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「告白録」とアウグスティヌスの発展の経路(「堅忍の賜物について」53)

今、わたくしたちは、1冊の本を前にして、これを読み進めております。


『省察と箴言』

以下に、本書の「序言」から引用させて頂きます。

アウグスティヌスに対しては、彼の著作と彼自らとを「告白録」は別にして、世界文学の見地から、時が盛り上げた墓塚の下に眠らせて置くか、あるいは抜崒(ばっしゅつ)として提供するか、その何れかを選ばなければならない。というのは、彼の伝記を書くとすれば、必然的に、4、5世紀の状態を詳細に取り扱うことになるので、天才が書くなら別であるが、神学者や歴史家以外には少数の読者しか見出さないであろうから。それで私は、成功の確信はないが、しかも断然抜崒(ばっしゅつ)を試みることにした。しかし私は、50年来アウグスティヌスに親しんでいるので、この偉大な思想家を理想的な読書界に紹介するために全力を尽くすことを、いよいよ、わたしに課せられた、ひとつの義務と感じたのである。その際私は「告白録」の知識を予想した。それにも関わらず「告白録」から若干の章句を取り入れたことの理由は自ら明らかである。

アウグスティヌス『省察と箴言』序言(5頁)より引用

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245字
岩波文庫では「品切れ」になっているハルナック編『省察と箴言』を読むことができます。

本書は人類の偉大なる指導者アウグスティヌスの全貌を,その著作の抜萃によって示そうとするものである.ここに見られる現実に対する鋭感,真理認識…

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