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経済基盤は土地と道路が担う

某SNSでの話題を元に、一度だけちょっと深く考察するだけの文章です。
今回はまたカネの話。しかもイヤな話です。
イヤな話を嬉々として書くので、うちのnoteは本当に読まれませんね。しかたないしかたない。

某SNSで、「30年間株価が上がらなかったってことは、日本がその間経済成長しなかったってことで、日本人は危機感がなさすぎた」という投稿がありました。
これについて、いや本当にそうよね、と思った、という話です。
政治が悪いとかアメリカが悪い、とかでなく、日本人に危機感がなかった、と表現したこの方は、慧眼です。いい目をお持ちだと思います。

まずは、経済の大まかな仕組み(を、全部やると一兆ページくらいになるしそもそも私の知見など限られているので、そのほんの一面だけにフォーカス当てます)について。以下にまとめます。



経済は土地価額が全て


まず、経済というのは土地、が担います。
どういうことかと言いますと。
その国の経済発展(GDPの上昇)というのは、ほぼほぼ土地価格の値上がりによって引き起こされるからです。(実は因果は逆なのですが、あえてこう表現します)
銀行がお金を融資するとき、担保として大抵土地を押さえます。土地でなくてもいいはいいのですが、土地、というのは非常に担保として適しているのです。
たとえば、有価証券などの動産を担保とした場合。
これらはたいてい、日々の値上がり値下がりが激しすぎて、評価額を出すのが難しい。
不動産のうち、機械などは専門のとこに持ってかないと換金が難しいし、耐用年数があるので減価償却が必要。そこにほっぽっとくと使えなくなる可能性もある。
土地なら、値動きはゆるやかで評価額が出しやすく、それでいて機械のようなものほど換金が難しくなく、誰にとっても価値がわかりやすい。
こういった理由です。

土地価額が右肩上がりだと、銀行は債務者が返済を完済してもできなくても、得をすることができます。
なので、銀行の財布の口は開きやすく、融資がしやすい経済環境ができあがり、おカネの循環は起こりやすくなります。

土地価額が右肩上がりになる…とは、単純に言うと、土地需要が増加することです。
そこに大きな店ができる。鉄道が通り、駅ができる。一番最初の段階として、「道路ができる」。結果として、人がそこに住みたい理由ができる。
需要の増加とは、そうしてできあがります。

たとえば少子化。たとえば過疎化。たとえば自然保護の観点から土地開発に反対する。
こういった現象があると、原野は原野のままですし(原野に価値がないとはいいません。山は水を作ってくれます。川は水をたたえてくれます。自然は偉大です。しかしそれは経済の話ではない)、需要は励起されません。土地価格は上がりませんし、むしろ下がるかもしれません。

土地を開発し、道路をしき、きちんと保守をし、人を呼び込む。
これができ続けると、土地開発終了後も再開発や建築、人の集合による店の出店、店の販売増、etc. 経済が循環して、そういう地域が日本の中で多くなれば、好景気が誘発されます。

バブル崩壊


この逆のことがおこったのが、日本のバブル崩壊です。
土地需要が右肩上がりになることは、確かに経済の発展にとって必要なことなのですが、土地需要が上がりすぎると、おもに東京でこんなことが起こりました。
「これ、土地を買っておいて、ほっとけば、勝手に値上がりするんじゃね?」
で、別にその土地で何をしたいわけじゃないのに、あらかじめ押さえておく(実際はほんとに土地を遊ばせるわけじゃなく、そこで商売をやって、だめなら土地を売れば負けはない、という、まぁ銀行みたいな考え方をするのですね)、いわゆる「投機目的の土地買収」が激化したのです。
こうなると、本来の需要を「超えて」土地価格が上昇していきます。
そして、「誰も土地を買えなくなった」その値段で、土地が「売れない」ことが判明し、土地の価格が下落に転じます。
投機目的で買った人は、土地価格が下がったらすべてのもくろみがパァなので、土地を手放し始めます。ますます土地価格は下落します。
困るのは銀行です。担保として十分な価格と判断した土地が、融資金額より下がってしまったら、担保として適切ではなくなります。むしろ喜んで債務者は借金を踏み倒すかもしれません。そして、その土地はさらに下がり続け、売ろうにも売れなくなります。

これが「不良債権」です。

このバブル期の土地価額がいかにキジルシ沙汰だったかというと、日本全体の土地全体の推定額が約20兆ドル(当時)。アメリカ全土の土地価額の5倍。日本を全部売るとアメリカが5回買える、という金額。
戦後、日本の土地価額は実にこの時期に75倍になった、ということでした。

これこそが日本企業がその時価総額で世界を席巻した時代なのです。そのPER、PBR、配当利益率がゴミ同然だったにもかかわらず。
当時の日本の株式時価総額は4兆ドル。
日本国土の土地価額と見比べて分かることは、
「日本企業の経済は、土地価額の上昇が支えていた…というより、実は日本の経済発展なんてただの『土地の値上がり』に過ぎなかった」
ことが実に、浮き彫りになるかと思います。

このバブル頂点の時期。日本政府はある致命的なミスをしています。
それが、俗に土田通達と呼ばれる、「総量規制」(※大蔵省が不動産融資について金融機関に対し行った規制。具体的には、 不動産向け融資を金融機関の総貸出の上昇以下に抑えるよう指導した)でした。
これは、飛んでる飛行機が墜落しそうな時になって逆噴射をかましたような結果となり、逆方向に(と表現したくなるほど)土地価格が墜落していきました。
(※このとき、住専(住宅金融専門会社)などだけは規制の対象外としたため、そこに迂回融資が集中し、止まらない土地下落と相まって住専が大けがを被って公的資金がどうのと大問題になったのが、いわゆる住専問題です)

いや、でもですね。
土地価額の右肩上がりは経済発展のもとなのですから、いくら投機価格が目に余るといえど、投機目的の土地価額上昇にきちんと政治が冷や水を浴びせようとした、としたこの行為、これ、今の中国を見るたび思うんですが、日本のせめてもの良識として、少し誇ってもいいんじゃないかな、なんて、今となっては思うのですよ。まぁ韓国も似たようなことを文在寅がやみくもにやって、かえって土地価格を上げてしまったり、尹錫悦大統領の今になって爆下げしたりしてますがね。以上ちょっと余談。

今。
日本だけはデフレ進行でしたが、今んなって、まぁ悪いインフレ、などと呼ばれたりしてますがそりゃいつかはね、的なインフレの兆しが見え。
かたや世界では昔も今も順調にインフレが進行し、コロナ禍、さらにその後のロシアのキジルシ沙汰のせいでそれも爆速に進行し、当時の価額と今の価額を比べることに果たして意味があるのかどうかは分かりませんが、日経平均株価はいよいよバブル期の最高値を更新しそうな勢いです。

かつて昭和初期。昭和恐慌が起こり、その惨状は今以上にひどいものでしたが、高橋是清が登場し支払い猶予令(モラトリアム)と必要財源としての国債の大増発でさらっと終わらしてしまいました。
日本のバブル崩壊は30年引きずりましたが、高橋是清が現れるまで実に30年以上待たないといけなかった。安倍晋三首相の日本国における功績は、どんなに卑小に見積もっても戦後最大。私自身は日本歴代最高の首相だった、と思っております。が、まぁ文句を言いたい頭れいわな人もいると思うので、これくらいにしときます。

まとめ

でもって。
言いたかったことです。
冒頭で書いた、日本人の「危機感がなさすぎた」話。
どんな危機感がなかったのか、もうおわかりですよね。
コンクリートから辻元みたいな頭民主な党を、与党にしたりした。
あそこがたぶん、「日本くん、民主主義はちょっと君たちには早かったかな? 三遍くらい血の池で熱湯風呂体験してきたら? 山本太郎と一緒に」なターニングポイントだったような気が、今になってするのです。

まとめですが。
少子高齢化、土地需要の潜在的な縮小を抱えて日本がようやく重い腰を上げて再び世界経済の矢面で活躍しようとしている現在。我々が肝に銘じることは……。

「経済発展とは、土地と道路が担う。お金をいっぱい稼げる世の中にするためには、土地開発と道路整備を否定しては成立しない」
ということと、
「逆に、自然の美しい・綺麗な日本に住みたいと願うなら、一生貧乏なことと、もし今後地震などで土地が荒廃したら、荒廃しっぱなしのそこを見捨てる覚悟が必要ですよ」
ということ。そして、
「その『そこ』が、東京でない理由なんてないんですよ」
ということ。で、さいごに、
「かといって不必要に開発しすぎると中国みたいなことになる」
ということ。

です。
とま、以上です。

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