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新門司→横須賀 21時間本州横断のフェリー

2021年7月1日、首都圏と九州を直通するフェリーとしては14年ぶりの復活となる東京九州フェリーが就航を開始したと、旅行界隈では話題に。船好きではないのでそこまで注目していたわけではないけど、乗りつぶしの旅の行程にマッチしたので就航したて1か月未満の船に乗ってみることにしました。

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長距離の船というと、実は日本では乗ったことがない。流氷をかき分けバルト海を行くサンクトペテルブルク(ロシア)→ヘルシンキ(フィンランド)とか、アドリア海を横断するパトラ(ギリシャ)→バーリ(イタリア)、あとはギリシャのエーゲ海の離島をちょこちょこというのはあるけども(マウント)。

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今回の船路を一言で表すなら、とてもいいです。
確かに1日丸々移動に充てるとは言え、人だけなら直前だろうと定価で最安12,000円で利用できるのはかなり安い、それもプライベート保たれて横になれる。弾丸旅行とか移動こそ正義の旅行ばっかりしてたので、天気に恵まれたなか青い海と空を眺めながらのんびりできたのはとても良かった。そして何より海を見ながら露天風呂につかれる・・・。12,000円のうち3万円の価値はあるのでは??と思うくらい。高級リゾートに21時間滞在して12,000円だとすればぶっ壊れ価格でしょと。

連休とはいえ、この情勢下というものあり、ガラガラでした。ネットから普通に予約できます。個室タイプのほうが数が少ないというのもあり人気かな、これはサンライズ出雲・瀬戸と同じ。一番安いカプセルホテルタイプが一番空いてた。私はコスト重視なのでもちろん一番安いのでいいのだけど。

一番安いツーリストAで繰り返しになるけど12,000円です。これが一番安い人間1人の基本運賃で、ここに個室台やら自動車代が加算されている。HPに手荷物代1000円ってあるけど、普通の身の回りのバッグとかは普通に込みの料金。


小倉駅~乗船まで

新門司港のフェリーターミナルまでは15kmくらいあって公共交通機関がないからか、小倉駅北口発門司駅経由で無料のシャトルバスがある。22:10出発で出港1時間前の23時にターミナル着。そこから乗船手続きをする感じ。

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おそらく予約者数に合わせてだろうけど、当日は2台の大型バスが来て、8割がた席は埋まる感じだった。まぁ当たり前だけど、客層は明らか私のようなもの好きなソロ旅行者、悪く言えばオタクっぽい男ばかりです。

ターミナルでは物流トラックの積み込み?乗り込み?が始まってて、一般の自動車利用者は乗船手続き後に各々車で並んで待機している状態だった。入り口には自転車利用者も結構いた。確かに飛行機より輪行のハードルは低いと思う。調べたけど自転車は3000円。

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小倉駅地下には少なくとも22:00まではやってるスーパーマックスバリュがあるので色々買い出しには事欠かない。駅前は普通に繁華街だし、用事を済ませてから待機する場所にも困らないのでいいと思いますね。

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居室

一番安いカプセルホテルタイプは、中国の1等寝台(軟臥)くらい。175㎝の私だとベッド内で座れないくらいの高さで幅もシングルベッドより狭い。けど寝る分には不自由ない。電源1口+USB1口。幸い向かい側のベッドに利用者がいなかったので気楽だった。ただ鍵はかけられないので、充電したまま放置とかはちょっとセキュリティ的に厳しい。

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小物入れも鍵っぽいものがついてたけど使えないようにしてたし、自前の南京錠で閉めれるようなタイプでもないので、基本的には貴重品は持ち運び。コイン返却式のコインロッカーがあったのでそちらを利用してもいいかも。

一番安いツーリストAは4~5Fに散らばってるんだけど、通し番号だから初見だとわかりにくかった。

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あとは4Fだったからか、端のほうだったからかはわからないけど、すぐ下か横かに機械室か何かがあるからか結構うるさいなって感じがした。ネカフェ泊続きで疲れてたので、ぐっすりでした。

船内生活

4F~6Fが一般人利用エリア。フェリーなのでその下は車両甲板と貨物室。案内もあるしフェリーはなんでも共通だけど航行中に車には戻れないので注意。HP見てくれれば大体わかるので、主要な設備の感想だけ。

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レストラン
想像より安いし、見た感じクオリティはそんなに悪くない。下手な行楽地より全然いい。生ビールも中ジョッキ670円だったかで飲めるし。私は船だからと安直にカレーにしたけど、これで1000円は別に悪くないと思う。あと昼はBBQセットが1人1200円で、船外テラスでって考えると破格なので案の定受付前から行列してた。

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ショップ・自販機
めんべいとか基本的なお土産もあるし、船のグッズもあるし、飲み物類もほぼほぼ普通の自販機くらいだし、酒類もその辺のビジホより良心的では?ってくらいの感じ。無理して出発前に買わなくても、冷えてると考えればいいかも。
給湯器があるのでカップ麺とかあったかい飲み物は飲める。食費も抑えようと思えば抑えられるってこと。電子レンジは無かった(案内にも書いてない)。あとは製氷機とかあれば神なんだけども、さすがに贅沢か。

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デッキ
6Fの外。屋根のない実に開放的なデッキ。夜は星がきれいだし、午前中は外に出れたけど、途中から風が強いということで横須賀到着直前まで閉鎖されてた。この季節なので風は気持ちいけど暑い。

椅子とかないからアウトドアチェアとか持ち込めれば優雅に過ごせそうだったな。さすがにビニールシートは飛ばされるからダメだろうけど。

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お風呂
とにかくこれが最高of最高だった。露天風呂は5人くらいが限界の狭さだけど開放的で、陸地もそばにないから全裸で大海を望める。乗船から~25:00までと8:00~20:00と限られてる(シャワーは完全24時間OK)。サウナはコロナなので閉鎖中だけど、サウナも海が見えるようになってた。

4回入りましたね。真夏に熱めのお風呂に入って海風で涼むという素晴らしいレジャー。船の揺れに合わせて波うつ湯船も楽しいし、だいぶ日焼けしたけど。

さすがに写真ないのでHPより。

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唯一の問題は乗船直後が混むことかな。23時頃からみんな乗船してすぐにお風呂に行くので出港までがロッカーが完全に埋まって順番待ちが出るくらいの混み方。

そのあと覗いてみたけど24時過ぎてからは落ち着いてたから時間をずらすのもありかと。昼間は逆に空いてるから贅沢利用ができた。

本とかゲームは酔うリスクもあるかなって感じ。私は酔い止め飲んでて調子よかったからこのブログの記事を書いたり、ウロウロしたり昼寝したり風呂入ったり。贅沢ですね。

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景色は基本海

景色に関しては基本海。朝かなりぐうたらしてたので室戸岬は見てない、紀伊半島潮岬しっかり見えた。

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そのあとは夕方に伊豆半島はかなり寄る。あまり知らなかったけど伊豆半島の先端に神子元島というのがあって、下田沖ということでかなり歴史ある灯台があるんだね。あとは大島、利島、新島、式根島、神津島がちゃんと並んで見えた。

伊豆半島↓

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大島↓

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この時間帯外には出れなかったんだ、夕日の富士山がギリ観測。

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東京湾に入るころには夜だったし、東京湾でも田舎エリアだから夜景はそこそこ。ラストの猿島を目の前に米軍ベースを見ながら横須賀港へ、時間通りに接岸した。

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季節によるらしいけどイルカも運が良ければ見えるらしい。トビウオが結構よく見えた。

情報

横須賀と新門司の1000kmを約21時間かけて結ぶ。日本国内の大型長距離フェリーではかなり早い部類らしい。今回乗ったのは東行、新門司を23:55発→翌20:45に横須賀につく。28ノットと日本の大型フェリーの中ではかなり高速な部類らしい、巡洋艦くらい?(ゲーム脳)

使われる船は2020年12月に進水した新造の「はまゆう」と「それいゆ」の2隻。横須賀市の花のハマユウと、北九州市(門司)の花のひまわり(太陽のSoleil; ソレイユ)に由来。日曜日を除いて毎日往復していて、到着すると約3時間後にそれぞれ折り返し運転をしているよう。ちょうど昼の10時過ぎ、四国と紀伊半島の間くらいの場所で反対行きの姉妹船とすれ違う。

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船は全長222.5m、海自の普通の護衛艦なんか170mくらいだから大きいかな。それでもスエズ運河で座礁した貨物船なんてほぼ400mだから桁が違う感じ。

外洋に出るとのかなりスピードを出すので、大型フェリーの中では揺れは激しいほうらしい。立ってるとよろけるくらいの揺れが常にある感じで、寝てる分にはまぁ大丈夫だけど自信ない人は酔い止め飲んだ方がいいと思う。逆に陸酔いするかなと思ったけど20時間くらいじゃならないね。

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こういう長距離フェリーは物流的にも重要で、トラックドライバーは法令で連続運転時間が厳しく規定されているため、こういうフェリーを利用することで運転していない時間で移動できるようになる。だから乗用車よりトラックのほうがたくさん載せられるようになってるし、ドライバー専用居室が別で確保されてるし、お風呂もインフラってわけ。レストランがリーズナブルなのも高速道路のSA的な位置づけの側面もあるから。





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