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S-PULSE Rebranding Launch Event

この記事は、2019年12月10日に行われたエスパルスリブランディングイベントのレポートです。
当日は左伴社長とクリエイティブディレクターの田川欣哉氏が登壇し、リブランディングの背景や思い、考えなどを語りました。完全な書き起こしではないので、ニュアンスの違いが含まれるかもしれません。ご了承ください。

左伴社長の言葉

はじめに、リブランディングに関連して...
先日のリーグ最終戦、サポーターはどんな気持ちで観ていたのかと考えていた。試合後の挨拶では「天皇杯で帳尻合わせる」と話したが、気持ちの中では「今年目指したのはトップ5だったのに」とも思っていた。最終順位は12位、5位との間に7チームいるということ。その差は何だったのか、ちゃんと考えなければならない。私が2015年に社長に就任してからほぼ毎年、最後まで残留や昇格を決められないでいる。そういうクラブなのか?と。

昔は国内で無類の強さを誇り、海外に出て行っても強かった清水FC。優勝できなければ敗者というマインドを持っていた。オリジナル10に入れたのも、強い素地があったからだろう。私がマリノスにいて優勝した時もエスパルスには勝てなかった。それが今こういう成績になっている。

ここ数年の実績を考えてみるに、自分たちは強いと示すもの、「錦の御旗」がなければいけないのでは?と。そういうのをちゃんと揚げようと。そういう思いでこのプロジェクトを始めた。

チームの基本理念である「わかちあう夢と感動と誇り」、そしてみなさんと共有できるエンブレムやロゴを模索しながら、みなさんの話を聞く中で多く耳にした「オレンジ」と「世界に通用する」というワード。なぜみなさんが地球儀にこだわったのかわかった。この2つのDNAの継承と進化、そして強さ「スパルタン」を加えた。「このエンブレムをつけたら半端なことをやっちゃダメだ」と思えるもの。オレンジと強いグローバル、強いマインドで目標を高く持って精進していく。変えるのではなくアップデートして、清水という土地にエスパルスができる前からの滲み出る思い、アイデンティティとともに、一緒に戦っていく証明としてアイコンにした。清水が背負ってきたDNAを私たちも背負っていく。

田川さんの言葉

2017年にチーム創設25周年、四半世紀を迎え、ここから次の25年、創設50周年に向けてどのように進化できるか、いったん棚卸しをしたいと考えた。

エスパルスは、多くの人たちが「宝」だと思っているチーム。選手、OBだけでなくチーム創設に関わった方、そしてサポーターなど様々な方々に、合計で100時間を超えるインタビューを行った。チームに何を期待しているか、というところで「オレンジ」というワードが皆さんから出てきた。あるサポーターは「スタジアムに行くと家族に会ったような気持ちになる」と。「オレンジの景色の中に自分が一体化した時の興奮、幸せがやみつきなんです」と話していたのが印象的だった。

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(エスパルス公式サイトより)

オレンジをエスパルスコミュニティの象徴に。みなさん普通に「オレンジの血」「オレンジ戦士」という言葉を使う。オレンジをどれだけ大事にしていくかが重要。

翻ってここ数年のチームのプロダクトを見てみると、オレンジ色の使われ方に幅ができていた(下図)。バラバラであることで統一感に影響を与えている。

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(田川さんのプレゼン資料より)

シンボルは「1つの形」という意味。力を持つには1つでなければいけない。そこで、エスパルスの統一されたオレンジを定義したいと考えた。朝日が昇るとき、街がオレンジ色に染まる瞬間がある。そのイメージ。太陽の光に近いと黄色っぽく、遠ざかるほど赤っぽく見えるが、その中間の濃いめのオレンジ。あるいは熟したみかんのオレンジ。この色にいかに染まっていけるか。来シーズンから立ち上げていく。

エンブレムについて

現在のエンブレムは1997年に作られた。市民からの公募で選ばれたもの。それまでは「チェストマーク」を使っていた。当時はスマホもなく、テレビなど大きめで使うことが想定されていたと考えている。

このエンブレムには私たち含めみんなが強い愛着を持っている。歴史、伝統、誇りを守りながらどうアップデートできるか。必要がなければ変えなくて良いとも思っていた。

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(エスパルス公式サイトより)

昨年より意見を募集し、1,500件ほどの意見をいただいた。
その中で多かった意見として、
・地球儀をはっきりとした形で残して欲しい
・「静岡」「清水」を入れて欲しい
・ブルーの色味は深いブルーの方がいい

これらを踏まえて第二案を提示し、もっとも支持が高かったのがDだった。

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(エスパルス公式サイトより)

これを基準として、4つの要素を守りながら半年間ブラッシュアップした。

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(エスパルス公式サイトより)

新しいエンブレムは今までと別とは考えていない。現在のエンブレムに込められたすべての思いを遺伝子として大事に守って、磨いていく。言ってみれば親子のような関係ではないか。遠くから見ると似ているが、生きている時代は違う。これまでをリスペクトしながら、次の25年にバトンを渡すものと考えていきたい。ヨーロッパのクラブでもこのような変更は行われているが、どの時代のエンブレムも大切にされている。年代順に並べられ、クラブヒストリーとして刻まれている。このようにこれまでのエンブレムも額に収めて、しっかり讃えていくことができないかと考えている。

3本の縦縞に関して、今までは特にメッセージを込めていなかったが、今回意味を込めた。「夢」「感動」「誇り」を象徴している。

フォントについて

現在のロゴも「S」の文字に特徴がある。これを引き継いでオリジナルの書体「ドリブルフォント」を作った。選手がフィールドを動き回るところから着想を得ている。

色について

オレンジは難しい色。黄色や赤が少し加わるだけでも印象が変わる。既存の色の中にズバリという色が無かった。そこで今回、これしかないという色を調色して色見本を作った。今後のプロダクトは色見本と照らし合わせることをやっていく。青色は静岡清水の深い海の色、清水サッカーを象徴する色として配色した。

パルちゃん

スタジアムで会えるパルちゃんは変わりません(笑)。
少し歴史を感じる部分を、かわいらしい形にしている。

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(エスパルス公式サイトより)

第一弾グッズについて

ペンキ
街をオレンジで染め上げていくためのサポートとして。私が気になっていた塗料の会社が偶然清水にあって、ぜひやりましょうということになった。Twitterでもいい反応をいただけてよかった。オレンジの景色が広がっていくように願っている。

チョコレート
ブラジルとのストーリーを表現している。ブラジル産の豆だけで作ったもの。

新ユニフォーム
エスパルスオレンジを忠実に再現した。PUMAのデザインチームと一緒になって作った。

左伴社長と田川さんのディスカッション

田川:スタジアムをどうやってオレンジに染めていく?

社長:最終戦のコレオグラフィー、あれで腰が引けたと鳥栖の選手に言われた。オレンジ色は炎のような印象がある。スタジアムの中だけでなく、スタジアムに向かう民家にもオレンジの旗が立っている。そして、おばあさんたちがその旗を見上げてるといった風景は、この土地へのサッカーの厚みを感じる。チームの持ち物ではないが、スタジアムも塗れるところがあれば塗りたい。

田川:DAZNで、カメラがピッチからスタンドを舐めるように映す場面がある。そのときにオレンジが見えて、「エスパルスのホームだ」と思ってもらいたい。階段のグレーが目立つのでオレンジで塗りたいですね。

社長:今回「リブランディングしました」で終わるのではなく、ずっと維持し続けなければならない。このエンブレム、このオレンジを身に纏うからには、覚悟がなければ。そういうオレンジとファイティングスピリットを被せていくこと。色やエンブレムに対するこだわりの刷り込みを私ががんばってやっていきます。トップが覚悟を持って。

レポートは以上です。
お二人も話していましたが、今は整理が終わった段階でこれからが大事だと思います。田川さんには S-PULSE ORANGE や S-PULSE DEEP SEA BLUE のカラーコード、ドリブルフォントを私たちも使えるようにできないかとお願いしておいたので、近いうちに公開されるといいなと思います。

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