらせてくれてありがとう。
君が隣にいてくれるから、心も温かいよ。
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