サービスマニュアルの重要なポイントは内容や中身ではない
サービス業においてマニュアル教育の重要性は言わずもがな。
だが、サービス業とは、本来お客様に気持ち良くしていただくためのものであり、気持ち良くなるポイントは相手と状況によって千差万別なので、時にマニュアルがワークしないケースも多々発生する。
だから全てのものをカバーしようすれば、そのマニュアルは膨大なものになり、覚えることが困難になる。
マクドナルドを世界で最も成功したファスト・フードチェーンに押し上げたレイ・クロックは「どの店に行っても同じサービスが受けられるシステムにリピーターを作る」と現在のマクドナルドのシステムを作り上げた。
マクドナルドには『世界中の人に同じ味とサービスを』をコンセプトに膨大なマニュアルと教育ビデオがあり、あらゆる仕事に対して「何を、どんな手順でやればいいのか」が記載されている。
このマニュアルを用いて仕事の正しいやり方をトレーニングすることで世界中どこの店でも同じ顧客満足の提供を可能にしている。
一方、東京ディズニーランドのマニュアルは非常に簡素だ。
クルーは「The Five Keys~5つの鍵~(Safety, Courtesy, Show, Efficiency, Inclusion)」という行動規準に基づき、すべてのキャストが自ら判断、行動する。
東京ディズニーランドの場内掃除マニュアルには、たった一行「ハイハイできる赤ん坊が、ハイハイしても汚れないこと」と書いてあるだけだ。
両社は対局のサービスマニュアルを有しているが、サービス業のマニュアルに関してどちらが正しいといった答えは無い。重要なことはそこにクレドが存在するということだ。
『クレド』とは、ラテン語で『志・約束・信条』を意味する言葉で、心掛けるべき信条や行動指針をいう。
マクドナルドのクレドは、「I’m lovin’it」〈お気に入りの食事の場・お気に入りのスタイル〉
東京ディズニーリゾートのクレドは「We Create Happiness (ハピネスの創造)」だ。
このクレドに基づきクルーは企業が大切にしているルールを会得していく。クレドを理解できているか否かでクルーのオペレーションレベルは格段に上がる。
頭ごなしに「これがルール」「これは禁止されている」と言うより、学習効果はずっと高い。
マクドナルドの対応で、1人では到底食べ切る訳でもないオーダーに対し、「こちらで召し上がりますか?」と尋ねられたことに対し「1人でこんな食べるわけないじゃないか」と言う人がいるが、この対応の正否は先に家族や仲間が着席している可能性もあるので一概に誤りとはいえない。
重要なことはクルーがカタチだけ覚え「なぜ、そうする必要があるのか」を考えずに対応したのか、それとも仕事本来の目的をして本質を追求したのかという点だ。
クルーの育成に、クレドとマニュアルをベースに手間はかかるが仕事の目的やあるべき姿を明確にして、考えさせながら育成をしているかという企業側の姿勢が最も重要となる。
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