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頑張っているのに評価されていないと思った時に知っておくべきこと

人間は今まで食べてきた美味しいものと現在食べている物を比較することはできない。
これは工学博士である武田邦彦氏が述べたことだ。

人間の感覚は身の危険を防ぐ順に鋭くなると言われていて、触覚、臭覚、視覚、聴覚、味覚の順に鋭い感覚を有すると言われている。
だが、感覚というものは非常にあいまいで、思い込みなどのバイアスが入ったり、個人差もあるので定量化ができないため、正確ではない。

そして味覚はその「あまり正確ではない感覚」の中で最も下位に位置する。
味は絶対値が無いので、理解できてせいぜい1週間以内に食べたものの味の差しか分からない。
そのため、美味しさの比較はできないそうだ。

ドイツの物理学者グスタフ・フェヒナーは「人間の感覚の大きさは、受ける刺激の強さの対数に比例する」というフェヒナーの法則を導き、人間が違いを感じる刺激量の限界は、刺激の強度の対数に比例するということを明らかにした。

簡単に言えば、10gの重さを数値的に倍にするためには20gとすれば良いが、感覚的に倍にするためには、単純に倍の重さであればよいということにはならず、100gの重さが必要になる。
スパイスを2倍にしてもカレーの辛さが2倍にならないのと同じだ。

人が物事を見たり聞いたりした時に「何か前と違う?」と感じる感覚量は絶対値ではなく、対数の比率で決まる。

味覚のメカニズムは人間の舌にある味蕾(みらい)という組織が甘味、塩味、苦味、酸味、うま味を受容して脳に伝達されることで機能する。
つまり、美味しいと感じるのは自分の舌や嗅覚を通じて脳が判断するということになる。
だが、脳は簡単にバグらせることができる。

そもそも、味覚は独立した感覚ではないので他の感覚の影響を受ける。
例えば風邪を引くと鼻が詰まり嗅覚が失われ、ジェット機内では騒音で聴覚が塞がれる、テレビを見ながら食事をとると視覚が遮断されるため食事は美味しくなくなる。

ある実験でAグループには「低脂肪化学合成スープ」、Bグループには「昆布だし天然素材のポタージュ」と伝えて同じ料理を食べさせたところBグループの食事に満足度は30%も増加したそうだ。

つまり、人は与えられる情報だけで、簡単に味覚が変わってしまう。

これは味覚に限ったことではない。
人間の判断はすべて脳が行っているが、「脳は頻繁にエラーを起こす、バグだらけの不完全な臓器」なので簡単に判断を誤る。

組織で働く人は自身の評価を気にする場面があるだろう。
賞与や昇給、昇進なんかで評価を実感することができるが本を正せば、これも人の脳が判断していることだ。
なので、味覚と同様に簡単にエラーを起こす。
実績と評価は必ずしもリンクしていない。

噂話や陰口はその人の組織内の評価を大きく左右する。
良い情報が出ていれば実力や実績が無くても評価はされていくし、悪い情報があれば実力や実績があっても評価されない。

評価も絶対値のない感覚的なものなので、”対数の比”で評価者が判断する。評価は実績を2倍にすれば倍になるというものではない。

このことを理解しておけば、自身が評価されていないことを嘆くことも減ってくる。

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