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暮瀬堂日記〜高橋新吉『るす』

 終日雨であった。プルを悼んでくれているのかもしれない。そう思って仕事を続けていた。ニKgを少し超えるくらいの兎であったが、大きな命であった。

  半世紀前の年輪蟻の道

 随分前の拙句を思い出し、今頃どこにいるのだろうか、また星には行ってないかな、どうしてるの、と心で呟いていた。
 帰宅しても、家人はプルに関して何も言わなかったが、
 ーープル!プル!プル…
 と、心の叫びが聞こえるようだった。

  留守と言え
  ここには誰も居らぬと言え
  五億年経ったら帰って来る

 高橋新吉の『るす』。こういう時に救ってくれる詩である。新吉は見てしまったんだろうなあ、「永遠」というものを。

(旧暦四月廾八日 芒種 梅子黃ばむ候)

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