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上司のリーダーシップと対極の部下力という概念

リーダーは部下を育てることが大きな役割の一つと言われる。

だが、人を育てるためには大きな力の差が必要なので、それを持ち合わせているリーダーでなければ、部下の育成は簡単ではない。

更に輪をかけて、最近は「少し先に入社しただけで偉そうにする。それに見合うだけのスキルを身に着けているのか」と、部下が上司をリスペクトできないという声が多いという。

これはそもそもの上司のスキル不足という根本原因があるのだが、「先人を敬う」と言う基本的概念の欠落に端を発している。

儒教には「忠考」という言葉がある。
これは「主君に対する忠誠と臣下としての義務を尽くすこと」を指し、日本では古くから人倫道徳の大元として重んじられ、特に明治時代は国民道徳の確立として重視され日本人の行動規範に強く刻まれている。

忠孝の概念は「上の者には絶対服従」といった絶対的なものではなく、「上に立つものは、徳のある立派な人である」という大前提があってこそ成り立つ。

だが、全てのリーダーが優秀というわけではない。
持ち合わせているスキルは高いが、アサインされた仕事に合っていない、プレーヤーとしては優秀だがリーダには向いていない、そもそも何故この人リーダーになれたんだろうと、リーダーの姿はそれぞれだ。

組織に属する限り上司と部下の関係は必ず存在するし、上司は部下を導くリーダーであるべきだ。また、上司と部下の関係が組織として動くための最適解だというのは「組織論」の論争に中でも一定の結論が出ている。

人は組織に属したとき、どのようなリーダーであれ誰かしらのリーダーに付き、部下からスタートする。
その時に発揮すべき力が「部下力」と呼ばれるものだ。

「部下力」は近代組織論で目にすることが増えてきた概念で、定義化されたものはないが「上司の指導力を引き出し、その舵取り取りを支える力」という文脈で使われることが多い。

近年、AIやITの進化により能力面で圧倒的な差が生み出しにくくなっているが組織的には上司部下の関係を保つ必要があり、上司が部下を扱う方法部下が上司を扱っていくかが議論されるようになってきた「部下力」を駆使し、部下側からリーダーの指導力を引き出し、やる気を支え、「困りもの」の上司のもとでも仕事の状況を変えるということが現在社会では求められている。

普段からこの力を意識して高める努力をしていないと、問題のある上司に仕えた時に仕事に振り回されるか、何も教えて貰えないで終わる可能性がある。
上司が無能だからという理由で転職を重ねるわけにもいかない。


では、部下が上司の指導力を引き出す為には何が必要なのか。

それは組織の中での肩書や役割に関係なく自立/自律した行動を取れるようにすることだ。

社会環境の変化が一段と激しい現代社会では、リーダーが判断を誤る危険性は高まっている。
なので部下は黙って上司の言うことを遂行し組織に貢献するだけでなく、提案する精神も必要だ。

問題は普段から経営判断に直接かかわることの少ない部下が適切な判断力を持てるかだが「組織が出す結果に与える影響力の80%はトップを支えるフォロワーがもたらす」という見方もある。

「部下の育成」に上司の資質や能力が重要なのは言うまでもないが、80%の影響力は「部下力」にあることを意識しておくべきだ。

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