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あられもない崖っぷちの錦川鉄道錦川清流線

錦川鉄道錦川清流線は山口県岩国市の川西駅から錦町駅まで32.7kmの路線。路線名はほぼ全線が文字通り清流の錦川に沿っていることから。錦川清流線の全列車が岩国駅発着になっていてJR岩徳線の途中駅の川西駅から分岐、川西駅から直通乗り入れしているような形になっている。

2007年より導入が進んだNT3000形気動車、4両4色が在籍。色ごとに愛称があり、青がせせらぎ。ピンクがひだまり、緑がこもれび、黄色がきらめき。新潟トランシス製で日本中のローカル線に兄弟がいる気動車系列。
錦川清流線の路線。位置関係が分かりやすい。
http://nishikigawa.com/route-map/
錦川鉄道の本社もある錦町駅、読みはにしきちょう。駅には商店、隣接して展示施設なども。2006年に岩国市に吸収合併された錦町の中心駅。沿線で唯一の町と言えるレベルで栄えている。
JR岩徳線との分岐駅、川西駅。ここから徳山・錦町方面は山越えのため高台に線路がある。

この路線も例にもれず国鉄の赤字路線で廃止され、第三セクター会社として存続しているもの。ただこの路線が歴史あるローカル線というわけでもなく、この路線の最初の区間の開業は1960年、錦町駅までの延伸開業は1963年とかなり新しい。元は山陽と山陰を連絡する路線の1つとして、岩国と山口線の日原(現島根県津和野町)を連絡する岩日線として計画さたもの。そもそも早くも地方路線の利用者が目に見えて減ってきた時代、戦前の無謀な計画のまま建設が続けられていて、錦町駅から先もかなりの区間で建設工事が進んでいたところ国鉄再編が決定し工事は凍結し、終ぞ開通することなく今に至っている状況。

私はカブなので分岐駅の川西駅からスタート。1月3日の朝早い時間ということもあるけど、利用者はかなり少ない。一方でJR岩徳線はそれなりの人数が岩国方面乗っていたのでやはり差がある。全列車がJR岩国駅と錦町駅の間を1日10往復で、2時間くらい間が空く時間帯もある。片道は岩国駅から約70分、JRの西岩国駅と川西駅を除いて11駅。

岩徳線との分岐
設計が戦後ということもあってなかなか豪勢(無駄)な高架と盛土の線路。
錦町方面は文字通り清流の錦川にへばりつくように、ほぼ右手が錦川、左手が崖になる。
進行左手にはいくつかの滝が間近にみえるのでアナウンスが入る。
イベント列車だけが停車する清流みはらし駅。列車でしか駅へたどり着けない。
終点錦町駅の手前で初めて錦川を渡る(JR岩徳線区間では西岩国駅と川西駅の間で渡るけど)
清流線の通りオオサンショウウオがマスコットキャラクター。

2023年3月期の鉄道事業の売上は約7200万円、費用は1億8000万超と1億円以上の赤字。市営バスや観光地の錦帯橋、岩国城の運営事業の委託を受けていていてそちらの方が売り上げが大きいもの赤字ではあり、結局補助金で全社赤字を埋めている状況。

錦帯橋は蛇行する錦川を天然の堀として岩国城下と対岸の町人町とを連絡するためにかけられた5連アーチ橋。現存するのは平成時代に修復されたもの。さすがにこの規模で幅200mもある川にかかる木造橋に手を加えずに保存するのは不可能。
新幹線駅の新岩国駅と近くに清流新岩国駅がある。距離があるし本数が多くないのに新幹線とも連動していないダイヤなので乗り換え利用客はほぼいないと思われる。岩国駅方面や中心部へはバスの方が本数も多い。
2013年に新岩国駅にひかりが停車するようになったタイミングで御庄駅から清流新岩国駅に改称されたその名残。国鉄貨車を駅待合室にした国鉄最貧時代の名残を残す。

ついに2025年3月までに廃線・バス転換を含めた今後の在り方を決定することになっている。ローカル線の最大顧客である学生についても、沿線唯一の高校である錦町駅そばの岩国高校広瀬分校が2025年3月に閉校することが決まっている。頼みの観光客についても錦町駅から先の未成区間を利用したアトラクションのとことこトレインや秘境駅の清流みはらし駅に行くツアーなどの観光列車など様々な取り組みをしている状況。

岩日線の未成区間の一部を活用したアトラクション、錦町駅から雙津峡温泉駅の約6kmを走る。冬期運休です。残念。
錦町駅の展示にあった国鉄末期の記事。アイ・ラブ・岩日線運動を紹介。見出しのラップ?がかなり衝撃的で「とにかく乗ろう赤字線 廃止目前に 誠心誠意の 涙ぐましい 開き直りの あられもない 片思いの 意地でささえる 国鉄は知らんぷりの努力のかずかず」
開通当初の記事。開業当初から赤字が約束されていて国鉄総裁が「十二分に利用して」と開業式典の祝辞で述べるほど。ちなみに中央下の写真で左側のスキンヘッドが当時の国鉄総裁十河信二。国鉄総裁が頭を下げている相手は岩日線を誘致したと言われる元運輸大臣で岩国出身の自民党重鎮 重宗雄三?どなたかご存じの方教えてください。

JR岩徳線に乗った時の話はこちらから。


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