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ことでん琴平線・長尾線・志度線完乗

香川県の県庁所在地、高松市を地盤に琴平線、長尾線、志度線の3路線を運行するのが「ことでん」こと、高松琴平電気鉄道株式会社。拠点となるのは3路線が接続する瓦町駅、一時は高松駅・琴電高松駅を名乗っていたこともある高松市街地中心部に位置し、大型の駅ビルがある立派なターミナル駅。JR高松駅近くの高松築港駅は戦後に瓦町から延伸された区間で、現在運行上は琴平線と長尾線の起点となっていて、両線は瓦町駅で分岐、志度線は瓦町駅を起点としている。

JR高松駅と300mくらい離れている高松築港駅。元は高松駅前広場に向かい合っていたものの、瀬戸大橋線の開業により宇高連絡船が無くなり高松駅が少し西側に移動したため遠くなった。
高松築港駅、左が長尾線、右が琴平線。

本線的な役割を担うのが琴平線で、高松築港駅から琴電琴平駅の 32.9km 23駅。長尾線は運行上は高松築港駅が起点だけれども、扱い上は瓦町駅からは琴平線に乗り入れている形で、単独区間の長尾駅まで14.6km 16駅。志度線は瓦町駅から琴電志度駅 12.5km 16駅。それぞれ3路線が別々の会社の路線として立ち上がり、戦中の1943年に国策によって合併し現在の会社となった。

琴平線、路線カラーはイエロー。元京王電鉄の車両ベースの1100系。
長尾線、路線カラーはグリーン。元京浜急行電鉄の車両ベースの1300系。
志度線、路線カラーはピンク。元名古屋市営地下鉄東山線の車両ベースの600系。

ターミナル駅の瓦町駅の駅ビルはバブル期の無謀な建設で経営難を招いた。はじめはそごうが入居したものの、そごう自体の問題もあり撤退、その後岡山拠点のデパートの天満屋が入るものの撤退済み。今はテナントビルの瓦町FLAGになっていてスタバやBEAMSがある一方でDAISOや駿河屋もあって、あとは学習塾とかクリニックとかカルチャー教室的なテナントが多数入居する地方都市の需要を取り込んだフラッグにふさわしい駅ビルになってます。高松市自体は高松三越が存続しているのでデパート空白ではないです。

瓦町駅の駅ビル、瓦町FLAG
瓦町駅の切符売り場、高松築港駅と各線の4方向の時刻表
ザ地方都市の歓楽街
高松築港駅と瓦町駅の間、片原町駅。かわらまち、かたはらまち。

マスコットキャラクターのイルカのことちゃん。なんでイルカなんだろう、瀬戸内海にイルカはいるのだろうかと思ったけど、誕生の由来は公式に発表されていて、経営難で民事再生法を適用された際に「琴電は要るか?要らないか?」と厳しい議論が行われたことへの自戒の念から「イルカ」のキャラクターとなった。ちなみに妻子持ちでうどん好きでぽっちゃりしている設定らしい。ICカードもIruCa。2019年からSUICA・ICOCAなどがことでんで使えるようになった一方で、IruCaはことでん以外では使えない状況。

誕生の経緯が敬意なので哀愁ただよう。
ことちゃんがあまびえにうどんを差し出している。こういう社内掲示も時代を映す記録になるのかもしれない。
瓦町FLAGの回送中店舗の仮囲いを飾る謎のタペストリー
令和も気が付けば6年になるというのに、この平成感あるプラットフォームを使い倒すウェブページデザインが逆によい?
簡易式ICカード改札が各駅に設置されている。
今回利用したのはこちらの1日乗車券です。

琴平線

ことでんの本線的路線で、高松市中心部の高松築港駅と琴電琴平駅を結ぶ路線。琴平電鉄株式会社によって開業は1926年、今の栗林公園駅と滝宮駅間、翌年には高松駅(瓦町)と琴平駅の区間が開業して原型が完成、戦後の1948年に高松築港駅まで延伸されている。1943年の現・ことでんの設立時も中心的存在で、ことでん本社も栗林公園駅前に置かれている。

金刀比羅宮への最寄り駅となる琴電琴平駅。JR土讃線の琴平駅もすぐそば。
天気に恵まれていないGW中日の平日とはいえ、人が全然いない

高松市街地中心部の複線化されていて本数も多く、平日は途中の滝宮(休日は一宮まで)の区間は15分に1本、琴電琴平までは30分に1本確保されていて、平日の朝夕は仏生山までも加わり8時台は7本走る。

仏生山駅は琴平線の車両基地があり、高松築港駅方面への折り返しも設定される拠点駅。高松市南部の拠点駅でこの辺りでは圧倒的に利用者が多い。
車両基地併設。この駅から塩江線が分岐していたものの、ことでん合併前に廃線となってしまった。

路線長は長く、金刀比羅宮への観光需要がありそうなものの全列車が各駅停車でかなり時間はかかる。高松築港-琴電琴平は約1時間、700円。JRを利用すると乗り換え込みで最速50分、普通列車で980円。ことでんのメインはやはり高松市への通勤通学需要で、あとは競争をするほど需要が無いというのと、遠方から琴平に行くのには岡山駅方面からも直通できるJRが便利なので棲み分けできている。

岡田駅。レオマワールドという四国最大のテーマパーク、温泉宿などレジャー施設の最寄り駅。
綾川駅そばにはうどん県なのでヤドン公園が。
綾川駅前には巨大なイオンモールが立地、都心部の駅を除くと利用者が圧倒的に多かった。やはり地方で人が集まるのはイオン。

現在、高松市の交通政策と共同で三条駅~仏生山駅の区間の複線化と新駅設置事業が進められていて、第一弾として2020年には伏石駅が開業している。次のステップとして太田駅と仏生山駅の間の新駅整備も進められていて、これは国の社会資本整備総合交付金を活用した鉄道事業への適用は四国で初めての事業となる。2026年度中に新駅開業と、列車本数維持のため栗林公園駅と三条駅の複線化、環境負荷の少ない新車両の導入などの整備が進められるよう。幹線道路と琴平線の交点に新駅をつくり隣接してバスターミナルを整備して、市中心部まで乗り入れていたバス路線を新駅起点してバスドライバー不足への対応を進め、自家用車での送迎をしやすくするなどの効果が期待できる。

三条~栗林公園間の複線化のための用地はほぼ取得済み。

長尾線

高松市の東隣り、さぬき市の長尾へ至る路線。さぬき市は平成大合併で誕生した新しい市で、長尾駅は旧長尾町の中心にあたり、第87番札所の長尾寺への参拝客のための路線として開業した。

瓦町駅から長尾線方面へ。瓦町駅は高松築港駅方面は琴平線と長尾線がホームを共用、琴平・長尾方面はホームが分かれている。
長尾駅
長尾駅。長尾寺は徒歩5分と目の前。
讃岐七富士に数えられる白山が見える。火山性安山岩による固い地盤が浸食から残った地形で、香川県にはいくつもこのようなおにぎり山がある。
水田駅、みずた駅。名前に似つかわしくない都会的な高架駅。元々国道11号の踏切解消のため高架化され、そのあとで奥に見えてるように高松自動車道ができたので国道・電車・高速道路の立体交差になった。
花園駅。この駅の南側でJR高徳線が交差する。

瓦町駅から高松築港駅へは琴平線と直通運転していてほとんどが高松築港駅と長尾駅の区間の運転となっていて、高松築港駅発は琴平線が3分の2、3分の1が長尾線くらい比率となって、平日朝8時台の瓦町駅と高松築港駅の間は地方都市として驚異的な1時間に13本運転となる。

帰宅ラッシュの片原町駅。

志度線

瓦町駅の志度線ホーム。琴平線と長尾線との標準乗り換え時間4分の設定らしい。

さぬき市の志度(琴電志度駅)へ至る路線。志度は第86番札所の志度寺の門前町、平賀源内の出身地でもあり。瀬戸内海の港町で合併前の志度町はさぬき市の市役所も置かれこの地域の中心となる古都。琴電志度線の開業は1911年で、現存のことでんの路線では一番古く、当時は東讃電気軌道、志度への最初の鉄道として開業している。現在ではJR高徳線が並走していて、志度の区間が開業したのは1925年と遅め。

琴電志度駅から志度寺へは徒歩8分ほど。JR志度駅は目と鼻の先。
琴電志度駅。
ことでんで唯一海にせり出す区間、塩屋駅付近から房前駅、原駅にかけて断続的に瀬戸内海沿いに出る。
大町駅。

合併前には高松市内線として国鉄高松駅前まで路面電車として直通運転していたものの、戦時中の空襲により休業、戦後に高松築港駅と瓦町の区間が延伸開業したためそのまま廃線化している。

ことでんの3路線の内、現在は志度線だけが線路が繋がっていない。元は琴平線と長尾線と同じように高松築港駅に乗り入れていたものの、瓦町駅で方向転換が必要だったことから、瓦町駅ビル建設時に志度線が分断され、乗り入れできない構造になってしまった。

志度線の瓦町駅だけ駅の東側に直接出られる出口がある。

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