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意図を説明することの大切さ

おはようございます。栗山陽輔です。

なんの前触れもなく中断していた記事更新ですが、今日からまたもや再開します。
今後は週に一回か二回更新で行っていく予定です。よろしくお願いします。

さて、久しぶりですが今日は「意図を説明することの大切さ」というテーマでお話していきたいと思います。

少し前の話ですが、アマゾンプライムで配信を行っている監督作「なかよくなれたらいいな」に英語字幕をつけ、英語版ビジュアルを作成してもらい、英語圏アマゾンプライムビデオでの配信を開始することができました。

それにともない、「なかよくなれたらいいな」の英語タイトルを、数年前につけていたものから改題して「OKARA」としたのですが、英語版ビジュアルを作っていただく際に改めて気づいたことを書き記しておきます。

小難しい話ではなく、デザインをお願いした方から率直に

「なんでOKARA?」

と聞かれただけの話なんですね。

この時、ふと思いだしたのが、数年前、この「なかよくなれたらいいな」という作品が完成したばかりの頃、上映会が終わった時などに数人のキャストスタッフといろいろと話している際に、僕が「英語版のタイトルをOKARAにしようかと思っている」という話をしたのですね。

その時は周りの皆に「いやいや」と言われて僕自身も「そうか」とすぐに思ってしまって、結局は別のタイトルを後日につけたのです。
つまり今の僕が言いたいのはこの部分。

当時の僕はOKARAにしようと思った意図を、一切説明しようとしなかったということ。


そんな数年前の出来事を思い出しながら、現在の僕は「なかよくなれたらいいな」の英語タイトルを「OKARA」にした理由をデザイナーの方に説明しました。

以下は僕が実際に送ったメールの一部の抜粋です。

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なぜ、OKARAなのかと言いますと、まず外側の意図としましては、日本語であること。そして海外の地域によってはOKARAという言葉がそのまま通じる場所もあるらしいこと。
上を向いて歩こうのsukiyakiみたいな意図もないわけではないです。
そしてイヤらしい話ですが、海外で有名なジャパニーズホラーというのはリング、ラセン、ジュオン、トミエ、というように三音で成り立っていることが多いからでもあります。

そして内側の意図として、これは作中におからを登場させた理由でもあるのですが、和え物でいくつもの食材が一つに交じりあったものであること、一つのきまった形が定まらないものであることです。
また、おからの語源としまして、空っぽの空(カラ)に丁寧語のおをつけたものという部分が、登場人物の内面の空洞につながります。

さらにおからは、卯の花、雪花菜(きらず)という別名を持ちます。
そういった部分が真賀田という人物につながるという考えです。

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以上です。
この中でジャパニーズホラーがどうこう言っているのは、海外での宣伝方法が今の自分にはないので、ジャパニーズホラーにあやかっていこうという意図をすでに伝えているからであります。

こういったやりとりがあり、デザインをお願いした立花裕介さんは「OKARA」である意図をくみ取ったビジュアルロゴを作ってくれたと僕は思っています。

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つまり、意図をきちんと説明することで、共有することができたと言えるのではないかと思ったのであります。


数年前の僕は、「OKARA」にしようと考えた意図をキャストスタッフの皆さんに一切説明せずに話を終えてしまっているのです。

これは何故かと言えば、当時の僕は説明することが野暮なことだと思い込んでいたからです。意図なんてくみ取ってもらうか感じてもらうものだという思い込みを持っていたのですね。

これ、変な話、別に間違ったことではないと思っているのですが、この時の僕が間違っていたのは「考え方」ではなく「対象」です。

説明することが野暮になってしまうのは、観客の皆さんに対してなのです。
作品を作った人間が、その作品を見てくれた方々に対して、いちいち作品外で作品内容を説明しようものならば、それは野暮なことであるし、作品内で行うべきことではあると思います。

しかしながら、この時の僕の場合、相手はキャストスタッフの皆さんであり、関係者、つまりはチームです。

監督というリーダーとしての立場になる人間は、チーム内での意図の共有を怠ってはいけないのですね。

チーム内で共有できていない意図は、いつか必ずコミュニケーションエラーを起こします。

商業規模の大きな現場ではある程度は致し方ない部分もあるかもしれません。
一人一人に意図を説明し共有するのは難しいかもしれません。
ですので大きな組織というのは、意味がわからなくてもやれと言われたらその通りにやるのがプロだとする認識だってあるのです。

宮沢りえさんが昔、役者として仕事を続けるコツは「疑問を持たないこと」だと、何かのテレビかで言っているのを聞いたことがあります。

けれども、商業を目指すのではなく自主映画監督として活動を続けていこうと考えるようになった僕は、その辺りも商業に倣うのではなく、自分なりの方法を模索していこうかと考えている今日この頃です。


なにはともあれ、監督作「なかよくなれたらいいな」の英語版「OKARA」は現在、英語圏アマゾンプライムビデオ(amazon.com)で配信中です。
日本国内から見ることはできませんが、もし海外に友人がいらっしゃるなどのことがありましたらご紹介いただけると大変うれしく思います。

あ、もちろん日本でも「なかよくなれたらいいな」本編はご覧いただけますので是非に。

と、久しぶりに文章を書いたので変な感覚なのですが、今後も懲りずにぽつぽつ更新していきますので、どうぞよろしくお願い致します。

それでは皆さん、よい日々を。

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