青い森鉄道・IGRいわて銀河鉄道・三陸鉄道完乗
GW前半は四国の鉄道路線を制覇し、後半にかけては伊丹→仙台がトクたびマイルでお得だったのでそのまま東北の未乗路線を攻めることに決定。実は今回のGWはコロナ禍で使えなかったANAマイルを消費するのもミッションの1つでした。
仙台から釜石へ 高速バス定員オーバー問題
仙台は何度も来ているけど今回天気も良かったので初めて青葉城址へ登った。青葉城址へは仙台駅から1本でいくのは周遊バスのるーぷるというのがあるけども、2022年の地震で城に登る一部道路が通行止めで、今は大回りルートになっていて、さらに休日は渋滞回避から青葉城址まで行かなくなっている。そのため、現状の推奨ルートは地下鉄で国際センターへ行って、徒歩8分の城のふもとにある仙臺緑彩館から青葉城址入り口をピストン輸送するシャトルバスに乗り換える。ちなみに帰りは下りなので歩きました。ただこれ休日は自家用車優先になるの、公共交通政策として解せないんだよね。車社会なので仕方ないんだろうけど。先進国なら混雑する日こそ自家用車を規制すべきなのに。
その後は三陸鉄道の未乗区間の釜石-宮古間に乗るために釜石へ移動する計画。仙台から釜石は直線距離が140kmくらいなんだけど、釜石自体が鉄道でもバスでもアクセスはかなり不便で、鉄道だと最短ルートは花巻から釜石線か気仙沼からBRT・三陸鉄道で距離にして240km、気乗り換え4~5回で5~6時間かかる。新幹線で新花巻にでるにしても、結局釜石線が本数少ないし2時間でコスパが悪い。ということで道路206kmを3時間半で結ぶ高速バスが平日朝夕1日2便往復あるので、これを狙った。
この高速バスは予約ができないタイプで、1時間前くらいに仙台駅から少し離れた宮城交通ターミナルでチケットを購入。ただ高速バスなので定員がある。30分前には待機列が作られていて、目を疑ったのだけど大行列。結論として釜石行きは私含め列の後ろ10人くらいが乗れなくなった。そもそも、販売枚数を管理せずなぜ切符を売った?買う時点で乗れないかもと教えてくれたら、動き方はもっといろいろあったのに。しかたなく払い戻しして、前述のルートで5時間かかけて向かうことにしました。チェックイン時間が遅れるのでホテルへ連絡などして駅へ戻る。
仙台→小牛田→一ノ関→花巻→釜石と乗り継いでいきます。存じ東北のローカル線はクロスシートが少ない。元々東北本線のこの辺りは利用者多いわりに本数少なくて、車両も短め。小牛田で時間調整して駅そばのスーパーでちょっと買い出し。
当日は平日夕方で学生が多くて席が完全に埋まる。飯食って酒飲める雰囲気ではない。アンカーの花巻からの釜石線も大谷を輩出した花巻東高校の部活終わりの生徒がかなり多くて中間地点の遠野まではボックス席が空かなかった・・・。遠野でようやく宴を開始。釜石線は2回目で、いずれも夜。興味深い路線でもあるので今度じっくり楽しみたい。
三陸鉄道完乗
三陸鉄道は岩手県の海側でリアス海岸が続く三陸地方を南北に縦貫する第三セクター線で、南は大船渡の盛駅から、鉄の町釜石、三陸中心都市宮古、あまちゃんの久慈に至る北リアス線・リアス線・南リアス線の総延長163kmは単一の第三セクターの鉄道路線としては最長路線となる。
山と海が迫る陸の孤島である三陸地方は鉄道建設は遅れ、主要都市と内陸を結ぶ路線と、主要都市から細切れの区間(国鉄久慈線、宮古線、盛線など)は順次開業していたものの、しかし例によって国鉄末期の経営悪化により新線建設が凍結し、細切れ路線も赤字ローカル線として先行きが暗い状態。それを受けて岩手県と沿線自治体により日本で初めての第三セクター鉄道会社として三陸鉄道株式会社が設立され、工事をひきつぎ1984年に久慈から大船渡までが鉄道でつながった。当時は宮古と釜石の間は国鉄山田線が残っていて、三陸鉄道は北リアス線と南リアス線で分かれていた。ただ3.11の震災を経てJR山田線の宮古-釜石間を引き継ぎ今の形となる。
震災復興のシンボルとしても走る三陸鉄道ではあるものの、もちろん経営は厳しく観光利用が必須。リアス海岸の地形的課題でかなりの区間がトンネルを通り、トンネル、海、トンネル、海、津波から守る大堤防と景色が移り変わるのが独特の雰囲気。皮肉にも震災の復興事業として三陸自動車道の整備が急ピッチで進み、2021年には松島から八戸の区間が全線繋がり、無料で利用できるようになってしまったことで追い打ちをかけられている状態でもあることは否定できない。
三陸鉄道はJRの気仙沼線BRT、釜石線、山田線、八戸線あたりを回るのに一部区間は乗ったことがありました。日本一長い第三セクターだけあって運賃も結構インパクトが大きい。釜石から久慈は126.4kmで普通運賃3050円。第三セクターの運賃はJRより割高なので適正なんだけども、肥薩おれんじ鉄道が八代川内で117kmで2670円、えちごトキめき鉄道の妙高高原市振97kmで2260円だし。JRは120kmで2310円ですし。
青い森鉄道・IGRいわて銀河鉄道完乗
三陸鉄道完乗後、JR八戸線で八戸へ。以前乗ってますのでハイライト。
八戸からは盛岡行きの在来線となる元東北本線が第三セクターとして経営分離された青い森鉄道とIGRいわて銀河鉄道に乗車することになる。これで東北本線は名実ともに完乗を達成。
IGRいわて銀河鉄道のキャラクターはぎんがちくんときらりちゃんです。銀河の星ですね。ちなみにIGRいわて銀河鉄道は岩手出身の宮沢賢治の銀河鉄道の夜をイメージして。なお宮沢賢治は花巻出身なのでIGRいわて銀河鉄道の区間ではないです。
東北本線は東京と東北方面を結ぶ重要幹線鉄道として計画され、東京から北方面は1883年に上野~熊谷が開業、当初は熊谷から東北方面への分岐も計画されていたが大宮地域の誘致により宇都宮への最短経路がとれるよう大宮分岐が採用される。これは後に大宮が日本最大の鉄道の町として発展した分岐点となった。そして1885年に宇都宮、1887年には仙台、盛岡、1891年には青森までとものすごい速さで全通に至った。これは1872年に新橋-横浜から始まった東海道本線が神戸まで繋がったのが1889年と考えると、日本の鉄道勃興期のエネルギーを感じられると思う。
そんな東北本線も国鉄時代には東海道・山陽新幹線に続く新幹線として東北新幹線と上越新幹線として建設が進み、1982年に東北新幹線が大宮-盛岡間で開業。盛岡からも北へ延伸する計画はあったものの、時代は国鉄末期で新幹線の計画も一旦ストップ。財政上の課題を解決できるよう、これ以降の新幹線はいわゆる整備新幹線と呼ばれ、新幹線開業で特急が走らなくなり収益性が悪化する並行在来線をJRから経営分離できるという法律が整備されることに。つまり盛岡から青森方面は整備新幹線になるので、2002年の東北新幹線盛岡-八戸間、2010年の盛岡-新青森間の延伸開業によってJRから分離された東北本線の区間を担ったのが、青森県が中心となり出資する青い森鉄道と岩手県が中心となり出資するIGRいわて銀河鉄道になるのです。
青い森鉄道の青森-八戸間に関しては、JR完乗する時に乗車済み。今回八戸から盛岡方面は県境を跨ぐので、県境となる青森県三戸町の目時駅が両社の境界になる。目時駅南の馬淵川を渡ると岩手県三戸市。
八戸駅から盛岡方面は東京方面になるので「上り」と表現するのがロマンを感じる。この区間は1日16本とかなり本数が少なく、内9本が盛岡行き、残り7本が三戸止まりと県境越え需要がいかに少ないかがわかる。
岩手県内は一部が岩手県側最初の駅の金田一温泉始発、いわて沼宮内始発、二戸始発、好摩駅からは花輪線からの乗り入れ、盛岡市近郊の滝沢始発もあるので一番本数が多くなる滝沢-盛岡間は平日朝は1時間に5本、平日1日の運行は42本と昼間も1時間に2本くらいはある結構な過密区間となる。
盛岡-好摩間に関してはJR花輪線乗車時に通っているので都合2回目ということになる。
Tips 小ネタ
青い森鉄道とIGRいわて銀河鉄道はJRとの組み合わせ乗車は結構ややこしい。
18きっぷを利用したい場合、JR花輪線の利用は盛岡-好摩間はIGRいわて銀河鉄道の運賃660円が必要になります。JR花輪線は反対側で大館駅でJR奥羽本線とつながっているため。
一方、青い森鉄道で青森から八戸経由でJR八戸線、野辺地駅からJR大湊線を利用する場合に限り双方向の通過は可能。ただし、盛岡から野辺地経由でJR大湊線や八戸経由でJR八戸線へ抜けるのは、それぞれIGRいわて銀河鉄道と青い森鉄道の野辺地駅・八戸駅までの料金が発生するのです。
そして青森・八戸・盛岡を新幹線で移動する場合、乗車券が新幹線経由になるので、乗車券部分だけ青い森鉄道・IGRいわて銀河鉄道で使うということができなくなります。例えば青森(新青森)から盛岡を新幹線利用すると特急券と乗車券込みで5720円で1時間以内、もし青い森鉄道とIGR銀河鉄道で行こうとすると乗車券で5590円で3時間半~4時間かかります。新幹線が直線で距離が短くなったことと、第三セクターで運賃が値上げ、2社にまたがっているという状況。もの好き以外誰も乗らないでしょ。完全に地元のローカル利用者を舐め切った運賃体系となっているのです。
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