見出し画像

見せていない部分を見せてしまうと相手が誤解する可能性があるという話

多かれ少なかれ人には褒められたいという気持ちがある。
それ故についつい自慢をしたり、努力を披露したりしてしまうのはある種、人間の性(さが)と言える。

だが、一般的に物事の裏側を見せると損をすることが多い。
なので裏側を人に見られないようにすることは重要だ。

これに関して興味深い話が中国にある。

餃子は中国生まれの食品で日本でも人気が非常に高い。
日本に伝わってきたのは江戸時代(1778年)で、中国料理書『卓子調烹法』で餃子が紹介されたのが初めだそうだ。(諸説有り)

日本では焼き餃子が普通だが、本場の中国では茹でた水餃子か、蒸し餃子が一般的で、日本ではニンニクを入れるのが一般的だが、中国の餃子には入れない。
代わりに餃子を食べる時に添え物として、生ニンニクをかじる。

日本でも昔は作りすぎた惣菜を近所に配ったりしたが、中国の田舎では今でも餃子を少し余分に作り近隣に配る風習がある。

ある日の中国の田舎町、男が仕事を終え自宅に戻る途中、隣家の前を通ると厨房の明かりが見え、隣人家族が楽しげに餃子をたくさん作っていた。

男は自宅に戻るなり妻に告げた「おい、隣の家でたくさん餃子を作っているぞ。だから今晩は餃子を貰える。餃子が来たら熱いうちにすぐ食べられるように、添え物のニンニクを用意しておこう!」
そう言うと男とその妻は食卓でニンニクの皮を剥き始めた。

やがて隣人は出来た餃子を皿に山盛りにし、男の家にやってきたが玄関に向かう途中窓からその男の家の食卓が見えた。 

隣人は男と妻がせっせとニンニクを剥いている姿を見て隣人は『おや、おとなりも今夜は餃子だったのか』とつぶやいて餃子を持ったまま帰ってしまった。
男はニンニクを用意して待っていたが餃子は何時迄待っても来なかった。


物事の舞台裏を見た側の受取方は他人にはコントロールできない。
例えば、評価される理由をプロセスだと思っている人が、評価の理由を成果だと思っている人にいくらプロセスを見せたところで期待するような結果は返ってこない。

ビジネスの世界では多くの場合、評価者が見たいのはプロセスではなく成果だ。勿論、必死の努力を見せた結果、成果が伴わなくても努力を評価されることはあり得るが、逆に必死の努力をしているのに成果を出せない人という烙印を押されることもあり得る。

ディズニーランドにはバックステージ (舞台裏)を見せないために、施設と外部をつなげる「地下トンネル」があり、非日常的な世界を演出するため、日常空間と一線を画するよう建設設計が施されているのは周知の事だが、これはディズニーが公表していることではない。

日本人は昔から「誰が見ていなくてもお天道様が見ている」と努力や準備をひけらかす必要が無いことを知っている。

舞台裏を見せなくてもその陰の努力は自然と相手に伝わるものだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?